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不動産投資の確定申告のやり方。節税方法や注意点を解説

執筆者:宍戸 智之 宍戸 智之
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今や身近な投資となってきた不動産投資ですが、実質利回りを考える上で外すことができない問題が税金の問題かと思います。

賃貸不動産の保有時から売却時までの税金についての理解が投資判断に重要な要素となり得ます。

今回は年間300人以上の不動産オーナーの確定申告を手掛けている筆者が、賃貸用不動産を取得した際の個人の確定申告について押さえて頂きたいポイントをお伝えしたいと思います。

1.青色申告は控除額がメリット

皆さんに確定申告といえばと聞いたら、多くの方が最初に思い浮かべる用語かもしれません。これから確定申告を行う方で、白色申告であれば、これは是非やりましょう。やらない手はないです。

  • メリット…10万円の青色申告特別控除、その他優遇規定
  • デメリット…特になし

青色申告にすると帳簿づけなどが面倒だとか難しそうといったイメージをもたれがちなのですが、平成26年から白色申告でも記帳が義務付けられました。

そのため、いずれにしても記帳が必要なのであれば、特別控除ができる青色申告をやらない理由はないといえます。

その他の優遇規定としては30万円未満の備品を購入した場合に一時的に経費とできる制度(通常10万円以上の備品は数年間で費用とする=減価償却をする必要があります)や事業で生じた赤字を向こう3年間にわたって繰り越すことができる制度などがあります。

ちなみに青色申告特別控除には55万円(e-Taxによる申告の場合等は65万円)の控除額もあります

ただし、不動産事業を行っている個人の方の場合は、ワンルーム投資であれば、10室程度以上の賃貸物件数の規模(事業的規模といいます)であるときに限りこの控除額の適用があります。

さらに記帳についても複式簿記とする必要があるなど、10万円控除を受ける場合とは要件が異なりますので注意してください。

なお、青色申告は不動産事業を行っている方(不動産所得)やフリーランスの方(事業所得)の場合に行うことができます。サラリーマンとしての給与収入のみの方は青色申告を行うことができないので、こちらも注意してください。

2.青色申告の申請

青色申告を行うためには税務署にその旨を申請する必要があります。

申請書自体は国税庁のHPよりダウンロードできますのでそちらをご参照頂ければと思いますが、作成についてもそこまで難しいものではないかと思います。

注意したいのは提出期限です。

【その年から青色申告をする場合の申請期限】

  • その年から事業を始めた方…事業を開始した日から2か月以内
  • 前年以前より事業をやられている方…青色申告を始めたい年の3月15日

期限が経過している場合でも今年分の確定申告と同時に提出(来年3月15日期限)すれば、来年からは青色申告とすることができます。

3.減価償却費の計算

青色申告の準備の後は、賃貸事業による利益、つまり、不動産所得の計算を行っていく必要があります。その計算の中でもわかりにくいものが減価償却費の計算だと思います。初めて賃貸不動産を所有される方からのご質問もこの減価償却費の計算についてのものを最も多く頂きます。

減価償却費の計算方法は次のとおりです。

  • 減価償却費=取得価額×耐用年数に応じた償却率×取得日~年末までの月数(1か月未満切上)

このそれぞれの項目をみていきたいと思います。

4.賃貸用不動産の減価償却費の考え方

具体的な計算方法に入る前にそもそも減価償却費とは?という部分について確認していきます。

減価償却費とは、不動産等の『価値』の低下に着目し、税法に定めたルールに沿って計算した費用のことをいいます

税法は不動産等を購入したとしても、その支払に応じて全額を費用としては認めてくれません。その購入額のうち、減価償却費として計算した部分を費用に計上していくことになります。

例えば、賃貸用不動産として、土地と建物を購入したとします。

このうち、土地は時間の経過に応じて価値は低下(減価)しないため減価償却費の計上はできません

それに対して建物は時間とともにその価値が低下していきます。とはいえ、価値の低下を客観的に把握することが困難なため、税法でその計算方法を定めているのです。

なお、賃貸不動産としてマンションのような区分所有権を購入した場合でも、減価償却費の計算上、土地と建物に区分する必要があります。まれにこの区分をせずにその全額を減価償却されている確定申告書類も見かけますが、それは誤りですので注意してください。

5.計算に必要な資料

それでは実際の計算です。

まずは所有されている不動産に関する下記資料をご準備ください。

  1. 売買契約書
  2. 固定資産税評価証明書
  3. 仲介手数料・固定資産税の精算金がわかる資料
  4. 登記簿謄本

6.土地・建物の取得価額

  • 減価償却費=取得価額×耐用年数に応じた償却率×取得日~年末までの月数(1か月未満切上)

