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コラム

不動産テックは進むのか?今後に期待できること

執筆者:Redia編集部 Redia編集部

AI、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーンなど、進化するテクノロジーを用いて、利便性・汎用性が高く新しい付加価値を提供するサービスやプラットフォームが様々な業界で登場しています。

不動産業界も決して例外ではなく、不動産テックとよばれる新たな動きが登場しつつあります。

今回は、不動産業界はテクノロジーにより、今後どのように進化していくのかを考えていきたいと思います。

1.不動産テックとは

不動産テック(Prop Tech、ReTech:Real Estate Tech)とは、不動産(Property、Real Estate)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語です。

一般社団法人 不動産テック協会では、不動産テックを「テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値や仕組みのこと」と定義しています。つまり、不動産に関連する業務プロセスや作業を効率化するためにデジタルツールを活用するのではなく、不動産に関連する新しいビジネスモデルを構築し、不動産業界そのものを変革させるためのデジタル化ということです。

※出典:一般社団法人 不動産テック協会https://retechjapan.org/retech-map/

2.不動産テックが変える3つの領域

不動産業界における新たなテクノロジー活用の動きは次の3つの領域において、革新的なサービスを展開しようとしています。

1)取引・市場

不動産に係るヒト・モノ・カネ・情報を従来よりも素早く、効率的にマッチング・シェアリング(共有)させることができ、不動産取引などの生産性向上だけではなく、不動産取引市場そのものの拡大や、プラットフォームを通じた資産・資金の有効活用を促進させることができる領域です。

2)評価・情報

AI(人工知能)などによるビッグデータ解析に基づき、客観的な評価情報を分析・提供することで、不動産に関わる意思決定を高度化させ、不動産市場の活性化や資産の有効活用を促進させることができる領域です。

3)管理・制御

不動産に関連する業務フローのうち、非効率だった一部の機能をロボットやAIの活用、データの共有化、IoTなどによって効率化させ、労働生産性を向上させることができる領域です。

3.不動産テックを支える技術

不動産テックを支える代表的な技術には、以下のものがあります。

1)IoT(モノのインターネット)

IoTはあらゆるモノをインターネットに接続する仕組みです。IoT化が進むことで、エアコン、床暖房、浴槽、ドア、セキュリティなどの建具や設備にもインターネットが搭載され、スマートフォンなどのデバイスで遠隔操作が可能になり、不動産の利便性が向上すると考えられています。また、住宅やオフィスビルなどの不動産や家電製品に多数のセンサーが設置されることで、ビッグデータが蓄積され、それを分析することでスマートハウススマートシティの実現が期待されます。

2)ビッグデータ

不動産に関わる業界で「ビッグデータ」と聞くと、日本では入手できるデータは少ないのでは?と思う方も多いかもしれません。たしかに不動産業界では「情報の非対称性」と言われるように、あまり一般にはデータが公開されておらず、また蓄積されたデータを活用した取り組みも他業界に比べると遅れがちでした。

しかし、今は決してそうではありません。IoTなどのテクノロジーの進歩によって飛躍的に向上しており、データの収集・加工・活用が容易になっていきています。不動産関連のデータが少ないというのは、過去の話になりつつあるのです。

3)AI(人工知能)

蓄積されたビッグデータに基づき、人工知能によってデータの解析・分析を行うことになります。このデータ分析の分野では、これまでの統計学に加えて、不動産価格や賃料の自動査定サービス、オフィスの空間設計など、人工知能を活用したさまざまなサービスが登場しています

4)ブロックチェーン(分散型台帳)

ブロックチェーンは、各取引履歴が順番に格納された「ブロック」と呼ばれる各レコードが、直前のブロックと鎖(チェーン)のように連結して繋がっており、一度登録されたデータは変更できないという仕組みになっています。

このブロックチェーンの技術はビットコイン等の価値登録の取引を第三者機関不在で実現するテクノロジーとして注目を集めましたが、不動産の分野を含め、さまざまな分野に適用できます。ブロックチェーン技術の利点として以下の5つがあります。

1:リアルタイム性

ほぼリアルタイムの決済を可能にし、取引にまつわるリスクや煩雑さを低減します。また、入金の取消や取引のキャンセルを制限することもできます。

2:第三者が不要

決済処理機関などの第三者を必要とせず、低コストで当事者間の直接取引を可能にします。

3:分散型台帳

ブロックチェーンによって構築された分散型台帳は、取引履歴を記録し、さらに取引が発生した証拠を保持することができます。

4:不可逆性

タイムスタンプとともに全ての取引が記録されるため、二重払い、詐欺、乱用、取引の改ざんなどのリスクを低減させることができます。

5:改ざんに対する抵抗力

記録の正確性が常に検証されるため、外部の者が過去の取引記録を修正することが困難となります。

特に不動産取引においては、不可逆性改ざんに対する抵抗力が重要となります。システムを適切に構築すれば、情報の改ざんがほぼ不可能となり、場所や時間の制約を取り払い、賃貸・売買取引を飛躍的に自由にすることが期待されています。

具体的には、不動産の賃貸・売買契約だけでなく、不動産登記、不動産情報の共有への応用や、不動産を裏付けとしたセキュリティ・トークン(使い捨てのパスワード)を発行し、資金調達を行う事例まで登場しています。

4.まとめ

人と人との信頼が支える部分も大きい不動産業界は、他業界に比べてIT化が遅れているといわれていましたが、IT重説の解禁など、業界全体でのテクノロジーの活用は確実に進んでいます。さらに不動産テックの取り組みを広げていくためには、各不動産会社が、テクノロジー導入によって得られた効果やノウハウを発信していくことも必要となるでしょう。オープンイノベーションの取り組みが進めば、これまでにない不動産の活用方法が新たに登場してくるかもしれません。業務プロセスの効率化だけでなく、新たな技術やアイデアをもつ企業が、不動産テックによって業界全体に革新をもたらすことが期待されており、今後も不動産テックから目が離せません。

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