オーナーチェンジ物件を高く売るには?売れない時に見直すポイント
不動産投資を行っていると、さまざまな事情からマンションの売却を検討する機会がでてきます。
収益物件の売却方法は、次の2つに大別されます。
〇オーナーチェンジ物件として売却
〇実需物件として売却
要は、入居者がいる状態で売却するか、退去したタイミングで売却するかということ。
両者の査定方法は異なり、査定額も大きく異なります。
どのタイミングで、どの方法で査定すれば最も高く売れるかは、マンションのタイプ次第です。
本記事では、オーナーチェンジマンションを高値で売却するポイントをマンションタイプ別にご紹介します。
1.オーナーチェンジ物件を高く売るには査定方法を知ることが大事!
ワンルームやファミリータイプなど、マンションのタイプによって高く売れる査定方法は異なります。
とはいえ、査定方法は、オーナーが自由に選択できるわけではありません。
マンションの状況に応じた査定をし、査定に応じた価格が相場となってくるため、まずは物件の種別や状況に応じた査定方法を知っておきましょう。
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1)収益還元法(コストアプローチ)
収益還元法とは、物件が持つ収益力から査定額を算出する方法です。収益マンションの1室は、主に収益還元法で査定されます。
収益還元法には、次の2種類があります。
直接還元法
1年間の純収入を還元利回りで割り、査定価格を算出する方法です。
DCF法
直接還元法では加味されない長期的な利益と損益を考慮し、より精度の高い査定額を出す方法です。
2)取引事例比較法(マーケットアプローチ)
取引事例比較法は、対象物件と類似した条件の物件が過去に成約にいたった金額を基に査定額を算出する方法です。
主に、居住用マンションの一室や土地の査定に用いられます。
取引事例比較法による査定額は、収益還元法と比較すると高くなる傾向にあります。
とくに、ファミリータイプなど一定の広さ・賃料のマンションは、この傾向が強くなります。
その理由は、次のとおりです。
- 住宅ローンと不動産投資ローンの金利差
- 高価格帯の収益物件はローンがおりにくい
- 賃料には限度があることからファミリータイプの物件は収益還元法では不利になる
3)原価法
原価法とは、対象物件をもう一度建築したと仮定したときにかかる想定金額から査定額を算出する方法です。
主に、一戸建てや一棟マンション、一棟アパートの査定に用いられます。
2.オーナーチェンジマンションのタイプ別、高額売却のコツ
オーナーチェンジマンションを高額売却する際には、マンションタイプに合わせた売却方法を選択することが大切です。
ここからは、ワンルームマンションとファミリータイプマンションの売却時のポイントをご紹介します。
1)ワンルームマンションを高額売却するには
5年以内に売却しない
不動産を売却して利益を得た場合、利益額に応じて所得税や住民税が課されます。
これを譲渡所得税といい、売却した不動産の所有期間によって税率が変わってきます。
5年を超えて所有していた場合は長期譲渡所得に該当し、5年以下でマンションを売却した場合に比べて税率を半分程度に抑えることができます。
よって、キャピタルゲインを高めるには、マンションの取得から5年を超えてから売却したほうが有利です。
ただし、ここでいう「所有期間」は、売却した年の1月1日時点の所有期間を指すためご注意ください。
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収益力を上げる
先の通り、オーナーチェンジ物件は、収益力に基づいた「収益還元法」で査定されます。
収益還元法では、収益が高ければ高いほど査定額が高くなります。
とはいえ、家賃を上げすぎて空室になってしまえば、収益力が下がってしまうので本末転倒です。
売却を検討している場合は、更新のタイミングなどで更新手数料を値引きするなど空室対策をしたうえで、家賃を上げる交渉をしておくと良いでしょう。
空室時には売らない
査定方法で査定額が変わってくるというのは、前述のとおりです。
収益還元法より取引事例比較法のほうが査定額は高くなる傾向にあるものの、ワンルームマンションなどコンパクトマンションに限っては、入居者がいる状態の方が早く、高く売れると考えられます。
さらに、物件取得後すぐに家賃を得られるため、買主である新オーナーが収支計画を立てやすく、ローンも通りやすいというメリットもあります。
入居者の退去を待って売却するのではなく、入居者がいるタイミングでの売却を進めるようにしましょう。