最初に取得価額の計算をみていきます。

1)売買契約書

売買金額をベースにするのですが、売買契約書によって記載方法が異なるかと思います。次の3パターンのいずれかになることが多いです。

売買金額をベースにするのですが、売買契約書によって記載方法が異なるかと思います。次の3パターンのいずれかになることが多いです。

【1】売買金額(土地建物の別に記載あり)

売買契約書どおりの金額が土地、建物の取得価額となります。

【2】売買金額(消費税の記載あり)

税務上、土地には消費税がかからず、建物にのみ消費税がかかることになっています。それを利用して、消費税の金額を税率で割り返します。

そこで計算された金額が建物の税抜金額となりますので、さらに消費税額を加算した金額、それが建物の取得価額になります。

最後に売買金額から建物の金額を差し引いた残額が土地の取得価額になります。

例:売買金額3100万円(うち消費税100万円)

100万÷10%=1000万(建物税抜金額)

1000万+100万=1100万(建物取得価額)

3100万-1100万=2000万(土地取得価額)

【3】売買金額(消費税の記載なし)

売主が個人の方の場合はこのような記載になることが多いです。この場合でも土地と建物に区分する必要があります。

ここで使用する書類が「固定資産税評価証明書」になります。

この書類には取得物件の建物と土地の固定資産税評価額というものが記載されているので、その合計額における比率を売買金額に乗じて取得価額を算出します。

例:売買金額3000万

建物固定資産税評価額:1000万

土地固定資産税評価額:1400万

3000万×1000万/(1000万+1400万)=1250万(建物取得価額)

3000万-1250万=1750万(土地取得価額)

なお、マンション等の区分所有権の場合、固定資産税評価証明書に記載される評価額はその敷地全体のものであることが多いです。

その場合は、登記簿謄本に記載されている敷地権の割合を敷地全体の固定資産税評価額に乗じて、その物件に係る土地の固定資産税評価額を算出してください。

2)仲介手数料・固定資産税の精算金がわかる資料

土地・建物の取得価額ですが、実際は1の計算では完了しないことが多いのです。

というのも、物件を購入する際に支払う固定資産税の精算金・仲介手数料についてもそれぞれの取得価額に含める必要があるためです。

ざっくりいうと、次のとおりです。

購入にかかった費用で税金以外は取得価額に含める

仲介手数料は、まさに購入のためにかかった費用となります。そのため、1により計算した土地建物の金額の比率により土地部分と建物部分に按分してそれぞれの取得価額に合算します。

固定資産税はその年1月1日の所有者に課税されます。そのため、年の途中で所有者が変わったとしても新所有者(=買主)は税金を支払う必要がありません。

それを精算する目的で、売買日を基準に買主が負担すべき税金を日割計算することが多いのですが、税法上買主はその金額を負担すべき義務はありません。結果として、単に不動産の売買代金に相当すると考え、取得価額に加算することになります。こちらも仲介手数料同様に土地部分と建物部分に按分してください。

この二つの支払について、支払時の費用としてしまう誤りが多いように思われます。

なお、このほかの税金等の諸経費は支払時に費用として計上することができます。

7.耐用年数の計算

  • 減価償却費=取得価額×耐用年数に応じた償却率×取得日~年末までの月数(1か月未満切上)

次に耐用年数に応じた償却率を把握します。

ここで確認する書類は不動産の登記簿謄本(建物)です。

1)耐用年数

登記簿謄本の次の項目を確認してください。

構造…鉄筋コンクリート、木造など

種類…居宅・事務所など

こちらの記載内容を国税庁のホームページなどにある耐用年数の表にてらして耐用年数を決定します。

例えば構造が鉄骨鉄筋、種類が居宅であれば、耐用年数は47年になります。

※国税庁ホームページより抜粋https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html

2)中古資産の耐用年数

不動産投資は中古での購入も多いと思います。耐用年数は新品の状態での年数であるため、中古で取得をした場合にはその年数を中古年数に修正することができます。

まず、登記簿謄本から新築年月日を確認し、購入日までの年数を把握します。

【1】耐用年数の全部を過ぎている場合

耐用年数×20%

【2】【1】以外の場合

(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

例:(耐用年数47年-経過年数10年)+経過年数10年×20%=39年※

※1年未満の端数は切捨て。2年未満となる場合は2年とします。

3)耐用年数に応じた償却率

上記2で算定した耐用年数に応じた償却率を国税庁のホームページ等で確認します。個人の場合、建物の償却方法は『定額法』となります。旧定額法や定率法の償却率もあるので混同しないように注意してください。

ちなみに、上記2の例、39年の定額法償却率は0.026となります。

以上で減価償却費の計算要素を算出することができるかと思います。

なかなかわかりづらい部分なのですが、取得価額は基本的に購入年より後に修正することはできません

また、売却する際の税金計算にも影響を及ぼすことになりますので、購入年の取得価額・減価償却費の計算は慎重に行って頂きたいと思います。

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