権利証が見当たらない!?見つからない場合の対処法を徹底解説
東京オリンピック本番を直前に控え、都内の不動産価格はまさにピークを迎えているといっても過言ではないでしょう。
値上がりしているうちに物件を売却しようと考えている人は多いと思いますが、いざ売ろうとした時に「権利証が見つからない」とのご相談を受けることがよくあります。
そこで今回は、万が一所有物件の権利証を紛失した場合にどんな手続きが必要で、費用はどのくらいかかるのかについて詳しく解説します。
1.権利証の再発行はできない
まず結論からいうと、権利証の再発行はできません。
おそらく多くの方が驚いたかもしれませんが、実は権利証については一度なくしてしまうと同じものを再発行することはできないのです。
物件の売却を考えている方から、
「権利証が見当たらないので、再発行の手続きを教えて下さい」
と気軽にご相談してくる方がいるのですが、再発行できる書類ではありませんのでまずは心当たりのある場所を徹底的に探すようお伝えしています。
意外と見つかる権利証
権利証は普段使うものではないので、いざ売却するとなると「あれっ」ということになりがちなのですが、落ち着いて探してみるとほとんどの方がその後権利証を見つけています。
権利証がよく見つかる場所についてまとめてみました。
- 自宅の書斎
- 自宅の金庫
- 仏壇の収納
- 銀行の貸金庫
- 神棚
まだ探していない場所がある方は、一度落ち着いて確認してみましょう。
書類に「権利証」と書かれているとは限らない
権利証を探す時は書類自体に権利証と書かれていない場合もあるため注意が必要です。
そもそも権利証と呼ばれている書類は、法改正の前後で大きく2つの種類があります。
登記済権利証
2004年まで発行されていたもので、いわゆる権利証と呼ばれている書類です。
書類は綴じ込みになっていますが、表紙についてはその当時登記を担当した司法書士事務所オリジナルのものになっているため、どのように表記されているかは事務所によって若干異なります。
登記済権利証の場合は、見た目がいかにも大切に見えるため紛失するケースが少なく、万が一紛失しても自宅で見つかることが多いです。
登記識別情報通知
2005年以降は登記済権利証から「登記識別情報通知」という書面に変更となったため、書類のタイトルから「権利証」という文字が一切消えてしまいました。そのため、「権利証」というタイトルの書類を探していると永久に見つからない可能性があります。
「登記識別情報通知」はA4の住民票に似た用紙で、書類の下のほうにシールのようなものが貼ってあります。もしも登記識別情報通知を見つけたとしても、このシールは絶対にはがしてはいけません。
シールの下には登記識別情報といわれる12桁の英数字が書かれており、この数字が権利証の代わりになる「パスワード」の役割を果たしています。つまり、シールをはがして12桁のパスワードを他人に見られてしまうと、権利証を盗まれたのと同じ状態になってしまうのです。
シールは登記をする時に剥がしますので、絶対に自分で剥がさないよう注意しましょう。
万が一剥がしてしまった場合は、誰にも見られない金庫などに保管をして売却する時になったら事前に担当司法書士に相談してください。
2.どうしても権利証が見つからない時の対処法
いくら探しても権利証が見つからないという場合、再発行はできませんが権利証がない状態で物件を売却する方法が2つあります。
ただ、不動産会社を通じて他人に物件を売却する際には、手続き上の関係で下記方法をとることがほとんどです。
本人確認情報の提供
権利証や登記識別情報通知が見つからない場合は、客観的にその人が所有者であると証明できるものがないので担当司法書士に、
「この人は権利証を紛失していますけど、不動産の所有者で間違いないですよ」
というお墨付きである「本人確認情報」を書面で作成してもらい、権利証の代わりに法務局(登記所)に提出するのです。
最近では、なりすましや地面師のようなプロの詐欺集団もいることから、権利証がない場合の本人確認は非常に厳格に行われます。
司法書士との面談ですること
司法書士に本人確認情報を作成してもらうためには、司法書士との直接面談が必要です。
そこで司法書士は本人に対して次のようなことをヒアリングして、本当に不動産の所有者であるかどうかを判断します。
本人確認書類の確認
本人確認として以下の書類のうちいずれか1つが必要になります。
- 運転免許証
- 個人番号カード
- パスポート
- 在留カード
- 特別永住者証明書
いずれも持っていないという場合は、以下の書類のうちいずれか2つが必要になります。
- 保険証
- 年金手帳
- 母子手帳
- 身体障碍者手帳
- 組合員証
意外と本人確認書類がそろわない方がいますので、顔写真付きの書類がない方は早めに個人番号カードの発行手続きを済ませておくとよいでしょう。
司法書士に聞かれること
面談では氏名住所、生年月日など基本的な本人確認からはじまります。
生年月日についてはなりすましを防止するために、単に西暦で聞くのではなく干支をたずねてくることが多いです。
そのほかにも、物件を購入した経緯や購入後の管理委託先、今回売却に至った経緯など事細かく質問されますので、忘れている方は頭を整理しておく必要があります。
また、不動産を購入した時の売買契約書などの書類が必要になりますので予め準備しておきましょう。
本人確認情報の作成はいくらかかる?
本人確認情報の作成を司法書士に依頼した場合の費用は、司法書士事務所によっても異なりますので一概にはいえませんが、おおむね「10万円程度」と考えておいたほうがよいでしょう。
特に司法書士と面談する際に、自ら司法書士事務所に足を運ぶのではなく、司法書士に指定した場所まで出張してもらった場合は交通費や日当などが余分にかかりますので、費用については事前に司法書士に確認しておくことをおすすめします。
3.まとめ
物件を売却しようと思ったときに権利証が見つからないととても焦ると思いますが、実際は見つからなくても売却すること自体は可能です。
ただ、上記のように余分な手続きと費用がかかることになるため、まずは自宅を隅々まで探してみることをおすすめします。
それでも見つからない場合は、本人確認情報作成のための面談手続きを早めに進めていく必要がありますので、すぐに仲介会社の担当者に伝えてスケジュールを組むようにしましょう。