1.賃貸中の設備トラブルとその対処法
賃貸中は、備え付けの設備の不具合等が発生することがあります。賃貸物件で起きやすい設備トラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。
1)水漏れトラブル
キッチンや浴室の水栓部分から水がぽたぽた垂れてくることや、トイレのタンク内で水がチョロチョロと流れ出て止まらないことがあります。ひどい場合には、下の階にまで水が漏れだしてしまうこともあります。
これらは、排水管や給水管のパッキンや部品の劣化が原因となっている場合も多く、その場合のトラブルは貸主の責任となります。
初めの対処を怠ると被害が拡大してしまうこともあるため、入居者から水漏れの連絡が入った場合には、すぐに業者に依頼して水漏れ箇所の修理を依頼するようにしましょう。
賃貸管理中は万が一のトラブルに備え、緊急時に水回りの修理依頼ができる業者のリストを用意しておくとよいでしょう。
水漏れが起きると入居している部屋だけでなく、階下の部屋の壁紙や床の修理が必要になる場合や家財道具にまで被害が及ぶ可能性もあります。
入居者の過失が原因で発生する場合もあるため入居者にも火災保険に加入することを推奨し、貸主自身も火災保険に加入しておくことが大切です。
2)給湯器やインターホン等の設備のトラブル
給湯器やエアコン、インターホンなどの備え付けの設備が経年劣化によって故障することがあり、この場合は貸主の責任で設備の修理もしくは交換が必要になります。
特に給湯器が故障してしまうと、故障中はシャワーやお風呂を使うことができず、入居者に不便を強いることとなってしまいます。設備のトラブルが発生した場合にも、すぐに業者に修理を依頼し、迅速に対応するようにしましょう。
また、入居者が快適に生活できるように定期的に設備の点検を行い、劣化が進んでいる場合は部品や設備の交換を行うなど、トラブルを未然に防止することも大切です。
2.賃貸中の生活トラブルとその対処法
賃貸中には、入居者のマナーや生活スタイルの違いなどから入居者間でトラブルが生じることもあります。
入居者から苦情が寄せられた場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
1)騒音トラブル
子供が走り回る音が聞こえる、音楽や楽器の音が大きいなど、音に関するトラブルが生じる場合も少なくありません。
騒音の原因や騒音発生箇所を突き止めることは簡単ではなく、騒音の度合いについては、人によって感じ方や受け止め方も違ってくることもあるため、まずは実際に騒音が聞こえる場面に立ち会って、どの程度の騒音であるかを確認する必要があります。
騒音の発生源が判明した場合には、当事者同士での話し合いではなく、貸主、もしくは管理会社が間に入って音に関するルールを作り、トラブルを解決するようにします。
隣の部屋の寝室と浴室が隣り合っている間取りなどの場合は、入浴の時間帯によっては水の音が隣室への騒音になってしまうこともあります。賃貸経営を始める前には、間取り図を確認して騒音を避けるような間取りを選ぶことも大切です。
2)ゴミ出しマナーに関わるトラブル
ゴミの収集後にゴミ出しをしたり、分別をしていなかったりとゴミ出しも入居者間でトラブルになりやすい問題です。
入居時には、入居者に集積場所や収集日、分別の方法などを伝え、しっかりとゴミ出しのルールを周知し、ルールを順守するように伝えておきます。
自治体によって分別方法や何時までにゴミを出すべきかのルールも異なっているため、引っ越したばかりの人は、悪意なくゴミ出しルールに違反してしまう場合があります。
ゴミ出しのルールに違反している人がいるようであれば、文書で再度ゴミ出しのルールを配布し、今後の注意を促すようにします。
3.入居者とのトラブルとその対処法
賃貸経営中は、入居者と貸主の間でトラブルが生じる場合もあります。
入居者とのトラブルに発展するのが、家賃滞納と原状回復費用をめぐるものです。
1)家賃滞納のトラブル
家賃の滞納が続くような場合は、手紙や電話を使って家賃の支払期限が過ぎていることを通知します。それでも家賃が支払われない場合には、期日までに家賃を支払わない際には契約を解除する旨を記載した内容証明を送ります。
内容証明の送付後も支払いが行われないようであれば、明け渡し訴訟を起こすこととなります。
法的手段に出る場合には、時間も費用も掛かってしまうため、家賃滞納は極力避けておきたいトラブルです。
家賃滞納のトラブルを防ぐためには、入居者審査を厳格に行い、家賃の未払いがあった場合の連帯保証人を立てることも大切です。
また、家賃の支払い方法を口座引き落としやクレジットカード決済にすることも未納を防ぐ手段の一つです。
2)原状回復費用をめぐるトラブル
賃貸物件では原状回復費用をめぐるトラブルが多発しているため、国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定しています。
入居者が原状回復費用を負担する範囲は、入居者が故意もしくは不注意によって破損した部分や傷をつけた部分に限られています。そのため、経年劣化による変化や通常使用による損耗は入居者が負担すべき原状回復費用には該当しません。
※参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドラインhttps://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
入居者が原状回復費用を支払わないケースが発生した場合には、消費生活センターや国民生活センターに連絡し、入居者の負担割合が妥当なものであるかどうかを確認し、トラブルの解決法について相談をしてみると良いでしょう。
入居者との話し合いで折り合いがつかない場合には、原状回復費用の金額によって民事調停や訴訟に進むことになります。
原状回復費用をめぐるトラブルを未然に防ぐためには、賃貸借契約締結時に原状回復費用について文書で明確に示しておくこと、損傷箇所の発生時期を証明するために入居時、退去時の状態を写真で残すことが大切です。
4.まとめ
賃貸管理で発生しやすいトラブルとその対処法をご紹介しました。
賃貸経営にトラブルはつきものですが、設備トラブルや入居者間のトラブルが起きてしまった場合には、対処の方法やタイミングによって入居者のイメージは大きく変わります。
万が一、トラブルが生じてしまったときには入居者の不満を解消するためにもできるだけ迅速に対処することが大切です。
そして、設備の定期的なメンテナンスや入居者審査の厳格化など、トラブルを未然に防止するような取り組みも必要です。