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不動産売却

投資用不動産はいつ売るべき?売却の判断基準と注意点

執筆者:Redia編集部 Redia編集部

投資用不動産は売却時期で価格や課される税金に差があるため、「売り時」を見極める事が重要となります。

「売却価格が高くなったから」という理由で売却を行うと、今後高い収益が出る物件を手放してしまう、余計な税金を支払う可能性があります。

この記事で投資用不動産を売る時の判断基準と注意点を知り、適切な時期に売却を行いましょう。

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1.投資用不動産を売る時の判断基準3つ

投資用不動産は通常の不動産と違い、減価償却費を計上できる期間やローンの元金と減価償却費のバランスが判断基準に加わります。

もちろん不動産の価値が上がり、売却価格が上がるタイミングも重要となります。

1)減価償却費の計上が終了した後

物件を売却する判断基準の1つに、不動産投資の経営で重要な「減価償却費」のタイミングがあります。

減価償却費は不動産の資産価値が減少していく事を計上できる経費で、不動産投資で計上できる経費の中では大きな割合となります。

木造の住宅は22年、鉄骨鉄筋コンクリートまたは鉄筋コンクリート造の住宅は47年となっており、例えば木造のアパートを築10年で取得した場合、12年で減価償却費の計上は終了します。

減価償却費の期間が短い方が、より多くの費用を計上できるため大きな節税効果が期待できます。

所得税や住民税は、大まかには「総収入-経費(減価償却費含む)」で算出する事業所得または不動産所得に一定の税率を掛けて算出しますが、償却期間が終わった後は経費が少なくなった分所得が上がり、所得税・住民税が一気に増額となってしまいます。

減価償却費を計上している期間

減価償却費の計上が終わった後

所得税・住民税は累進課税で所得が大きくなればなるほど金額が上がっていきますので、投資用物件が「減価償却の計上が終わったか否か」は売却の際に重要なポイントの1つとなります。

2)減価償却費>ローンの元金となった時

不動産投資ではローンの利息部分を経費として計上できますが、元金部分は計上できません。

ローンの支払方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」があり、「元利均等返済」は毎月一定額を返済していく方法で、最初は元利部分が大きいですが年数と共に経費にできない元金の割合が大きくなっていきます。

一方で「元金均等返済」は毎月の返済額のうち、元金が一定で最初に利息の支払いが最大となり徐々に減っていく仕組みです。

経年と共に、減価償却費が元金を上回る確率が高い元利均等返済のイメージを見ていきましょう。

減価償却費には毎年一定額を償却する「定額法」と毎年同じ償却率を掛ける「定率法」が存在しますが、2007年4月以降に取得した建物は届け出が無い場合「定額法」が用いられます。

毎年減価償却費として同じ額を計上した場合、元金と減価償却費が交わる年が生じます。

上記のように減価償却費が投資用ローンの元金部分を上回る場合、経費として計上できない支出が発生してしまい、税金の負担が多くなってしまいます。

元利均等返済方式でローンを返済している方は、たとえ減価償却の計上ができる段階でも交わった年度で売却すると税金の負担が重くならずに済むでしょう。

3)不動産の価値が上がっている時

不動産投資の出口戦略として、可能な限り高値で売却することが必須となりますので、不動産の価値が上がっている時に売却することが理想です。

例えばオリンピックで東京の土地価格が上がっている時や、路線価という地価の指標が上がっている際、入居率が100%のタイミングやリノベーション直後等は売却価格が高くなる傾向があります。

路線価は国土交通省のホームページ(https://www.rosenka.nta.go.jp/)でチェックする事が可能で、公示価格(不動産取引の指標となる価格)の約8割程度となります。

公示価格が高くなった際は「売り時のチャンス」です。

また、入居率が高く収益性のある物件は価値があるとみなされ相場より高値で売却できる可能性があります。

ただし収益性が高いということは経営が順調な証拠でもあるため、「手放したくない」と感じるオーナーも多いでしょう。

売却のタイミングに悩んだ時は、減価償却費や税金も含めた収支シミュレーションを作成し、適切な売り時を見定めましょう。

2.投資用不動産を売却する時の注意点

1)複数の会社に査定を依頼する

投資用不動産に関わらず、不動産を売却するにあたって「売却価格の決定」は重要なポイントとなります。可能な限り高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、適切な売却価格を見定めておきましょう。

なおインターネットで利用できる一括査定依頼は「机上査定」という周辺の売却価格と比較し算出した簡易的な査定価格で、不動産会社に訪問して査定してもらう「訪問査定」の方が、物件の細かな条件を加味されておりより実際の売却価格に近い査定価格となっています。

まずは一括査定を行った後、数社に訪問査定して査定額を出してもらい、売却価格を決定しましょう。

2)5年を境に売却時にかかる税金が変わる

不動産を売却し利益が出た時には「譲渡所得税」が課されますが、譲渡所得税には「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」があります。

短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものを指し税率は30%(住民税は9%)、長期譲渡所得譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもので税率は15%(住民税は5%)となります。

「譲渡した年の1月1日」は計算が複雑となりますが、「所有してから何回お正月を迎えたか」と言い換える事が出来ます。

取得して5回以上お正月を迎えて売却した場合、4回の時に比べ税金が約2分の1となりますので、5回以上お正月を迎えてから売却すると支払う税金を少なくすることができます。

「赤字経営でもう限界」「オリンピック前に売った方が高く売れる」といったケースは別ですが、可能な限り5年以上所有してから売却するようにしましょう。

3.出口戦略はあらかじめ決めておこう

投資用不動産を売却する際の出口戦略は、定期的に収支シミュレーションを行い売却の基準を定めておいたほうが良いでしょう。

例えば「7年後には経年で価格が下落するから、あと6年で売却しよう」「3年後に減価償却費とローンの元金が交わるからそれまでには売却したい」と計画を立てておくことで、ゆとりを持った売却活動が可能となり、納得のいく価格で売れる可能性が高くなります。

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