1.売却価格の指標となるもの
不動産には、どれくらいの価値があるのかを表した「不動産評価額」というものがあります。
不動産評価額は、国が公表している土地取引の目安となる「公示価格」、相続税や贈与税の算出に用いられる「路線価」、固定資産税の算出に用いられる「固定資産税評価額」など複数の種類があり、一つひとつ目的は異なります。
各々別の基準で評価をしているため、同じ不動産でも評価額はかわります。
ただし、これら不動産評価額は実際の取引相場の価格とは少し異なるものです。
売却価格を検討する上で重要な指標になるのは、ずばり実際の取引相場です。
同じマンションの他の部屋の取引事例や、エリアや築年数といった条件が近い物件の取引事例を参考に売却価格を決める手法を「取引事例比較法」といいます。
また投資用物件の場合、「収益還元法」という手法もあります。
収益還元法
当該の不動産から期待される利益(家賃収入)を基に算出し、価格を決めること
2.2種類の査定方法
指標となる相場がわかっても一般の方が「取引事例比較法」や「収益還元法」を用い、価格を算出することは難しいでしょう。
そこで多くの方は、不動産会社に物件の査定を依頼します。
査定の方法については、大きく2種類あります。
「机上査定」と「訪問査定」と呼ばれるものです。
机上査定
電話等での所有者からのヒアリング内容や取引事例を調査し査定するもの
訪問査定
その名の通り実際に現地(物件)を訪問し、詳細な部屋の現況や周辺環境を確認した上で金額を出すもの
「机上査定」は簡易的な査定ですので、比較的短時間でおおよその金額を知るのに有効です。
より精度の高い査定が必要な場合は「訪問査定」となります。
また、物件が賃貸中の場合は内見ができませんので賃貸借契約書の内容など詳細の資料を不動産会社に提示した上で、査定依頼をする必要があります。
金額の有利不利に違いが出るものではありませんが、具体的に資金の目途をつけたい考えであれば「訪問査定」を依頼しましょう。
3.売却価格を左右するもの
ではどのような条件が揃っている物件が高値で取引または査定がされるのでしょうか。
わかりやすいところで言えば、築年数が新しい・人気のエリア・面積が広いなどがあります。
上記の他に、査定に関係なさそうな内容でも、実は影響が出る場合もあります。
■メリットとなる例
- 間取りが使いやすい
- 日当たりが良い(一般的に南向きが良いと言われます)
- 駅から物件までの道のりが平坦、夜でも明るい雰囲気で安心できる
■デメリットとなる例
- 土地権利が借地となっている物件
- バルコニーが線路(または高速道路)に面している
またマンションの場合、一般的に上層階は取引相場が高くなりますが、エレベーターがない物件については、低層階の方が取引相場は高くなる傾向があります。
その他、総戸数が極端に少ないこと、管理費・修繕積立金が比較的高いこと、地下住戸などもデメリットとして見られてしまいます。
4.最も大切なことは
これまで売却価格の指標、不動産会社の査定方法、売却価格を左右するものについて紹介してきました。
最後に売却価格を決める上でとても大切なことがあります。
それは「いつまでに売りたいか?」という希望時期と「最低限この金額以上では売りたい」という希望最低価格を考えておくことです。
希望最低価格を考えておく理由は、売り手側が希望する最初の価格から値下げ交渉が入ることも考えられるためです。また、売却にあたり諸費用も発生するため実際の手取り額は目減りします。
それらを踏まえた上で最低限いくら手元にお金が残れば良いか、という希望最低価格をイメージしましょう。
すぐに売却を成立させることを優先するならば、希望価格を相場よりも低めに考えることも効果的ですし、特に売却を急いていなければ相場より高めの希望価格で売却活動を行い一定の期間様子をみることもできます。
これまでに紹介した各項目を整理した上で、後悔しない不動産売却を行いましょう。