「不動産投資ならでは」のメリットとは?節税の仕組みやリスク・デメリットも

不動産投資には家賃収入が手に入る、年金・保険代わりになるといったメリットが存在します。
その他にも不動産投資には、今だからこそ恩恵を受けられる「時流的なメリット」と「税制上のメリット」が存在します。不動産という資産の特徴を表した利点ですので、「不動産投資ならでは」のメリットと言えるでしょう。
「不動産投資ならでは」の2種類のメリットと共に、デメリットやリスクも併せて解説していきます。
1.不動産投資の時流的なメリット:高い安定性と東京への人気
2020年10月に行われた不動産投資家を対象としたアンケートでは、「不動産投資は安定性が高い」という意見が多い結果となりました。新型コロナ感染拡大による経済不安により安定した家賃収入を得られる不動産投資の人気が高まっています。
また2020年1~9月には東京への不動産投資額が世界でトップとなり、都心の不動産の価値が世界的に高く評価されていることが明らかになりました。
1)不動産投資の安定性の高さ
不動産投資と収益物件の情報サイト健美家が2020年に10月に行った「不動産投資に関する意識調査」の結果を見てみましょう。
この調査は不動産投資家を対象にインターネット上でアンケートを行い、得られた有効な回答649件をまとめたものです。
アンケートの中で「新型コロナウイルス感染症の流行以降、不動産投資への考え方に変化はありましたか?」との問いで、「ある」と答えた方の中で多かった声は「不動産投資の安定性」です。
「こういうご時世でも不動産は、安定していて強いと改めて感じた」「コロナによる先行き不安から、不動産投資に一歩踏み出しました」等、コロナ禍でも需要がある不動産への投資に対する安定性の高さを感じる投資家が多い事が分かりました。
不動産は現物への投資ですので、「不況に強い」と言われています。特に住宅は「生活になくてはならないもの」であり、金銭的に厳しい状況でも手放すのは最後であるためコロナ禍のような経済危機下でも安定した需要と収入があるのです。
※参照:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「不動産投資に関する意識調査」http://www.kenbiya.com/info/user_anquite_result202010.html
2)東京の不動産は価値が高まっている
2020年1~9月の商業用不動産投資額で、東京が初めて世界でトップとなりました。
コロナ禍にも関わらず、海外の投資家から賃貸マンションや物流施設等に合計約193億ドル(約2兆円)もの投資がありました。
東京は欧米より新型コロナによる経済的打撃が少なく、ロックダウンも行わなかったこと、東京オリンピックを控えている事から投資額が伸びたと推測されています。
「機関投資家」と呼ばれる政府系金融機関や保険会社等が大口の投資を行った結果となっています。
プロの不動産投資家が購入している東京の不動産は、個人投資家にとっても高収益の物件を手に入れられるチャンスがあると言えるでしょう。
さらに東京都政策企画局の推移データによると、東京の人口は伸び続けており2025年がピーク、その後は緩やかに減少すると推測されています。
※出典:東京都制作企画局https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/actionplan-for-2020/plan/pdf/honbun4_1.pdf
ただし前回の推計結果よりピークが5年後ろ倒しになったため、今後も人口のピークが2025年より先になる可能性があります。
東京の不動産価値が高まっており、人口は当面増え続けるため賃貸物件の価格や需要は伸びる可能性が高いと推測されます。
2.税金を節約できる?不動産投資の税制上のメリット2つ
「不動産投資は節税になる」と言われますが、税制上「他の所得と損益通算が出来る」「減価償却費が出来る」という2点が理由となっています。
仕事で経理に携わっている方以外は、損益通算と減価償却費という単語にピンと来ないかもしれません。
税制上のメリットである「損益通算」と「減価償却費の計上」についてお伝えしていきます。
税制上のメリット1:「損益通算」
損益通算とは不動産所得を含め2種類以上の所得がある場合、それぞれの収入と損失・経費を合算した上で、税金の対象となる「課税対象額」を計算できる仕組みです。
給料をもらう事で得られる「給与所得」や事業を経営して出た利益を指す「事業所得」等、所得は10種類に分けられています。
損益通算は、【1】不動産所得、【2】事業所得、【3】譲渡所得、【4】山林所得でのみ行う事ができます。
不動産所得は不動産賃貸や譲渡等による所得、事業所得は主に自営業を行い得られた所得、譲渡所得は土地や建物、株式等の資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。
山林所得は山林を伐採して譲渡したこと等による所得を指します。
事業を行っている方や株式投資等の投資を行っている方は、不動産投資の所得と損益通算が可能です。
例えば、本業であるサラリーマンの所得が黒字(利益)、副業である不動産業に赤字(損失)があった場合、この2つをまとめて損益通算することで不動産業での赤字を相殺することができます。
損益通算により税金の対象となる本業での所得が減り、支払う所得税・住民税が減る可能性があります。
<損益通算のイメージ>
税制上のメリット2:「減価償却費の計上」
建物(不動産)は時間の経過により価値が下がっていきます。経理の帳簿上では、価値が下がった分を「減価償却費」という名称で経費として計上する事が出来ます。
土地など価値が変わらないものは減価償却の対象外となっています。
実際に費用は支払われてはいませんが「減価償却費」として価値が落ちた分を帳簿上で経費として計上できますので、税金の対象となる「不動産所得」から控除されます。
図で表すと以下のようなイメージになります。
不動産投資を始めて1年目は、不動産を購入するための費用が多いため「帳簿上赤字」の状態となり、所得税・住民税が戻ってくる方が多いです。
2年目以降も減価償却費を計上することで、税金を節約できる可能性があります。
減価償却費は建物の造りによって異なります。「法定耐用年数」と呼ばれる法律で定められた年数があり、木造の場合は22年、鉄筋コンクリート造は47年となっています。
計上できる年数が少ない方が、1年で計上できる金額が大きくなるため節税に繋がる可能性があります。
「不動産投資は節税になる」と言われる理由は、初年度に経費が多くなり所得税等が還付される可能性がある事、減価償却費を計上できることからです。
3.不動産投資のデメリット・リスクも知っておこう
不動産投資には多くのメリットがありますが、デメリットやリスクも存在します。
家賃収入が入らなくなる「空室リスク」、不動産の価値の減少と共に家賃が下がる「家賃減少リスク」等があります。
また現金化が難しい、投資用ローンを組まなければならないといったデメリットも存在します。
ただ空室リスクに対しては空室保証を付ける、広告を出してもらうといった対処法があり、家賃減少リスクには宅配ボックスの設置、インターネット無料等の設備を充実させることで家賃を下げない等の行動でリスクを回避する事が可能です。
また、ある程度預貯金を確保しておくことで現金化の必要はありませんし、投資用ローンの返済は家賃収入で行うことができます。
他の投資と同様にリスクやデメリットはありますが、不動産会社により対処法が確立されている点も「不動産投資ならでは」と言えるでしょう。
4.「ならでは」のメリットが魅力の不動産投資
不動産投資は投資としての安定性が高く、東京をはじめとした都心は人気があり需要が高い傾向にあります。また税制上でもメリットがあります。
一方でデメリットやリスクも存在しますが、不動産会社により対処法やリスク回避の方法が確立されています。
「不動産投資ならでは」のメリットを知り、資産形成の選択肢として検討していきましょう。