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コラム

中国・上海、最古のマンション「ノルマンディーマンション」について-上海の中古マンションから見る不動産の付加価値-

執筆者:Redia編集部 Redia編集部

1.上海はどんな街?

アヘン戦争以前の上海は漁業や紡織業が中心的な小さな町村でした。1843年、中国はアヘン戦争に負けてから、イギリスによって強制的に上海を開港され、フランス・イギリス・日本・アメリカによって租界(行政自治権や治外法権をもつ外国人居留地)として分割されました。

それから中華人民共和国の設立まで、上海は長い間、欧米や日本の政治や経済の影響を強く受けてきました。建築物においても欧米や日本の建築デザインを模倣して建築した建物が現在も上海の中心地には沢山残されています。

その後、1984年の沿岸開放都市に指定されたことを機に、上海は急速に発展を成し遂げてきました。現在、上海は中国最大の商業都市で、人口2,500万人(常駐人口)を抱える超巨大都市でもあります。

陸家嘴を中心とする開発地区は、現代的な超高層ビルや高級マンションが林立しています。

陸家嘴 – Lujiazui

上海の新しい開発地区。
リニアモーターカー発着駅である浦東地区に位置しており、旧租界地(外灘)と向かい合っている。

因みに、上海の象徴的な建築物として有名な東方明珠タワー(高さ468m)・金茂タワー(高さ420.5m)・上海ワールド・フィナンシャル・センター(高さ492m)・上海タワー(高さ632m)等が集中していることでも有名です。
上海の夜景

華麗で現代的な超高層ビル群とは対照的に、市内の旧租界地(アヘン戦争の敗戦からイギリス、フランスなどにより外国人居留地として設定された)には歴史や外国風味を持ったビルやマンションが今もたくさん存在します。
上海を観光する際には、このような景色を楽しむのも良いかも知れません。

2.ノルマンディーマンションとは

ノルマンディーマンションは、上海市の中心地区の昔から風情が漂う居住地域の徐汇区という所に位置しており、近くには中国で有名な「上海交通大学」(中国大学ランキング3位)があります。

ノルマンディーマンションは、1924年に万国貯蓄会(当時フランス人により設立された銀行)によって建設されました。鉄筋コンクリート造の8階建てで、外壁は赤レンガ造り、総戸数63戸の現代式の高級マンションとしてスタートします。ノルマンディーマンションとして命名されたのは、当時の習慣上、新しく建設されたマンションにはフランスの地域名を用いて名前を付けるのが多かったようで、同じように適用されたようです。

築100年近く経っているこのノルマンディーマンションは、現在も雄偉な姿を保ったまま、この地域のシンボル建物として利用され続けています。1階は商業用店舗・2階以上は住宅として現在でも売買もされており、おおよそ100平米で1,000万元(約17,000万円)で売買価格が出ている実績もあります。

100年近く経つマンションが億を超える金額で取引されるとしたら日本では中々考えにくい話かも知れません。上海のマンションというと最近は自分で住むよりも不動産投資として考える人が増えいます。

ここ数年、上海のマンションの値段は右肩上がりで上がってきています。日本のバブル期を想像するように一般市民は手が届かない程度まで高くなっています。実際に上海市内でマイホームを所有したら、それを担保に日本では1棟のマンションも購入できると言われる程です。

3.ノルマンディーマンションにまつわる物語

実はノルマンディーマンションにはもう一つあまり知られていない一面があります。

竣工当時は、住民はほとんど外資系企業や外資系銀行等の高官だけで、国内の住民は十数年間一人もいなかったようです。その後、ノルマンディーマンションは地域のシンボルとして中国を代表するような作家・音楽家・政界大物・芸能人等が多く住まれました。当時の上海市市長の趙祖康もこのマンションに住人です。

また、当時芸能界でスーパースターと言われていた王人美も住んでいました。王人美さんと言っても恐らく分からない人が殆どですが、実はこのノルマンディーマンションを舞台とし、王人美が主演した「風雲児女」(1935年放映)という映画の主題歌が今の中国国歌の「義用軍進行曲」です。中国国歌が広く知られ、認知が高くなったのもノルマンディーマンションのおかげと言っても過言ではないでしょう。

その後1945年、ノルマンディーマンションは孔令偉という方によって買い取られました。おそらく多くの方はこの孔令偉という人物がどういう人か知らないかも知れません。実は孔令偉の母親は宋靄齢といい、孫文の奥さん宋慶齢・蒋介石の奥さん宋美齢と姉妹になります。

このような一例を挙げてみても、ノルマンディーマンションがいかに歴史と深い関わりを持っている物件なのかがわかります。そして100年近く経ったこのマンションには数多くの著名人が住み、それぞれの物語が存在してきました。不動産の付加価値としてはかなりのものではないでしょうか。

また、日本おいても規模や用途は違えども、「東京駅」や「横浜赤レンガ倉庫」等の歴史的建築物を見ることができます。「東京駅」は1914年、「横浜赤レンガ倉庫」は1911年竣工と共にノルマンディーマンションと近い年代で建築されており建築デザインだけでなく、歴史的な面から見学するのも面白いかも知れません。

現代の日本のマンションは、古くなればなるほど価値が落ちると一般的に言われていますが、私個人としてはそうは思いません。世界において見るとマンションには、その物件としての価値や歴史的・文化的付加価値も考慮される場合もあります。

4.まとめ

日本のマンションはまだ歴史が欧米と比べると浅いので、今後の管理状況や対策によっては不動産価値そのものが変わっていくのかもしれません。今こそ、中古マンション購入に注目してみてはいかがでしょうか。築古マンションから見出す付加価値もあるかもしれません。

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