ワンルーム投資会社に売却した方が高くなるケースがある
ワンルームのオーナーチェンジの場合、仲介ではなくワンルーム投資会社に売却した方が高く売れるケースがあります。
ワンルーム投資会社では投資用のワンルームマンションを買い取り、投資家に再販する事業を行っています。
この場合、ワンルーム投資専門の金融機関を利用できるため、仲介よりも高い価格で売却できる可能性があります。
高額で売却しやすい時期に売る
ワンルームマンションは、新年度を前にした時期がもっとも需要が高いものです。
3月が最も取引件数が伸びるため、この時期を狙って売却するのも1つの戦略となります。
とはいえ、不動産の売却には一定の時間がかかります。
3月に売り出すのではなく、この時に成約できるよう年明けには査定を受け、売り出す準備をしておくべきでしょう。
2)ファミリータイプマンションを高額売却するには
5年以内には売却しない
ワンルームマンションと同様に、取得から5年以内に売却すると譲渡所得税が高くなってしまいます。
売却をする際には、所有期間が5年を超えてからにすると良いでしょう。
空室時に売却する
ファミリータイプマンションは、空室になったタイミングで売却することをおすすめします。
賃料は20万円を超えると一気に需要が下がると言われていることから、ファミリータイプのマンションは、部屋の広さに応じて賃料を高くするというわけにはいきません。
つまり、ファミリータイプのマンションは、ワンルームマンションと比べると割安で貸し出されているということ。
収益還元法は賃料を基に査定するため、割安で貸し出しているファミリータイプのマンションは不利になってしまうのです。
また、ファミリータイプマンションは、投資目的で購入する人よりも居住目的で物件を探す人の方が多いということもあります。
オーナーチェンジでは、既に入居者がおり、自分が住むことができないため、売却対象は投資家のみとなります。
しかし、空室の状態であれば居住目的の物件を探している人たちも対象に含むことができるため、高値で売却できる可能性が高くなります。
リフォームは最小限にする
空室時に売却することを前提とした場合、室内をきれいにリフォームする必要はありません。
ファミリーマンションは平米数が広いため、リフォームを行うと高額の費用がかかりますが、リフォームをしたことで売却価格が上がるかどうかの保証はないからです。
室内の状況が過度に劣化している場合であっても、クロスを張り替えるなど、最低限のリフォームにとどめるようにしましょう。
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高額で売却しやすい時期に売る
ワンルームマンション同様、3月は物件の動きが良い時期です。
加えて、ファミリータイプのマンションは、9月も成約数が伸びる傾向にあります。
これは、学校や会社の期初であるとともに、お盆や夏休みが終わって多くの家族が日常の生活に戻ることに起因しています。
ただし、9月を狙って売却する場合にも、売却には一定の期間がかかることから、梅雨明け〜初夏にかけて査定を受けておくことをおすすめします。
3.オーナーチェンジ物件の売却の流れ
オーナーチェンジ物件は、借主との賃貸借契約を物件とともに買主に引き継ぎます。
入居者に貸主が変わることを通知するのは、物件引き渡し後で問題ありません。
退去を迫る必要もないことから、一般的な不動産売却と大きく流れは変わらないといえるでしょう。
オーナーチェンジ物件の売却の流れ
- 不動産会社に査定依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動
- 購入申し込み
- 売買契約
- 引き渡し
- 入居者への通知
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まとめ
オーナーチェンジマンションをできるだけ高く売却するためには、査定方法による価値の算出方法の違いを認識し、物件の特徴にあった売り出し方や売却のタイミングを検討する必要があります。
売却活動は仲介会社がしてくれますが、これらの判断はオーナーにしかできません。
とはいえ、市況や有力な購入候補者がいるかどうかの詳細は、なかなかオーナーでは判断がつかないところ。
だからこそ、頼るところは仲介会社を頼り、そのうえで売却を決断するのがオーナーの役割です。
市況や市場のニーズは刻一刻と変わっているため、売却を決断してから不動産会社に相談するのではなく、最も良いタイミングで遅滞なく資金化や資産替えができるよう、余裕を持って弊社ランドネットにご相談ください。