不動産投資は円安・インフレ対策に効果的って本当?今後の不動産市況も考察

2022年5月現在、依然として円安ドル高の傾向にあり、日本ではインフレが起こるのではないかという恐れがあります。
そこで今回は、このまま円安が続いた場合やインフレが起きた場合、不動産投資にはどのような影響があるのか、その対策を解説します。
1.円安とインフレ
円安とインフレの関係について解説します。
1)円安
円安とは、他の通貨と比較した時に、円の価値が安くなっている状態のことです。
例えば為替レートが1ドル100円の場合と1ドル150円の場合では、1ドル150円の方が円安となります。
円を10ドルに交換する際、1ドル100円の場合は1,000円で交換出来ますが、1ドル150円の場合は1,500円で交換することになり、ドルに比べて円の価値が低くなっているので、円安、そしてドル高といえるのです。
逆に、他の通貨と比べて円の価値が高くなっている状態を円高といいます。
円高の場合はドル安となります。
2)インフレ
インフレとは、簡単にいうと物価が上昇し続ける状態のことです。
一般的に、物価が上昇すれば、企業の利益も増加し、賃金が上昇。
経済が回り、市場も活性化するといわれています。
しかし、これは好景気の場合に限ったことかもしれません。
現在の日本では、長引く不況のあおりを受け、物価が上昇すると、国民は消費を抑える傾向にあります。
そうなると経済も回らないため賃金の上昇も難しく、インフレによる恩恵はあまりない可能性があるでしょう。
インフレと円安とは密接した関係にあり、物価が上昇するということは、円の価値が下がるため円安に繋がりますし、円安になると輸入する品物の価格が高騰し、物価が上昇してインフレを引き起こします。
2.円安とインフレが不動産投資にもたらす影響
それでは、円安が続き、インフレが起こった場合、不動産投資にはどのような影響があるのでしょうか。
1)建築コストが高騰
木材をはじめ、多くの資源を輸入に頼っている日本は、円安により以前より高い価格で建築に関わる資源を入手しなければなりません。
また、新型コロナウイルスの影響もあり、資源だけでなく諸外国の労働力も不足しており、そのこともまた、資源の価格上昇に拍車をかけています。
建築に関わる資源の価格が上昇すれば、必然的に不動産の建築費用も高騰し、新築の投資用不動産価格も値上がりすると考えられるでしょう。
(投資用不動産の資材は一般的に鉄骨や鉄筋コンクリートのため、影響を受けやすいのは木材を使用する実需向けの戸建て住宅の傾向が強いです)
2)海外投資家の台頭
海外投資家からすると、円安のタイミングで購入した方が費用は少なくすむため、より一層海外投資家による日本の不動産の購入が加速すると思われます。
しかし、現在アメリカでは金利上昇の政策をとっており、今後も金利を上げていく方針であることを発表しています。
このまま金利が上昇しすぎると、利回りと借り入れ金利との差である「イールドギャップ」が少なくなり、利益が減少するので、海外投資家の日本の不動産市場への参入は減少していく可能性もあるでしょう。
参考記事:【不動産投資】イールドギャップを知らずに投資するのはヤバイ?目安や使い方を解説
3)貨幣価値は下がるが株価は上昇する
インフレが起こると、貨幣価値は下がりますが、株価は上昇します。
前述したように、物価が上昇すれば、企業の利益も増加するためです。
また、物価の上昇に伴い、不動産の価値や家賃も上がる可能性があります。
しかし、現在の日本は、物価が上昇しても、多くの企業は利益も給与の増加も見込めない状態にあります。
不動産に関しても、物価の上昇は家計を直撃するため、家賃の安い物件に人気が集まりやすくなることも予想されるでしょう。
3.不動産投資は円安・インフレ対策になる?
今後も円安が続き、日本でインフレが起きた場合、不動産投資は資産を維持するための対策になるのか見ていきましょう。
インフレにより貨幣価値が下がった場合に備え、現金ではなく、株式や債権といった金融資産や、不動産や貴金属などの実物資産(現物資産)を所有することは、非常に有効なリスク回避になります。
特に投資用の不動産を所有していると、インフレ時に家賃も上昇し、家賃収入の増加が見込める可能性が高く、現金の価値の下落の対策になるでしょう。
繰り返しになりますが、現在の日本の状況では、一般的なインフレ時のメリットの多くを受けられない可能性が高いものの、人気エリアの好物件であれば、今後インフレが起こっても、緩やかかもしれませんが賃料は上昇していくものと思われます。
また、投資用物件を購入する場合、ほとんどの方がローンを組むことになりますが、ローン=借金であるため、現金の価値が低いインフレ時の借金は、通常と比べて実質的に少ない、と言えるでしょう。
よって、インフレ時に不動産投資を始めるのも一つのリスクヘッジになると考えられます。
4.今後どうなっていくのか
現在、金利を上げる政策を取っているアメリカに対し、日本は金融緩和政策を取っており、両者がこのままの政策を進めていくのであれば、しばらく円安の傾向は続いていくのではないでしょうか。
もし、日本が金融緩和政策の見直しを行い、今後金利を上げる方向に転換していくのであれば、円安状態から少しずつ回復していくと思われますが、そうなると今度は金利が高くなったことで不動産購入のハードルがあがり、不動産市場は停滞してしまう可能性もあるでしょう。
何にせよ、日銀による金融政策がどうなるかが大きな鍵となりますので、この点は常に注目しておくべきです。
まとめ
2022年5月現在、日本では円安が加速しています。
このままインフレに突入してしまった場合に備え、現金ではなく、株式や不動産を所有しておくのが望ましいでしょう。
既に株式に投資している場合でも、リスクを分散するため、不動産投資を考えるのもよいかもしれません。
インフレにより、不動産価格や賃料が上昇する可能性もあり、有効な対策となるからです。
ただし、不動産と一言でいっても、全ての不動産が円安、そしてインフレ対策になるわけではありません。
立地がよく、収益性の高い物件でなければ家賃の上昇は見込めないどころか、借主がなかなか見つからず、負債を抱え込むことにもなりかねないので、投資用の物件の購入は慎重に行いましょう。