相続空き家が売れないのは●●のせい!?売却しやすい物件例を紹介
全国に空き家は900万戸ほどあり、取得割合の半分以上が相続だと言われています。
別居していた親の実家であるケースが多く、相続人も持ち家な為、相続不動産はお荷物になるわけです。
相続人は相続不動産を売却したいと考えますが、老朽化した不動産を売却するのは簡単ではありません。
翻ってあなたが相続するであろう不動産、もしくは、相続した不動産はいかがでしょうか。
お荷物になる不動産か、それとも資産価値のある不動産か。
本記事では、売却しやすい物件とは何かを解説していきます。
1.空き家の戸数推移と取得方法
空き家が発生する要因は様々ですが、多くは親の死亡による実家の処分ではないでしょうか。
核家族が進む昨今、親と子どもが別居することから空き家の戸数も年々増えてきています。
1)上昇する空き家の戸数
総務省によると、全国の空き家は2018年に848万戸と公表。20年間で約1.5倍増加しました。
※出典:総務省
2)空き家の取得方法の半分以上が相続
国交省によると、最も多い空き家の取得方法は相続の54.6%であることが分かりました。
※出典:国交省「空き家所有者実態調査 2019 P.28」
では、相続後、空き家をどのように利用するのでしょうか。
同じく国交省の資料からは、所有者の約20%が「5年以内の売却・賃貸」を希望。
特に着目したいのが、最も回答が多かった「空き家にしておく」で約30%だったことです。
それもそのはず。理由として多いのが「解体費用がかかる」からです。
NPO法人空家・空地管理センターによると、木造住宅だと1坪4万円が相場です。
売却を検討したくても買い手が見つかりにくい、と感じている人も42.3%と半数近くおり、かといって解体費用も掛かる・・・。
「物置としても利用できるし、とりあえず放置しておくか」と考える人も増えるわけですね。
2.売却しやすい相続不動産の特徴とは
1)相続不動産の買い手が見つかりにくい理由
相続不動産の買い手が見つかりにくいのは理由があるからでしょう。
例えば、以下のような要因が考えられます。
・老朽化が進んでいる
・辺ぴな地域に位置している
・解体や改修の目途がない
・建築制限がかかっている
更地であったり、改修がされていたりすればまだ売却の目途もありそうです。
しかし、田舎の古びた家となれば、ニーズが少ないのも想像に難くないですね。
それでも自分の相続不動産、あるいは、相続するであろう不動産が売却しやすい物件であるかを知ることは非常に重要です。
売却しづらい物件であれば、相続放棄してしまえばいいので、その基準を確認しましょう。
2)売却しやすい相続不動産の特徴
特徴は4つあります。
①立地が良い
②維持・管理が行き届いている
③相続人全員に売却の意思がある
④家屋を修繕して売却 or 更地にして売却するか明確
①立地が良い
全ての物件に言えることですが、不動産において立地ほど重要な条件はありません。
駅近である方が市場価値は高く、人気があります。
田舎であれば生活圏の中心地であるかどうかがポイントになってきます。
駅近というよりも、スーパーや病院、学校などに近いかが市場価値を左右する要因になってきます。
山林や湾の近くなど、あまりにも辺ぴな場所だと売却は困難でしょう。
②維持・管理が行き届いている
物件の清潔感も大事です。
日が経つにつれて品質が低下する「経年劣化」は致し方ありません。
窓が割れていたり、草木が生い茂っていたりする建物は維持管理が行き届いていないとみられ、敬遠されやすい傾向にあります。
③相続人全員に売却の意思がある
もしも相続不動産の相続人が複数である場合、売却するには相続人全員の意思が必要です。
相続人同士が疎遠であったり、仲が悪く話が進まなかったりと意思の一致が見られないケースは少なくなく、売却は困難を極めるでしょう。
その際は、司法書士などの専門家を交えることをお勧めします。
④家屋を修繕して売却 or 更地にして売却するか明確
買い手が見つからない理由として、修繕もしくは取り壊しの目途が立っていないことが挙げられます。
ある程度修繕されていれば、新築よりも安く購入できると考える人もいれば、土地だけ手に入れて建物は新築したいという人もいます。
売却価格や他の財産とのバランスも鑑みて、修繕もしくは解体を検討するのが良いでしょう。
税理士や不動産鑑定士などの専門家を頼るとスムーズです。
>>合わせて読む「【空き家にお困りの方へ】 放置している空き家を有効活用する8つの事例とは」
3.相続空き家譲渡の3,000万円特別控除とは
相続不動産の売却が叶った際、「相続空き家譲渡の3,000万円特別控除」の利用をお勧めします。
相続空き家譲渡の3,000万円特別控除とは
不動産譲渡所得における特例のこと。
住居用財産の「譲渡所得」から3,000万円を控除する特例制度。
不動産を売却すると買主からお金をもらいますよね。
すると不動産所得を得ることになるので、譲渡所得税がかかります。
(給与所得とは別の所得扱いなので、サラリーマンの方でも確定申告が必要になります)
通常、売却金額から家の取得費や仲介手数料などの諸経費を差し引いた結果、損益がプラスなら譲渡所得税がかかります。
しかし、次の5つの条件を満たせば、最高3,000万円の譲渡所得控除が得られます。
相続空き家譲渡の3,000万円特別控除の5つの条件
✔相続発生日から3年後の12月末までに譲渡
✔1981年5月末までに建築した戸建てが対象
✔売却先は親族以外の第三者であること
✔売却金額は1億円以下
✔売却時に家屋を取り壊して更地状態もしくは耐震リフォームを実施
注意点は最後の「売却時に家屋を取り壊しor耐震リフォーム実施」です。
解体費用やリフォーム費の捻出が厳しく、売却を断念する人も一定数いると前述しました。
しかし、この特例制度を利用すれば、税金を支払わずに売却できる可能性もあるのです。
本特例に関しての詳細は別記事に譲りますが、税理士に相談して売却を検討するのが良いでしょう。
まとめ
売却しやすい相続不動産の特徴などについて解説してきました。
本記事のまとめ
✔空き家の取得方法で最も多いのが相続
✔立地の良い不動産だと売却しやすい
✔売却には相続人全員の同意が必要
✔3,000万円特別控除の利用を検討
✔ただし解体orリフォームの実施が条件
税制をうまく活用することで、相続不動産の売却が実現できます。
税理士や不動産鑑定士など、不動産会社以外の専門家を交えて不動産売却を検討するのが、相続不動産売却への近道です。