借主が部屋に求める条件の変化

現在は新型コロナウイルスの感染拡大により外出が減り、在宅ワークが推進され、学校のオンライン授業が推進される背景の中で、在宅時間が長くなっている人が非常に多いのではないかと思います。
コロナ禍以前の生活と比べて生活環境が大きく変わる中、借主が部屋に求める条件がどのように変化しているのか見ていきたいと思います。
1.Withコロナ時代の部屋探し
1)部屋の広さ重視
在宅ワークや自宅学習中心の生活が広がりつつある今、駅までの距離や通勤・通学の所要時間などを考える必要がなくなり、以前は物件選びで必ず希望条件上位に上がっていた「駅までの距離」よりも「広さ」を求める方が増えています。
在宅ワークを始めたものの「集中できない」「オンオフの切り替えができない」といった理由から長時間の作業に向かない為、居住スペースとは別に作業用のスペースを求める人が増えております。このような背景から、同じくらいの賃料帯であれば「駅近」で「狭い」物件という条件ではなく「作業スペースがほしい」、「広いリビングがほしい」といった希望が強まっております。
2)高速インターネット
全国賃貸住宅新聞社の調査結果によると「人気設備ランキング」単身向け・ファミリー向けいずれも4年連続で「インターネット無料」が1位になっています。在宅化の関係で、テレワークのほか、動画・音楽配信サービス、ゲームなどネット活用が増加しています。また単に「インターネット無料」では満足せず、通信速度や無線接続(Wi-Fi)を気にする人が増えているところが見過ごせないポイントです。
※出典:全国賃貸住宅新聞2020年人気設備ランキングhttps://www.as-brick.co.jp/img/news/20201027_3.pdf
3)宅配ボックス
近年ネットショッピングの普及に伴い宅配ボックスの需要は高まっておりましたが、そこに新型コロナウイルスの蔓延も相まって更に需要は高まっております。
在宅中のデリバリー利用が増えているうえに、対面での接触機会を最小限とするために、非接触で受け渡しをする「置き配」を望む人も多くなっています。
4)日当たり、風通し、エアコン
暑さや寒さは仕事を行う上で大きなストレスになりがちです。
日当たりが良好であることや風通しが良く換気しやすい環境は、在宅ワークが増えている今、需要の高まっている条件となります。
ただし全ての物件に日当たりや風通しを求めることはできませんので、最低でもエアコンが備わっていて欲しいところです。
5)システムキッチン
在宅勤務や外出自粛、飲食店の時短要請の今だからこそ、おうち料理に注目が集まっています。1口コンロよりも2口、3口の方が料理もしやすいし、調理器具の収納スペースが多いのもポイントです。
2.在宅ワークの普及により郊外物件の人気が高まる
新型コロナウイルスの影響で今後の増収がなかなか見込めない人など、場合によっては今より安い賃料の住まいに引っ越す必要があるかもしれません。
都心に比べて郊外の土地は安い為、より少ない家賃でより広い部屋を借りることが可能と考え、郊外に引っ越す方も多少なりとも増えています。
ただし郊外であればどの立地でも良いのではなく、「近隣に学校は無いか」「車の交通量は多くないか」等、集中できる環境かどうかも気にされています。
3.まとめ
2020年は新型コロナウイルスの影響で、人々の働き方・住み方が大きく変化しました。それは「勤務地・学校に近い」「人気のある繁華街に近い」といった今までの賃貸条件から、「いかに在宅時間を快適に過ごすことができるか」という考え方も大きく見直されたということです。
通勤時間がいらないことや、作業に集中することで残業時間が減れば、結果としてワークライフバランスが良くなり、ストレスも減りますので会社員にとっては大きなメリットになります。
企業としても在宅ワークが成り立つことが証明されれば、社員の自由な勤務形態を維持する為、継続して在宅ワークを推奨する可能性もあります。また働き方が多様化することで地方の優秀な人材を確保しやすくなり、地方都市や東京近郊外の活性化につながっていくと思われます。