不動産投資ローンの金利は経費にできる!収益を増やすテクニックをご紹介
不動産投資ローンを借り入れると、毎月借り入れた元金の返済だけでなく金利部分の返済も必要になります。
借入額が大きくなればなるほど、金利に相当する額も大きくなります。
そのため、不動産投資ローンの金利部分を経費として計上することができれば、不動産所得の圧縮につながり、節税をすることができます。
果たして、不動産投資ローンの金利は経費にすることができるのでしょうか。
今回は、不動産投資ローンの金利の扱い方についてご紹介します。
1.不動産投資ローンの金利は経費になる?
不動産投資ローンの金利は、必要経費として扱うことができるのでしょうか?
不動産投資において経費として認められているものと合わせてご紹介します。
不動産投資ローンの金利は経費になる!
不動産投資ローンの金利にあたる利息部分は、経費として扱うことができます。
借入金については、経費ではなく貸借対照表上の負債として取り扱います。
一方、金利部分については損益計算書上の必要経費として取り扱うことができます。
また、ローン保証料も必要経費として計上可能です。ローン保証料は、借入時に一括して支払うこともあれば、毎月の返済金利の上乗せして支払うこともあります。
不動産投資にかかる支出のうち必要経費として扱えるものがあれば所得額を下げることができ、課せられる税金の額も低くなります。
経費として取り扱うことができる主なもの
不動産投資ローンの金利の他に経費として扱うことができる主なものは、以下のようなものです。
- 修繕費
- 管理費
- 管理委託料
- 火災保険、地震保険などの保険料
- 減価償却費
- 通信費
- 物件の購入、管理にかかる交通費
- 税金(固定資産税、都市計画税、不動産取得税、印紙税、登録免許税)
- 司法書士、税理士への報酬
- 入居者募集の広告宣伝費
- 不動産投資で計上できる経費
2.不動産投資ローンの2つの返済方法と金利の関係
不動産投資ローンには、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つの返済方法があり、どちらを選ぶかによって支払う金利の額も変わってきます。
元利均等返済方式とは
借入期間中、毎月同じ金額(元金+金利)を返済していく方式です。
元利均等返済では毎月の返済額は同じものの、返済金額に占める元金と金利の割合が時間の経過とともに変化していきます。
借り入れからしばらくは、返済額における金利の割合が高くなりますが、徐々に元金の割合が増え金利の割合は減っていきます。
したがって、借り入れ当初は経費として計上できる金利の額は大きくなりますが、返済が進むに従い金利の額は減少していきます。
元金均等返済方式とは
元金を返済期間で均等に割り、毎月一定額の元金と借入残高に応じた金利を返済していく方式です。
したがって、借り入れ当初は借入残高が多いために金利部分の額も高くなり、返済額が高くなりますが元利均等返済方式に比べて元金の返済が早くなるため、借入期間が同じ場合には総返済金額が元利均等方式よりも少なくなります。
そのため、経費に計上できる金利の額も少なくなります。
返済方法で計上できる経費はどれくらい変わる?
- 借入額:2,000万円
- 返済期間:15年
- 借入金利:0%
- 保証料上乗せ:2%
上記の条件で、「元利均等返済」と「元金均等返済」、それぞれの利息分および保証料のシミュレーションをすると以下のようになります。
元利均等返済 | 元金均等返済 | |
1ヶ月目返済額/月
(利息+保証料) |
140,048円
(53,333円) |
164,444円
(53,333円) |
5年0ヶ月目返済額/月
(利息+保証料) |
140,048円
(38,579円) |
146,962円
(35,851円) |
10年0ヶ月目返済額/月
(利息+保証料) |
140,048円
(20,998円) |
129,185円
(18,074円) |
総返済額 | 25,208,640円 | 24,826,552円 |
うち利息+ローン保証料 | 5,208,640円 | 4,826,552円 |
シミュレーション結果からもわかるように、元利均等返済は元金均等返済と比較して当初の返済額を抑えることができます。
一方、元金均等返済は、返済当初の返済額は多いものの、5年目を過ぎたあたりから返済額は元利均等返済を下回るようになり、総返済額および経費として計上できる利息、ローン保証料は、元利均等返済と比べると40万円ほど少なくなります。
3.不動産投資ローンの金利が経費にならない場合
不動産投資ローンの金利部分は基本的には経費として扱うことができますが、例外があります。
不動産所得が赤字の場合は注意が必要
不動産所得が赤字になったときには、土地の取得にかかる借入金の金利部分については、損益通算の対象にはならないという規定があります。
損益通算とは、事業所得や不動産所得、山林所得において赤字が発生した場合に、給与所得などの他の所得から赤字の所得を差し引くことです。
そのため、損益通算を行うと不動産投資で赤字となった場合でも給与所得等の所得から不動産所得の赤字分を差し引くことができるため、全体の所得額が抑えられ、課税対象の所得額が低くなり、税金を抑えることができます。
しかし、不動産所得が赤字になった場合には、土地部分の金利を経費として計上することはできますが、損益通算の対象となるのは赤字部分から土地の借入金の金利に該当する額を差し引いた金額になるため注意が必要です。
土地に関する借入金の金利はどう計算するの?
土地と建物を一括で取得した場合には、借り入れた金額のうち、建物を取得するために借りた分と土地を取得するために借りた分を区別し、借入金に対する土地の割合を算出します。しかし、借入金額のうち土地と建物に充てた割合を明確に区分することが難しい場合もあるでしょう。
そういった場合には、不動産を取得する際に用意した自己資金部分は、優先的に土地の取得代金に充てたと考えることができるようになっており、借入金は土地の残金と建物の取得代金に充てたと考えます。
したがって、土地に関する借入金の金利は以下の式で計算することができます。
今期の金利×(当初の借入金額-建物の取得代金)÷当初の借入金額
自己資金を土地の取得代金に優先的に充てることで、土地に関わる借入金の金利額が低くなるため損益通算の対象額を増やすことができます。
4.まとめ
不動産投資ローンの金利部分については、必要経費として計上することができます。
ただし、不動産取得が赤字だった場合には、土地の取得に関する借入金の金利部分については損益通算の対象に加えることはできません。
不動産投資を開始した年など、不動産所得が赤字になってしまった場合には金利の取り扱いに注意が必要です。
金利は経費計上できるとはいえ、金利が高ければ高いほど利益を圧迫し、キャッシュフローも悪化します。できるだけ低い金利不動産投資ローンを借り入れる方法は、以下の記事にまとめていますので併せてご覧ください。