分散投資ができる不動産クラウドファンディングとは?メリット・デメリット
不動産クラウドファンディングにはさまざまなメリットがありますが、その1つは分散投資が可能な点が挙げられるでしょう。
1つの投資対象に資金を集中させてしまうと、万が一、投資対象不動産にトラブルが生じた場合、資産が大幅に減少してしまう可能性があります。
しかし、資金を分散して投資を行えば、たとえ1つの投資先でトラブルが生じてもその他の投資で損失分をカバーできる可能性もあり、投資のリスクを軽減することができるのです。
今回は、分散投資ができる不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットをまとめてご紹介します。
1.一般的な不動産クラウドファンディングの2つの分散方法
一般的に、不動産クラウドファンディングでは、次の2つの方法を用いて分散投資が行われています。
1)同じ運用会社で不動産ファンドを複数購入することによる分散
不動産クラウドファンディングの運用会社では、いくつもの不動産ファンドを取り扱っています。
1つのファンドに資金を集中させるのではなく、同じ運用会社であっても複数のファンドに分けて分散投資をすると、リスクを分散できます。
2)運用会社を分散する
もう1つの分散方法は、運用会社を分散させる方法です。
運用会社を分散させれば、運用会社の倒産等、運用会社の経営状況によって生じるリスクを分散できます。
不動産クラウドファンディングはまだ歴史の浅い投資法であるため、運用会社を分散することもリスクを低減させるには有効な方法です。
2.更にリスクを抑える分散方法
1つの不動産ファンドではなく複数の不動産ファンドに資金を分散させる方法と、運用会社を分散させる方法に加えて、更に投資のリスクを抑える方法をご紹介します。
1)運用期間をずらす
運用期間をずらすことも、リスクを抑える点では重要な視点です。
もし、リーマンショックのような金融危機が起きたり、マーケットに大きな変化が起きたりすれば、投資をしている全てのファンドに同じタイミングで影響が出る可能性があります。
しかし、運用期間をずらして資金を投入すれば、全てのファンドに同様の影響が出る可能性は低くなり、リスクを分散できるようになります。
不動産クラウドファンディングには短期の運用ファンドと長期の運用ファンドがあります。
短期運用のファンドばかりに投資していると市況の変化が起きた時に、資産が減少するリスクがあります。
短期運用と長期運用のファンドを組み合わせて、リスクを分散させるとより安心です。
2)運用対象の不動産エリアの分散化
投資する不動産ファンドを分散しても、対象不動産をすべて同じエリアに建つものを選択した場合は、自然災害が発生した場合のリスクを分散できません。
エリアの人気が低下する等、状況が変化した場合も、投資している全てのファンドに影響が生じます。
不動産クラウドファンディングで分散投資をするのであれば、不動産エリアも分散させた方が良いでしょう。
3.不動産クラウドファンディングで分散投資をするメリット
不動産クラウドファンディングで資金を分散させ分散投資をすると、次のようなメリットを得られます。
1)投資資本の下落リスクを最小限に抑えることができる
1つのファンドに集中して投資を行った場合、そのファンドの資産価値が下落してしまうと大きな損失が生じることになります。
しかし、分散投資をすれば、複数のファンドに投資しているため1つのファンドの価値が下落しても、その他のファンドの運用がプラスになれば損失をカバーできる可能性もあります。
分散投資は、資産を分散させることで1つのファンドにトラブルが起きてもその影響を最小限に抑えられるのです。
2)投資不動産の天災リスクを最小限に抑えることができる
地震や津波、台風などでの自然災害が発生し、投資対象の不動産に被害が生じる可能性もあります。
例えば東京の不動産だけに投資をしていた場合、東京に大地震が起きて、建物が損傷する被害が出れば投資にも影響が出ます。
しかし、東京だけでなく、大阪や福岡といった他の地方に投資対象を分散させておけば、同じタイミングで全ての対象不動産が自然災害のリスクを受ける可能性は低くなります。
したがって、分散投資は自然災害によるリスクも最小限に抑えることができるのです。
4.不動産クラウドファンディングで分散投資をするデメリット
不動産クラウドファンディングにおける分散投資のメリットをご紹介してきましたが、実は分散投資をすることによって生じるデメリットもあります。
不動産クラウドファンディングの分散投資の主なデメリットは次のようなものです。
1)運用会社が増えることで管理に手間がかかる
複数の運用会社に分けて分散投資をすると、管理の方法等も異なるため、1つの不動産会社のみに投資する場合に比べて手間がかかります。
2)投資時期を分散化することで複利効果が落ちる
複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで利息が利息を生み、資産が膨らんでいく効果です。
複利効果は運用期間が長期に亘るほど効果が高くなるため、投資時期を分散化すると複利効果は低くなってしまいます。
3)人気の案件ほど入札が難しい
人気の高い不動産ファンドは、クリック合戦と呼ばれるほど入札が難しい状況になります。
したがって、分散投資をしても、なかなか好条件の不動産ファンドに投資できない可能性もあります。
4)運用会社によって出金手数料が高い可能性がある
運用会社によっては、出金時の手数料を高額に設定している場合もあるようです。
そのような運用会社の不動産ファンドを複数購入していると、手数料がかさむ可能性があります。
まとめ:クラウドファンディングの分散化は慎重に
不動産クラウドファンディングの分散投資のメリットとデメリットについてご紹介しました。
分散投資のメリットは、自然災害や市況の変化による資産価値の低下など、投資のリスクを最小限に抑えられる点にあります。
一方で、分散投資をすると複利効果の効果が落ちたり、管理の手間が増えたりといったデメリットも生じるのも事実です。
不動産クラウドファンディングでは、多くの場合、優先劣後出資方式が採用されています。
優先劣後出資方式とは、運用で損失が生じた場合には劣後出資者である事業者の出資金から損失を補填する制度で、投資家の元本割れリスクを低減させる効果があります。
そのため、優先劣後出資方式の不動産ファンドを選べば、投資家のリスクは低くなると言えるのです。
したがって、元本割れリスクが低い不動産クラウドファンディングだからこそ、分散リスクをせずに、複利効果を狙って長期運用のファンドに絞って投資することも1つの手段でしょう。
分散投資にはメリットもデメリットもありますので、ファンドを選ぶ際には慎重に判断し、よりご自身の投資スタイルに合った方法で投資をするようにしましょう。