1.不動産取得税とは
不動産取得税は不動産を購入・新築などにより取得した時に課される税金となります。不動産が所在する都道府県に納める道府県税となります。
「不動産の所有権の取得」に対する税金となりますので、有償・無償を問わず売買や交換に加え贈与の際にも課されます。リフォームにおいても「一部の所有権の取得」とみなされ、改築で建物価値が増加した時に不動産取得税がかかります。
ただし一定の条件を満たした場合には軽減措置や税金が控除される特例が存在します。
1)不動産取得税の申告・納付方法
不動産を取得した日から30日以内に、所在地を管轄する税務署に申告を行います。申告をしなかった場合、軽減・非課税措置が受けられないケースがありますので必ず申告しましょう。
申告後数ヶ月、遅くとも半年以内に納税通知書が届きます。都道府県により納付期限は異なりますが、おおむね1ヶ月以内に税務署や金融機関の窓口、コンビニエンスストア等で支払います。
2)不動産取得税の税率
不動産取得税は、市町村の役場に設置されている固定資産台帳に記載してある「固定資産税評価額」を基に計算を行います。固定資産税評価額に以下の割合を掛けて算出します。
取得日 | 2008年4月1日~2021年3月31日まで |
土地・家屋(住宅) | 3% |
住宅でない家屋 | 4% |
固定資産税評価額は、取引の基準として国土交通省が定める「公示価格」の約7割で設定されています。
3)非課税となるケース
不動産取得税は、一定の価額(固定資産税評価額)以下の不動産には課されません。
区分 | 土地 | 建築による家屋の取得(新築・増築・改築) | その他の家屋の取得(売買・交換・贈与など) |
固定資産税評価額 | 10万円 | 1戸あたり23万円 | 1戸あたり12万円 |
相続における不動産の取得や、相続人に対して行われた遺贈、公共用の道路、学校法人や社会福祉法人など一定の法人で用いる場合などでも税金が免除されます。
2.不動産取得税の軽減措置
不動産取得税は、住宅を建設した時と新築・中古物件を購入した際に一定額が軽減されます。
下記の表が軽減措置に当てはまる不動産の要件と税額の計算方法となります。
※「土地1㎡当たりの価格」は固定資産評価額÷土地の面積の額となります。
※参考:東京都主税https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/fudosan.html#gaiyo_07
3.不動産取得税はいくらかかる?中古マンションの場合で算出
実際に、不動産取得税の計算を以下の条件で行ってみましょう。
- 物件:中古区分マンション、築10年
- 家屋の固定資産税評価額:1500万円
- 土地の固定資産税評価額:2000万円
- 床面積:専有面積50㎡、土地の持ち分面積40㎡ 住宅の持ち分割合10%
※土地、区分で購入した場合はマンション1棟に対する持ち分割合で計算。
1)家屋の計算
築10年のため、控除額は1200万円となります。
(1500万円-1200万円)×3%=9万円
家屋の不動産取得税は9万円となります。
2)土地の計算
控除額は以下のいずれか大きい金額となります。
イ.45000円
ロ.土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×住宅の取得持ち分×3%
ロを計算してみましょう。
((2000万円÷40㎡)×1/2)×(50㎡×2)×10%×3%=75000円
イの45000円より大きな額となり、控除額は75000円となります。
最後に税額の計算です。
(2000万円×1/2×3%)-75000円=225000
土地の不動産取得税は22万5000円となり、家屋と合わせると31万5000円です。
なお、不動産投資では必要経費として計上する事が出来ます。
4.不動産取得税はあらかじめ試算しておこう
不動産投資で住宅を取得する際には不動産取得税も支払う事になります。
不動産取得税の納税通知書は、自治体によっては半年程度かかることもありますので、あらかじめ試算を行い、お金を確保しておきましょう。
非課税でも納税通知書が届くこともありますので、軽減措置や非課税となる金額をおさえておきましょう。