サブリース契約前に知っておきたい!契約書のチェックポイントとは?

空室リスクが避けられる、物件の管理をまかせられるなど、メリットの多いサブリース契約ですが、オーナーと業者との間でトラブルが多発しているのもまた事実です。
サブリース契約に関するトラブルの多くは、契約書を隈なくチェックすることで回避することが可能です。
そこで今回は、サブリース契約の契約書のチェックポイントについて詳しく解説します。
1.サブリースとは
サブリ―スとは、業者がオーナーから物件を借り上げ、入居者に転貸することです。
そうすることで、空室リスクが減り、毎月の賃料が保証されます。
また、多くの業者は、借り上げた物件や入居者の管理も行っており、管理委託をすることになります。
サブリースの仕組みについては、「賃貸住宅管理業法が6月15日に改正!サブリースの規制内容を解説」でより詳しい解説をしています。
2.サブリース契約にはどんなトラブルがある?
一見するとメリットしかないように思えるため、サブリース契約をする方も多いですが、実際はトラブルが多発しています。
では一体どんなトラブルがあるのでしょうか。
サブリース契約にまつわる主なトラブルを紹介します。
1)賃料の引き下げ
サブリース契約をすると、毎月必ず賃料が入ってきますが、契約時の賃料がずっと続くわけではありません。
一定期間ごとに賃料の見直しがあり、その際、経年劣化などを理由に賃料が引き下げられることがほとんどです。
しかし、悪質な業者は「賃料が下がる可能性はほとんどありません」と断定して勧誘し、契約させることもあり、賃料が引き下げられたオーナーが「話が違う!」と言って、訴訟にまで発展したケースもあります。
このような背景から、2020年に法改正があり、通称サブリース新法と呼ばれる「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立し、誇大広告や不当勧誘が禁止となったため、上記のような悪質なケースは格段に少なくなりました。
2)中途解約が難しい
サブリース契約では、「●十年間家賃保証!」と、長期間の保証があることをアピールし、契約を結ぶ業者も多いです。
しかし、中途解約したいと思っても、サブリース契約において業者は賃借人とみなされ、借地借家法で保護されているため、オーナー側からは解約できず、期間満了前に解約したい場合は、違約金や立退き料が必要となります。
つまり、契約期間が長ければ長いほど解約の敷居は高くなり、トラブルになりやすいのです。
3)入居者を選ぶことが出来ない
サブリース契約の多くは物件の管理も行ってくれますし、入居者も見つけてくれます。
オーナー自らが行わなければならないことがほとんどないのに、毎月賃料を得られるのは大きなメリットではありますが、入居者を選ぶ権利がありません。
その結果、マナーの悪い入居者が部屋をボロボロの状態にしてしまったり、一人暮らしの高齢者が孤独死をしてしまったりというトラブルが発生することがあります。
3.サブリース契約書のチェックポイントは?
2007年、国土交通省が作成したサブリース契約における契約書のひな形を「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」といい、契約はこれに基づいて作成されています。
前述したよくあるトラブルを踏まえたうえで、必ずチェックしておきたいサブリース契約の契約書の項目をみていきましょう。
1)賃料改定日
初回の賃料改定日と、2回目以降の賃料改定日をチェックし、何年ごとに賃料の見直しが行われるのかを把握しておきましょう。
賃料の見直しのスパンがあまりにも短いようなら注意が必要です。
2)契約期間と解約について
契約期間が何年間なのかと、中途解約するための要件は必ずチェックしておきましょう。
中途解約で違約金が発生するとしたらどのくらい支払うのか、どのような場合にオーナー側から解約できるのかを知り、納得してから契約しないと、後からトラブルに発展しやすいのがこの項目です。
ろくに読まずに契約してしまうと、いざ解約したいとなった時に要件を満たしておらず解約が出来なくなっても、業者から「契約書にサインしましたよね?」と言われて反論することが難しくなります。
3)入居者に関する項目
前述の通り、サブリース契約ではオーナーが入居者を選ぶことは出来ません。
そして業者が選んだ入居者の情報は、個人情報ということもあり、基本的にオーナーに明かされることはありません。
もしそれが不安であれば、あらかじめ契約書に、入居者に関する情報を開示するよう盛り込んでもらい、トラブルを回避する方法があります。
通常の賃貸借契約であれば、転貸借を行う際はオーナーの許可が必要であり、入居者情報の開示を求めることは可能だからです。
ただ、契約後にこの権利を主張するのは難しいので、あらかじめ入居者情報の開示を項目に入れてもらうのがポイントです。
4)普通借家契約か定期借家契約か
普通借家契約のサブリースの場合、賃借人とみなされる業者は、借地借家法の手厚い保護を受けるので、オーナー側から中途解約をするには、通常の賃貸借契約と同様、正当事由が必要になります。
また、契約期間が終了しても、借地借家法の適用により自動更新となり、正当事由なしでは更新を拒否することもできません。
そのため、普通借家契約のサブリースの中途解約は極めて困難であるといえるでしょう。
一方、定期借家契約のサブリースであれば、オーナー側からの中途解約が難しいという点は普通借家契約と一緒ですが、契約期間が満了すれば、更新の手続きをしない限りそこでサブリース契約は終了します。
さらに、定期借家契約なので、こちらも借地借家法の適用により、契約期間中は賃料の見直しを行わないという特約をつけることも出来ます。
以上のことから、サブリース契約といっても、普通借家契約なのか、定期借家契約なのか必ず確認し、出来れば定期借家契約でのサブリース契約を結ぶのが望ましいでしょう。
5)修繕費や原状回復費の負担は誰がするのか
退去後、原状回復や修繕が必要になった場合、工事の手配もサブリース契約をした業者が行うという条件が多いです。
しかし、その際にかかる費用に関しては、オーナーが負担するのか、業者が負担するのかは、契約する業者により異なりますので、どちらが負担するのかは重要なチェックポイントとなります。
まとめ
サブリース契約に関するトラブルが多発している原因の一つとして、契約書をよく読まずに、業者の話を鵜呑みにして契約を結んでしまうことが挙げられます。
トラブルの多くは、契約書内の重要なポイントをチェックしていれば回避できるものなので、わからないことがあれば質問し、要望がある場合は伝えるなど、コミュニケーションをとったうえで納得してから契約をしましょう。