【仕組み&違いを解説】不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディング
不動産クラウドファンディングもソーシャルレンディングも、昨今、投資家の間で話題となっている投資法です。
いずれも小額から投資をスタートでき、インターネットを介して資金を集める仕組みであることから、両者に対して同じようなイメージを持つ方も多くいます。
では、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングには、どこに違いがあるのでしょうか。
今回は、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの仕組みと違いについて解説します。
1.不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの仕組み
まずは、不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの仕組みの違いをご紹介します。
1)不動産クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングとは、インターンネット上でさまざまな人から少額ずつ資金を調達する仕組みです。
不動産クラウドファンディングでは、クラウドファンディングの仕組みを利用し、インターネットを介して不特定多数の投資家から投資用の不動産を購入するための資金を調達します。
集めた資金で購入した物件を運営し、得られた利益を投資家に分配するのが不動産クラウドファンディングです。
2)ソーシャルレンディングの仕組み
実は、ソーシャルレンディングもクラウドファンディングの1つです。
融資・貸付型クラウドファンディングとも呼ばれることがあります。
クラウドファンディングと同様にインターネットを介して資金を調達しますが、ソーシャルレンディング事業者は集めた資金を使って投資をするわけではありません。
ソーシャルレンディング事業者は第二種金融商品取引業に登録をした事業者であり、集めた資金を融資が必要な企業に貸し付け、その際の利息を投資家に分配します。
つまり、ソーシャルレンディング事業者は、投資家と企業の仲介をするのです。
2.不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違い
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングでは、次のような違いがあります。
1)分配金の違い
不動産クラウドファンディングは投資家から調達した資金で不動産を購入し、運用によって得られた利益を投資家に分配します。
一方、ソーシャルレンディングは第二種金融商品取引業に登録した事業者が貸金業者として資金が必要な企業に調達した資金を提供し、その利息を投資家に分配することとなります。
2)共同出資の違い
不動産クラウドファンディングでは、クラウドファンディング事業者が共同出資し、投資家と一緒に投資を行うケースがあります。
その場合、優先劣後出資方式という出資法を採用することが多く、クラウドファンディング事業者は劣後出資者となります。
不動産投資では、経年劣化によって将来的に不動産価値が下落する可能性があります。
優先劣後出資は、そのような場合に投資家に優先的に利益を分配する制度で、損失部分については事業者がカバーするものです。
劣後出資の割合が高ければ、将来的に不動産の価値が低下しても投資家のリスクは低くなります。
ソーシャルレンディング事業者は、貸金業者であり、共同出資することはありません。
3.不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの違いをご説明してきましたが、不動産クラウドファンディングには次のようなメリットとデメリットがあります。
1)不動産クラウドファンディングのメリット
不動産クラウドファンディングでは、多くのケースにおいて個別の投資物件の情報が開示されます。
情報開示の内容は事業者によって異なりますが、物件住所や築年数、入居者の情報などが開示されることが一般的です。
物件の情報が分かれば、収益性やリスクを判断したうえで投資を始められます。
前述したようにクラウドファンディング事業者が劣後出資者として共同出資することも鑑みると、不動産クラウドファンディングは低リスクの投資だと言えます。
小口投資が可能で投資初心者も始めやすい不動産クラウドファンディングですが、物価が上がっている今こそ投資の好機と言えます。
その理由は以下の記事で確認できますので、ぜひご覧ください。
2)不動産クラウドファンディングのデメリット
不動産クラウドファンディングでは、投資家が直接物件を所有する不動産投資のように金融機関から融資を受けることはできません。
そのため、自己資金以上の利益を得ることは難しく、レバレッジ効果は期待できません。
また、不動産クラウドファンディングでは源泉徴収された分配金が支払われるため、損益通算や繰り越し控除といった税制面の優遇措置は利用できない点などがデメリットとなるでしょう。
4.ソーシャルレンディングのメリット・デメリット
では、ソーシャルレンディングにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
1)ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングでは、資金を貸し付けた企業が支払う利息が分配金となります。
投資を始める時点で、金利は決まっているため、株式投資のように元本の価格が変動することはありません。
そのため、安定した利益を得られる可能性があります。
不動産クラウドファンディングと比較すると高い利回りの案件もあり、大きな利益を得ることも可能です。
2)ソーシャルレンディングのデメリット
ソーシャルレンディングは、投資先の経営状況が思わしくない場合でも、投資先を変更したり、途中で解約したりすることはできません。
運用期間中、投資済みの資金は拘束されるのです。
ソーシャルレンディングでは早期償還のリスクがあります。
経営状況が思わしくない場合は早期償還される可能性があり、その場合、損失が出てしまう可能性や資金の返済が遅れる可能性があり、最悪の場合は貸し倒れが発生し、出資金を回収できないケースがあります。
まとめ
不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングには、小額から投資を始められるという共通点があります。
不動産クラウドファンディングで得られる分配金は不動産投資で得られた収益であり、ソーシャルレンディングの分配金は企業に資金を貸し付けることで生じる金利が原資となります。
一般的に不動産クラウドファンディングでは、クラウドファンディング事業者が共同出資者となることも多く、リスクを低く抑えられるといったメリットがあります。
しかしながら、リスクが低い分、ソーシャルレンディングと比べると利回りは低くなります。
一方、ソーシャルレンディングは途中解約ができず、早期償還や貸し倒れのリスクを負う可能性もありますが、その分、高い利回りの案件もあり、大きな額のリターンを得られる可能性もある投資です。
それぞれのメリット・デメリットを十分に理解したうえで、ご自身の投資目的に合った投資法を選ぶようにしましょう。