不動産投資で計上できる経費
不動産投資は税金との戦いといわれるほど、所得税をはじめとする税金負担が重くのしかかるため、適切な節税対策を講じる必要があります。
不動産投資の節税を考える上でとても重要な事、それは経費計上です。
そこで本記事では、不動産投資における経費がいくらまで落とせるのか、どこまで落とせるのかについて詳しく解説します。
1.経費の重要性
不動産投資に限らず、所得税は個人の所得に対して課税される税金なので、節税するためには所得を引き下げる事が非常に有効となります。
今回ご紹介したい節税対策は、設備投資をして経費を捻出するやり方ではなく、すでに費用として支出しているもののうち、経費として計上できていないものを徹底的にチェックして漏れなく計上する方法です。
不動産投資は他の事業とは違い、家賃収入という一定の売上がある一方で、人件費など高額なランニングコストがかかりにくい傾向があるので、何の対策もとらずにいると高額な税金が課税されるリスクがあります。
2.不動産投資の経費一覧
次の費用については、不動産投資の経費として計上することが可能です。
1)不動産会社に対して支払う費用
- 仲介手数料
- 広告料(賃貸募集の際)
- 管理費
- 修繕積立金
2)税金について
- 固定資産税/都市計画税
- 登録免許税(抵当権設定や所有権移転など)
- 不動産取得税
- その他司法書士費用
3)修繕費
- 設備品の交換費用
- 退去後の内装工事費
- リフォーム費用
注意点
簡単なリフォームはそのまま経費として計上できますが、リノベーションなど建物の価値を高めるリフォームについては「資本的支出」とみなされ、減価償却の対象となりますので注意しましょう。
4)その他
- 減価償却費
- ローン利息
3.計上が漏れやすい経費
上記の費用については、比較的漏れなく申告できているケースが多いのですが、次に紹介する費用については意外と漏れることがあるので注意が必要です。
1)損害保険料
物件にかけている火災保険などの損害保険については、保険料を経費として計上できます。
損害保険料のいいところは、節税になるということだけではなく、保険金を使って修繕ができるという点です。
特に昨今の日本は、集中豪雨や台風などで物件に被害が出ることが多いので、保険に加入しておくと案外適用できる機会は多くなります。
私の知り合いの投資家は、ちょうど設備が老朽化してきたところに台風が来て壊れることが多いので、ほとんど保険金で修繕ができているといっていました。
まだ未加入という方は、ぜひ加入してみてはいかがでしょうか。
2)交通費
物件現地まで行った際の交通費などについても、経費として計上することが可能です。車移動する場合については、ガソリン代や高速代なども場合によっては経費として認められます。
ただし、車両本体の維持費である駐車場代や自動車税、自動車重量税、車検代などについては私用として使う比率の方が高いのでなかなか経費として認められません。
これらの費用を経費として計上したい場合は、個人事業主ではなく法人化する必要があるでしょう。
4.不動産投資を法人化するメリット
個人事業主が経費として落とせる範囲は、事業のために支出した費用に限定されるので、どうしても多くの費用を経費に回すことができません。
対して法人化した場合は、基本的に会社の活動のための出費であれば広い範囲で経費として認められるので、かなりの節税効果があります。
法人化すると社会保険料など一定のランニングコストがかかりますが、所得税が累進課税で最高税率が45%なのに対し、法人税は比例税率で一定の利益を超えると所得税よりも有利になる点もメリットです。
5.青色申告でさらに節税
漏れなく経費を計上した上で、さらにできる節税対策としては青色申告です。
複式簿記による帳簿付けをすることで、次の3つの特典が受けられます。
1)最高65万円控除
不動産投資の規模が「5棟10室以上」になると、事業的規模となるので最大で65万円の控除を利用できます。
2)不動産所得の赤字を繰越せる
不動産所得の赤字分を最長で3年間繰り越すことができます。
3)家族への給与を経費に
青色申告専従者給与によって、家族に支払った給与を経費として計上できます。
6.損益通算でさらに節税できる
不動産投資は建物を減価償却して経費化していくため、キャッシュフローは黒字でも確定申告上は赤字になることがよくあります。この場合、不動産所得で生じた赤字を他の所得に当てて相殺することが可能です。
これを「損益通算」といい、サラリーマンの給与所得と相殺することで源泉徴収された税金の一部の還付を受けることができます。
7.まとめ
不動産投資は意外と経費として認められる項目が多いので、漏れなく申告することがとても大切です。中でも給与所得があるサラリーマンの方は、損益通算することでかなりの節税効果があるので不動産投資に非常に向いているといえるでしょう。