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副業サラリーマンがマイクロ法人を設立するメリット・デメリットとは

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

テレワークが浸透し、フリーランスで働く人々も増え、働き方が多様化してきた近年、個人事業主がマイクロ法人を設立するケースが増えてきました。
サラリーマンで副業を行っている方も多く、法人化を検討しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、マイクロ法人を設立するメリットやデメリットについて解説してきたいと思います。

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1.マイクロ法人とは

マイクロ法人とは、従業員1人のみで事業を行う会社のことです。

普通、会社というと、オフィスを借り、デスクなどを用意し、社長のほかに複数の従業員がいて事業を運営するというイメージですが、マイクロ法人は従業員を雇わず、必要最低限の環境の中、1人で事業を営む会社形態です。

そのため、プライベートカンパニーとも呼ばれていますし、フリーランスの法人化と言われることも多いです。

2.マイクロ法人の作り方

マイクロ法人設立の流れを簡単に説明すると、以下のようになります。

マイクロ法人設立の流れ

①事業内容、登記内容などの基本事項を決める
②法人用の印鑑を作成する
③定款を作成する
④定款の認証を行う
⑤資本金の払い込みを行う
⑥登記申請をする
⑦各所へ届け出をする

それぞれ見ていきましょう。

 

①事業内容、登記内容などの基本事項を決める

会社の商号、本店の住所、事業内容、資本金、決算日、公告方法などを決めておきましょう。

 

②法人用の印鑑を作成する

会社の印鑑が必要となりますが、印鑑は完成までに日にちがかかることが多いので早めに用意しておきましょう。

 

③定款を作成する

web上には、定款のテンプレートやサンプルが数多くアップロードされていますので、それを参考に作成すると良いでしょう

 

④定款の認証を行う

株式会社の場合は、公証人による定款の認証が必要となります。

 

⑤資本金の払い込みを行う

資本金は原則として現金で発起人の銀行口座に振り込みます。

 

⑥登記申請をする

法務局へ登記申請をします。

申請の受付が完了すれば晴れて会社の設立となり、法人の印鑑証明書や登記簿謄本を受け取ることが出来ます。

 

⑦各所へ届け出をする

税務署、都道府県、市町村などへの法人設立届出書の提出をはじめ、各所へ届け出や手続きが必要です。

 

ただ、忙しいサラリーマンが副業のために会社を設立するとなると、このような手続きは時間も手間もかかりますし、1人でこなすのは難しいかと思われるので、料金はかかりますが、司法書士などの専門家に依頼した方か良いでしょう。

3.マイクロ法人を設立するメリットとは

マイクロ法人の設立には、以下のようなメリットがあります。

1)節税効果がある

マイクロ法人を設立し、そこから給与として役員報酬を受け取るという形は、会社の経費として役員報酬を支払ったことにもなります。

つまり、役員報酬は、給与でありながら経費としてみなされるため、給与所得控除が適用されるうえに、経費としても計上出来るということです。

所得税と住民税は、課税所得をもとに計算されるので、給与所得控除が適用され、給与が経費として計上出来れば、所得税と住民税の大幅な節税になるでしょう。

2)信用を得られ、資金調達もしやすくなる

法人は、設立する際に登記が必要となります。

また、定款も作成しなければなりません。

そのようにして正式な手順を踏み、設立されたマイクロ法人は、個人事業主よりも社会的な信用が得やすいです。

 

信用が得られれば、金融機関の融資の審査にも通りやすくなり、資金も調達しやすくなるでしょう。

法人としか取引をしたくないという企業や金融機関も多いため、法人化するメリットは大きいです。

4.マイクロ法人を設立するデメリットとは

マイクロ法人の設立には多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

1)設立するのに費用がかかる

株式会社を設立するには、約24万円の費用がかかります。

合同会社の設立であれば、約6万円ですみますが、法人を設立するには、設立費用だけでなく、

事業を運営するための経費や維持費などもかかることは覚えておきましょう。

2)税務申告の手続きが多くなる

法人の場合、個人事業主に比べて作成しなければならない税務書類の種類は増えますし、その作成は簡単に行えるものではありません。

従って、書類の作成に大きな労力と多くの時間を要することになってしまうでしょう。

そのため、マイクロ法人を設立した場合は、税理士と契約する方も多いです。

 

当然ながら、税理士費用がかかってしまうことにはなりますが、煩雑な書類作成を任せることが出来れば負担が減ることになるので、特に副業サラリーマンは税理士との契約を検討してみるべきでしょう。

3)赤字になっても法人住民税が発生する

個人事業主であれば、売上なしで赤字になった場合は所得税と住民税は0円になりますが、法人に課せられる法人住民税は、赤字になった場合も発生するので、支払いが苦しくなる可能性があります。

5.マイクロ法人と個人事業主の二刀流って?

これまでは、個人事業主が法人化してマイクロ法人を設立するケースについて解説してきましたが、個人事業主として働きながら、別事業でマイクロ法人を設立する、二刀流と呼ばれる方法もあるのでご紹介していきます。

6.二刀流のメリット

1)社会保険料の節約になる

個人事業主とマイクロ法人の二刀流の場合、社会保険料をマイクロ法人側で支払うことになり、個人事業主としては支払う必要がありません。

社会保険料は、「標準報酬月額×各保険料率」 で計算されるので、給与が多ければ多いほど

社会保険料は割高になってしまいます。

そこで、マイクロ法人側では利益の少ない事業を行い、マイクロ法人から自分に支払う給与を少なくすれば、社会保険料を節約することが可能となります。

2)所得税と住民税が節税出来る

前段落で説明した通り、所得税と住民税は課税所得をもとに計算されます。

二刀流の場合、個人事業主では最大65万円の給与所得控除を受ける事ができ、マイクロ法人としては最低55万円の給与所得控除を受ける事が可能です。

両方の控除が受けられれば、課税所得が少なくなり、所得税と住民税がかなり節税されるでしょう。

そして給与を、非課税で給与所得控除が使える最大の金額である、年間54万円に設定すると、所得税と住民税が非課税になり、0円になります。

また、マイクロ法人では稼ぎすぎないのがポイントです。

なぜなら、マイクロ法人での売り上げを年間75万円~80万円程度に抑えるようにすれば、社会保険料も最も安く済むようになるからです。

7.二刀流の注意点

1)マイクロ法人と個人事業は異なる業種にする

マイクロ法人の事業と個人事業を同じ業種にすると、税務署に、何らかの意図があって所得を分散していると判断されてしまったり、実質同じ事業なのだからと、まとめて課税されてしまったりします。

そこで、マイクロ法人の事業と個人事業とは全く異なる業種にするのが望ましいでしょう。

2)サラリーマンは二刀流での社会保険料の節税は出来ない

サラリーマンの場合は、社会保険料は会社で納税しているため、マイクロ法人を設立し、そちらで支払うことは出来ません。

所得税や住民税の節税が目的であれば、サラリーマンにもマイクロ法人との二刀流のメリットは存在します。

まとめ

不動産投資をはじめ、副業を行うサラリーマンも増えてきた昨今、個人事業をマイクロ法人化して節税する方法が注目されています。

 

法人化すると、信用を得られ、資金も調達しやすくなりますが、個人事業主だった頃に比べて、やるべきことや提出するべき税務書類も増え、忙しくなり時間に余裕がなくなってしまうリスクもあります。

 

その場合は、税理士を雇うなどの解決方法もありますので、事業が拡大し、副業での収入が増加してきたら、マイクロ法人化を検討するのが良いでしょう。

 

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