1. コラム
  2. 不動産相続後の名義変更どうやる?
上下にスワイプでメニューを閉じる
ランドネット不動産運用顧問アドバイザー就任。「岸 博幸」氏 元経産省官僚 現慶應義塾大学教授 不動産投資セミナー開催中
コラム

不動産相続後の名義変更どうやる?

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎
はてなブックマークでシェアするボタン
lineでシェアするボタン

日本の高齢化が進む中、相続に関連して発生する問題も増えてきているように感じます。

そんな中、相続人の方からの相談を聞いていると、不動産を相続した場合における名義変更手続きに関して、特に何もせず放置していることが発覚するケースがよくあるため注意が必要です。

相続財産の名義変更手続きは、2017年5月からルールが改正されてやりやすくなったのですが、そのこともまだ知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、不動産を相続した場合における名義変更の必要性や実際の手続きの流れについて詳しく解説します。不動産を相続した方や相続する可能性がある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

不動産の名義変更は必要?

不動産を誰が所有しているのかについては、不動産そのものに名前が書いてあるわけではなく、登記簿という国が扱っているデータベースで管理されています。

不動産が相続の対象になっている場合、不動産の登記名義は亡くなられた方の登記名義のままなので、遺産分割が終わった段階で相続することになった相続人の名前に登記名義を変更する必要があるのです。

この手続のことを「相続を原因とする所有権移転登記」といい、一般的には「相続登記」といわれています。

登記簿

不動産の物理的状況と権利関係を法的に記録した帳簿のこと

相続登記は義務なの?

相続人の方に相続登記について説明すると「それって義務ですか?」という質問をされることがよくあります。

結論からいうと相続登記をすることに法的義務はないので、登記をしなくてもなんら法律違反にはなりません。ただ、相続登記は義務があるからするというものではなく、自分自身のためにするものであるということを理解することが大切です。

相続登記をしていないと不動産の名義は亡くなられた方のままなので、売却したり担保に入れたりできません。

相続の当事者なら遺産分割協議書を見れば誰が相続人かわかるかもしれませんが、何も知らない第三者に対しては相続登記をしていないと自分が所有者であると証明できないのです。

遺産分割協議書

全ての相続人が遺産分割協議において合意した内容を取りまとめた書面のこと

相続登記を放置するとどうなる?

相続登記は法的義務ではないので、手続きに期限というものがありません。

そのため、相続登記をしなくても法務局から通知が来るわけではないので、そのまま忘れて放置してしまう相続人の方がよくおられます。

ただ、相続登記を放置していると、次の相続が発生した際にとてもややこしいことになるため注意が必要です。

相続登記をするためには、相続人全員の実印による署名捺印がある遺産分割協議書が必要になります。当初の相続の時に相続登記をしておけばそれで済むのですが、相続登記がないまま次の相続が発生すると過去の相続人からも書類を回収しなければならないのです。

相続した不動産を特段運用しないのであれば、相続登記をしなくても問題が何も起こらないケースが多いので、何代にもわたって相続登記が放置されていることも珍しくありません。

このような場合は、相続登記をする時にかなりの人数の相続人から書類を回収しなければならなくなるので、実質的に登記ができないような状況に陥ることもあります。ですから、不動産を相続したら必ずその都度相続登記をすることがとても大切なのです。

相続登記の流れ

相続登記は面倒に感じる方もいますが、実は書類さえ揃えられれば手続き的にはそんなに難しくありません。

ここでは相続登記の基本的な流れについて解説します。

ステップ1:相続人と相続財産の確認

相続が開始したら、まず相続人と相続財産を正確に把握する必要があります。

これらの情報を確認したうえで、相続財産が債務超過の場合については相続放棄の手続きを3ヶ月以内に行わなければなりません。

相続する場合は次のステップへ進みます。

債務超過

資産をすべて売却しても負債を返済しきれない状態のこと

ステップ2:遺産分割協議

遺言書がない相続の場合は、相続人全員で遺産分割協議を行って相続する財産を決めます。

法定相続分が遺産分割の目安になりますが、必ずしもその通りに分けなければならないわけではないので、相続人全員で合意すれば違う分け方も可能です。

法定相続分

各相続人の取り分として法律上定められた割合

ステップ3:遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、その内容を遺産分割協議書に記載します。

書式は固定ではありませんが、必須記載事項が漏れていると作り直しになってしまうので基本的には弁護士司法書士行政書士などの専門家に依頼したほうが確実です。

ステップ4:相続登記

遺産分割協議書が作成できたら、それを使って相続登記の手続きに着手します。

相続登記のポイントは、必要書類を漏れなく準備することです。

相続登記の必要書類の一例

  • 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本
  • 被相続人の住民票除票
  • 法定相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書
  • 相続する人の住民票、身分証明書写し
  • 当該物件の登記済権利証
  • 固定資産評価証明書
  • 名寄帳
  • 遺産分割協議書
  • 委任状

このように必要書類が多岐にわたるため、ミスなく一度で完了するには登記の専門家である司法書士にまとめて依頼することをおすすめします

ワンポイント豆知識1:相続情報証明制度ってなに?

相続登記に限らず、相続財産の名義変更手続きには概ね同じような書類が何度も必要になるため、手続きの都度大量の書類を取得しなければならないという負担が相続人の方にかかっていました。

そこで2017年5月法改正が行われ、法定相続情報一覧図および戸籍謄本などを一度法務局に提出すれば、「法定相続情報」という書面を登記官から発行してもらえるようになり、以降の名義変更手続きなどで戸籍謄本など一部の書類の添付に代えられるようになったのです。

これにより、相続人の方にかかる負担がかなり軽減されることとなりました。

ワンポイント豆知識2:相続した不動産に住宅ローンが残っていたらどうなる?

相続によって住宅ローン返済中の中古住宅や中古マンションを相続した場合、ローンの残債はどうなるのかというご質問をよくいただきます。

住宅ローンを組む際には「団体信用生命保険」という保険に加入しているケースが一般的なので、債務者が返済中に死亡するとローン残債相当額の保険金が支払われて残りのローンがすべてチャラになるのです。

よって、手続きしておけば住宅ローンを肩代わりする必要はありませんのでご安心ください。

団体信用生命保険

住宅ローン契約者が死亡・高度障害状態になったときに残りのローンを肩代わりしてくれる住宅ローン専用の生命保険

まとめ

今回は不動産を相続した場合の相続登記について解説してきました。

相続登記は義務でこそないものの、早めに登記手続きをしておかないと二次相続が発生した時や、不動産を売却する時、担保に入れる時などに問題が生じるため注意が必要です。

相続人が複数人いるケースについては相続登記の必要書類が多岐にわたるため、できるだけ専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。

ランドネット不動産運用顧問アドバイザー就任。「岸 博幸」氏 元経産省官僚 現慶應義塾大学教授 不動産投資セミナー開催中