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コラム

どのような時に不動産の鑑定評価が必要なのか

執筆者:石丸 和宏 石丸 和宏

不動産鑑定士として、不動産投資をすでに行っている方、これから不動産投資を始めたいとお考えの方を対象に、鑑定士の目線から不動産の見分け方などをお話させていただきます。

前回は不動産鑑定士の仕事についてお話しさせていただきましたが、今回はどんな時に不動産鑑定評価が必要なのかについてお話しさせていただきます。

1.不動産の鑑定評価は必要?

前回の記事をお読みになられた方の多くの方は、「不動産鑑定士がどんな仕事なのかはだいたい分かったけど、自分には必要ないな」と思われたのではないでしょうか?

確かに不動産の鑑定評価は無くても困らないかもしれません。

しかし、不動産の鑑定評価を依頼することによって、不動産取引等によって生ずる損失等を防ぐことができる場合もあります。今回は皆さんが今後不動産の鑑定評価を必要とする可能性があるケースについて具体的に説明させていただきます。

2.不動産を売りたいとき

例えば、皆さんが土地を持っていたとします。この土地をある日「5000万円で売ってもらえないか?」という打診をされたとします。この5000万円という金額が、高いのか安いのか、感覚的にはわかるかもしれませんが、実際のところはなかなかわからないのではないかと思います。もしこの土地の適正価格が3000万円であればお得ですが、土地の適正価格が7000万円だった場合には、5000万円で売却してしまうと、2000万円損してしまうことになります。こういった損失を出さないために、鑑定評価を頼んでおくと、後々後悔しないで済むのではないかと思います。これは不動産を買いたい場合にも同様です。

3.遺産分割等に際して

Aさんという方が亡くなってしまい、遺産として土地が残されており、B,C,Dの3人の子供が相続人というケースで考えてみたいと思います。なお、簡略化のため、土地以外の財産はなく、借金等も無いものとします。この場合遺産分割の方法としては、

  1. 土地を売却し、売却代金を3人の相続人で分配する。
  2. 土地の所有権をB,C,Dの誰かが引き継ぎ、残った2人はそれぞれ土地価格の3分の1の金額を土地の所有権を引き継いだ人に支払ってもらう。

一般的にはこのどちらかのケースになるのではないかと思います。

1のケースでは不透明性もなく特に問題はないと思いますが、2のケースでは相続人同士での争いに発展するケースが多くみられます。

というのも、土地を引き継ぐ人はなるべく支払う金額を少なくしたい。反対にお金をもらう側の人はなるべく多くのお金をもらいたい。という正反対の考えになってしまうからです。

この場合、「あの土地は1億円の価値がある」「いや5000万円の価値しかない」といった平行線での話し合いが続き、最終的に双方代理人(弁護士)を立てて、といった具合に泥沼になってしまいます。この争いを鎮静化させるために不動産鑑定士が公平な目線から不動産の鑑定評価を行い、この評価額をもとに解決へと向かっていただきます。

4.離婚による財産分与に際して

この場合も上記の遺産分割と同様に、不動産の鑑定評価を行うことによって、分割協議を行っていただくとスムーズになります。

5.不動産投資の判断材料として

ここ数年、「サラリーマン大家さん」と呼ばれている、本業の仕事とは別に不動産投資を行っている方が増えています。不動産投資は良い物件を適正な価格で購入することができれば、毎月安定的な収入を得ることができ、資産形成として非常に良い投資となります。しかし、あまりよくない物件であったり、相場より割高で購入してしまうと、借り手がつかずローンが払えない、売却しようと思ったら、購入価格の半額ほどでしか売れなかった等、せっかくの投資がゼロどころかマイナスになってしまう場合もあります。

不動産は高額な買い物ですので、損失金額も数百万円から数千万円になってしまうことも珍しくありません。こうした損失を防ぐためにも、不動産投資の判断材料として不動産鑑定評価を活用することをお勧めいたします。

なお、不動産投資に当たっての物件選びのポイントについてはまた別の機会にお話しさせていただきます。

6.賃料見直しの参考として

ここまでは不動産の価格を求めるケースについて説明しましたが、最後に賃料を求める場合についてお話しします。

例えば皆さんがマンションを1か月20万円の家賃で借りているとします。借りた当初はこの家賃が適正だったかもしれませんが、借りてから数年が経過し、不動産価格が大きく変動した場合、家賃も当然変動します。そうすると、今支払っている家賃が周辺相場と比べて割高になっている可能性があります。この場合、大家さんに家賃の減額交渉をすることになると思いますが、交渉に当たって、いくらが適正な家賃なのかを知っておいたほうが値下げ交渉もスムーズになります。また、資料として大家さんに鑑定評価書を見せれば、減額することの裏付けにもなります。

これは不動産を貸している側(大家さんや地主さん)の場合で、賃料の増額交渉をしたい場合でも同様です。

 

いかがでしたか?

不動産の鑑定評価を依頼するケースは頻繁にあるものではありませんが、もし皆さんが不動産の価格について把握する必要がある場合には、是非鑑定評価を活用し、後で後悔することがないようにしてください。

次回は不動産投資に当たっての物件選びのポイントについてお話しさせていただきます。

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