1.リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームは、混同されることの多い言葉です。法律や「不動産の表示に関する公正競争規約」などでは明確に区別されていませんが、リノベーションに関係する事業者が集まった「一般社団法人リノベーション協議会」では、両者を以下のように定義しています。
リフォーム | 原状回復のための修繕営繕不具合箇所への部分的な対処 |
リノベーション | 機能、価値の再生のための改修
その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修 |
つまり、リフォームは中古住宅や中古マンションなどを新築の状態に近づける行為であり、リノベーションは新築の状態より機能を向上させたり価値を高めたりする行為であるといえるでしょう。システムキッチンやユニットバスの導入、壁紙の張替えなど比較的小規模な工事はリフォーム、間取りの変更や水道管・排水管に手を加える大規模な工事はリノベーションに分類されます。
2.コスト削減なら新築ではなく中古物件のリノベーション
新築はコストが高く、購入を躊躇してしまう方も珍しくありません。家を購入して理想の生活を実現するのであれば、新築にこだわることなく、中古物件をリノベーションする方法もあります。リノベーションは、コストを抑えつつ自分の理想を実現する手段のひとつです。ここでは、新築を購入した場合と中古物件を購入したケースのコスト比較や、リノベーションの魅力をご紹介します。
1)中古物件ならコストを抑えられる
国土交通省が行った「平成30年度住宅市場動向調査」によると、新築分譲マンションの平均購入価格は「4,577万円」です。一方、中古マンションの平均購入価格は「2,819万円」と、1,700万円以上の差があることがわかります。
※出典:国土交通省 平成30年度 住宅市場動向調査 ~調査結果の概要(抜粋)~https://www.mlit.go.jp/common/001287760.pdf
リノベーション費用の相場は、1平米あたり10万円~15万円が平均的であり、60平米の住戸なら600万円~900万円が目安となるため、中古物件であればコストを大きく抑えられます。
2)中古物件をリノベーションするメリット
中古物件をリノベーションするメリットは、価格だけではありません。築古の物件を購入することで、価格を抑えているため、将来売りに出す際に損をする心配が少ないのも大きなメリットです。リノベーションによって資産価値が向上する可能性も十分考えられます。
また、リノベーションはリフォームとは異なり大規模な工事も可能です。キッチンや水回りなどの設備を最新式のものへ変える、構造の補強工事によって耐震性を高める、といったこともできます。思い切って部屋数を変更するなど、理想の住まいを自由にデザインできるのも、リノベーションの大きな魅力です。
3.中古物件を購入する際に気をつけること
中古物件をリノベーションする予定であれば、購入前に確認しておきたい点がいくつかあります。ここでは、中古物件を購入する際の注意点を3つご紹介します。
1)構造部分の老朽化や経年劣化の具合を事前に確認する
中古物件であっても、すべてをリノベーションできるわけではありません。とくに、家の基礎部分や柱や梁などの構造部分は、修繕不可能となるケースが目立ちます。
購入後に安心してリノベーションを行うためにも、事前に売主と交渉を行い自分の目で確認させてもらうか、ホームインスペクション(専門家による調査)を行うことが大切です。
2)購入後の維持費に注意する
中古マンションの場合は、前回の大規模修繕やメンテナンスがいつ行われたのか把握することが大切です。もし、購入直後に大規模修繕のタイミングが訪れるのであれば、修繕積立金の大幅値上げや一時金の徴収がないかなど、確認しておく必要があります。
3)信頼できる不動産会社を選ぶ
中古物件の選定は、持っている情報力が大きな影響を与えます。自分自身で探すこともできますが、不動産会社の力を借りるのが一般的です。より良い物件を見つけるには、信頼できる不動産会社を見つけることが大切でしょう。
不動産会社を探す際は、物件情報の量や契約後のアフターサービス、全国展開の有無などを判断基準とするのがおすすめです。
4.まとめ
家を購入して快適な生活を実現するには、中古住宅をリノベーションする方法もあります。とくに、コスト面で新築を躊躇している方におすすめです。構造部分の確認や修繕費用の積み立てなどの注意点はあるものの、信頼できる不動産会社と二人三脚で取り組めば、理想の物件を見つけられるでしょう。