更地にしたら高く売れる?古家付き土地の売却手順

築20年や30年を超えた「古家」の売り方は、大きく2つに大別されます。
1つは、家屋を残したまま売却。
そしてもう1つは、解体して更地として売却する方法です。
いずれの売却方法にも一長一短があるため、古家の状況や需要、ご自身の希望や都合を考えたうえで売り方を検討しなければなりません。
本記事では、古家を解体して売却するメリット・デメリットや古家の売却手順について解説します。
1.古家付き土地とは?
古家付き土地とは、古い家が建っている土地のことです。
家が建っているものの価値は付かず、土地として売買されます。
家屋の築年数や表記について定義があるわけではないため、売却時の表記方法の1つと考えましょう。
定義がないとはいえ、耐用年数の「22年」を超えた木造一戸建ては古家に該当するケースが多いといえます。
ただし、耐用年数とは税制上の考え方。
築22年を超えた木造住宅でも、状況次第ではまだまだ住むことができます。
●経年劣化や損傷が少ない
●大手ハウスメーカー施工
●需要の高いエリア
このような場合は、たとえ築22年以上であっても「古家付き土地」とは表記せず「一戸建て」として販売するケースもみられます。
2.古家を解体して更地を売却するメリット
古家が建っている土地は、家屋を解体して更地として売り出すのも売却方法の1つ。
古家を解体して更地として売却するメリットは、次の通りです。
1)流動性が高まる
古家付き土地を購入する人の多くは、解体およびその後の新築を前提としています。
つまり、購入後に解体の費用と手間がかかるということ。
よって、売主が解体したうえで更地として販売することで、流動性や需要が高まるものと考えられます。
2)土地の状況が把握しやすい
家屋が建っている状況では、次のような土地の「状況」は把握しにくいといえます。
●地中埋設物
●地盤
●土壌
これらが把握しやすいということは、買主の大きな安心につながります。
加えて、たとえば売却後に土壌汚染が発覚した場合には、売主の「契約不適合責任」が問われる可能性があります。
Redia|瑕疵担保責任とどう違う?契約不適合責任で何が変わるのか
契約不適合責任とは、契約内容と適合していない状況や事象に対する責任。
売主、買主が売買前に土地の状況を把握したうえで取引できるということは、売主にとってもリスク回避になるのです。
3)3,000万円特別控除を受けられる可能性がある
相続した空き家の売却では「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用となる可能性があります。
この控除特例は、譲渡所得を最大3,000万円控除できるものです。
適用要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋を解体あるいは耐震リフォームしたうえで売却すること。
つまり、該当の家屋を解体することで同控除を受けられる可能性があるのです。
なお、2023年度税制改正では、買主が購入後に解体あるいは耐震リフォームをした場合も同制度の対象となるよう改正されています。
3.更地にするデメリット
古家を解体して更地として売却するメリットは複数ありますが、同時にデメリットと考えられる点もあります。
1)解体費用がかかる
家屋の解体には、費用がかかります。
30坪の木造一戸建ての解体費用相場は、150万円ほど。
不動産の売却には、その他にも仲介手数料などがかかるため、解体費用は売主にとって大きな負担となるでしょう。
【建築士解説】戸建ての解体費用はいくら?構造別の相場と所要期間
2)固定資産税が上がる
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準額が最大1/6となる「住宅用地の特例」が適用されます。
古家を解体すればこの特例の適用外となり、実質的に土地の固定資産税が上がってしまいます。
4.更地にすれば高く売れる……とは限らない
解体費用がかかり、固定資産税が上がったとしても、高く売れるのであれば更地にして売却したほうが得とも考えられます。
しかし、更地にしたからといって売値が上がるとは限りません。
むしろ、解体にかかった費用も上乗せできない可能性があります。
古家の解体によって流動性や需要の向上に期待できるものの、資産価値が向上するわけではありません。
買主からすれば解体にかかる費用や手間を削減できるため、一定程度、高く売れることも見込めますが、たとえば解体に150万円をかけてもその金額をすべて売値に転嫁できるとは考えないほうが賢明でしょう。
5.古家付き土地の売却手順
古家付き土地の売却は、建物の解体を視野にいれながらも、まずは現状のまま不動産会社に査定依頼することから始めましょう。
1)現状のまま査定
古家を解体するには費用や手間、時間がかかるうえに、解体費用を売値に転嫁できるとは限りません。
よって、どんなに家屋が古くても、劣化していても、まずは現状のまま不動産会社に査定依頼しましょう。
2)売り方を検討する
解体するかの判断は、査定や売却相談の後でも遅くありません。
古家付き土地の売却方法は1つではなく、次のように複数あります。
●古家付きのまま土地として売却
●古家を解体して更地として売却
●古家をリフォームして売却
売却査定によって、古家の状況や価値、エリアの需要を知ったうえで、どの売却方法が有利かつ自身にとって利益があるかを不動産会社と一緒に考えましょう。
3)売り出し
不動産会社および売り方が決まれば、いよいよ販売活動の開始です。
土地や一戸建ては、周辺に住む人やその親族が買ってくれるケースが多いため、Webによる販売活動だけでなく折込チラシや投函チラシも効果的だと考えられます。
4)反響次第で売り方や価格を見直す
不動産は、当初決めた売り方で売れるとは限りません。
反響を見て、売り方や価格を調整しながら売るのが好条件で売るためのコツです。
たとえば、ほとんど反響がないのであれば、解体も視野に入れたほうが良いでしょう。
一方で、反響はあってもなかなか成約に至らないのであれば、価格の見直しも必要かもしれません。
いずれにしても、ご自身が希望する価格や時期に売却できるよう、市場のニーズに売却条件を近づけていく必要があります。
まとめ:古家付き土地の売却は現状のまま査定依頼を
古家付き土地は、家屋を解体して更地として売るのも売却方法の1つです。
しかし、売り方は1つではなく、現状のままでも売れる可能性はあります。
よって、まずは家屋を解体せず現状のまま不動産会社に査定を依頼しましょう。
解体する必要があるかどうかは、家屋の状況や需要、市況次第。
加えて、ご自身の希望や都合も考えたうえで売り方を検討することが大切です。