1.ひとえに「管理」といっても…
建物管理について説明をする前に、「管理」といっても2種類あります。
一つは「建物管理」、もう一つは「賃貸管理」です。
建物管理
マンションのエントランスやエレベーター、外壁といった共用部分の清掃や修繕などの管理を指す
建物管理会社は各マンション単位で管理を受託し、場合によっては建物管理会社が変更になることもあります。
マンションの所有者は、管理業務に応じた管理費や修繕積立金を負担します。基本的に戸建て物件には無いマンション特有のものだといえます。
賃貸管理
投資・収益用物件の場合に使われる言葉で、入居者(家賃を払って部屋に住む人)の募集や家賃の集金などを指す
入居者への連絡や入居者からの問い合わせも賃貸管理会社を経由することになりますので、所有者(オーナー)は直接入居者と連絡を取り合うことは基本的にはありません。
2.なぜ建物管理が重要か
マンションの資産価値は、土地(立地)と建物の価値の合計になります。
土地について、相場価格が変わることはあっても、年を重ねるごとに劣化していくものではありません。ただし、建物については経年劣化していくものです。
マンションの建物管理がしっかり行われていることは、劣化のスピードを遅らせることにつながりますし、逆に管理がされていないと賃貸の募集を出しても入居者がなかなか決まらない、売却したくても売りづらくなるといった事態が起こってしまいます。
もちろん建物管理状態の良し悪しは全てが建物管理会社によって左右される訳ではありませんが、良い管理会社を見極める事は資産価値の維持に重要と言えます。
3.建物管理会社の見極め方
良い建物管理会社か判断するためのポイントを具体的にいくつかご紹介します。
管理戸数の多さ
管理会社のホームページをみると、受託しているマンション・ビル等の管理戸数が掲載されていることが多いです。
管理戸数が多いということは、それだけ管理のノウハウが蓄積されていたり会社の財務基盤にも信頼がもてます。管理戸数が少ない=悪い管理会社ではありませんが、管理戸数の数という実績は一つの判断基準になります。
実際に管理している物件を確認する
購入を検討している物件の実際の管理状態を見て判断することも重要です。
よく「部屋の内見をする」と言いますが、部屋の中を見るだけでなく外観・エントランス・エレベーターや廊下など共用部分まで確認しましょう。
物件が空室ではなかったとしても、現地に行って外観をみたり可能であれば共用部分を確認するのがベストです。「外壁きれいだな」「エントランスは汚れてないな」「ゴミは落ちてないな」といった印象を一般的に受ければ管理状態が良好と判断できます。
また、物件を購入した後にはなりますが、マンション管理に関することや建物管理会社のサービス内容について実際に担当者とやり取りを行う場合があります。
その際、担当者の対応の早さや質も所有者としては重要になってきます。会社としてバックアップ体制が整っているかなどを前もって確認をしておくのも良いでしょう。
4.まとめ
因みにマンションの建物管理会社が入っていない、自主管理という形態もあります。
自主管理の場合は、マンションの所有者で組織されるマンション管理組合で管理業務を行います。(管理組合は、建物管理会社が入っているマンションでも通常組織されています。)
管理費が安い、もしくはかからないという点がメリットになりますが、その分所有者の手間は増えるでしょう。
国土交通省によると、「管理組合が全ての管理事務を行っている」割合は実に全体の6.8%となっており、多くのマンションで建物管理会社が入っていることがわかります。
※出典:国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果 概要編P23(2)マンション管理と管理事務委託の状況 7.管理事務の実施状況http://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf
不動産投資・マンション購入の際は、必ずと言っても良いほど関わってくる項目になりますので、「建物管理会社」についても購入の判断基準の一つに加えてみてはいかがでしょうか。