1.木造アパート投資の始め方
木造アパート投資を始めるには、まず投資の目的や資金力、そしてリスクの許容度を明確にすることが重要です。
そのうえで、以下の2つから自分に合った方法を選びましょう。
1)土地から建設する
土地から建設する方法は、こだわりの賃貸住宅を建てたい方にぴったりの始め方です。
メリット
- 地域のニーズに合わせて、間取りや設備を自由に設計可能。
- 最近注目されているエコ住宅や省エネ住宅として付加価値を高められる。
- 新築ならではの集客力で、入居者を惹きつけやすい。
注意点
- 土地の選定や計画立案が必要で、初心者には少しハードルが高め。
- 専門家のサポートを受ける場合、相談や調査にかかる費用や時間が増える。
- 建築が完了するまで収益が発生しないため、計画の長期化を覚悟する必要がある。
2)中古物件を購入する
「なるべく早く家賃収入を得たい!」という方には、中古物件の購入がおすすめです。
メリット
-
- 購入後すぐに賃貸経営をスタートできる可能性が高い。
- 過去の経営実績を確認しやすく、安心感がある。
- 新築に比べて購入コストを抑えやすいので、資金計画が立てやすい。
注意点
- 築年数が古い物件では、修繕費用やリノベーション費用がかかる場合がある。
- 入居者がすでにいる場合、契約の見直しやトラブル対応が必要になる可能性がある。
- 新築に比べると集客力が劣るため、戦略的な経営が求められる。
どちらの方法を選ぶにしても、自分の投資スタイルや目標に合った選択をすることが成功のカギです。
2.木造アパート投資のメリット
木造アパートには、他の不動産投資では得られない特有のメリットがあります。
1)高い利回り
木造アパートは、区分マンションや一棟マンションと比べて、一般的に高い利回りが期待できます。
2024年の利回りデータで最も高い数値を示しているのは、一棟アパートです。
■利回り(%)
2024年 |
区分マンション |
一棟アパート |
一棟マンション |
1月 |
6.71 |
8.07 |
7.77 |
2月 |
6.83 |
8.05 |
7.72 |
3月 |
6.94 |
8.04 |
7.68 |
4月 |
6.87 |
8.19 |
7.71 |
5月 |
6.93 |
8.07 |
7.75 |
6月 |
6.74 |
8.13 |
7.55 |
7月 |
6.53 |
8.15 |
7.79 |
この高利回りの背景には、木造アパートの建設コストや取得費用の低さが挙げられます。
また、賃料を地域のニーズに合わせて柔軟に設定しやすい点も魅力でしょう。
2)節税効果が高い
木造アパートに期待できるメリットのひとつが、節税効果の高さです。
木造建築は他の構造の建物よりも法定耐用年数が短く設定されているため、短期間に高額の減価償却費を計上することができます。
構造別の法定耐用年数は、以下のとおりです。
|
法定耐用年数 |
木造 |
22年 |
軽量鉄骨造 |
27年 |
重量鉄骨造 |
34年 |
鉄筋コンクリート(RC)造
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 |
47年 |
上記の通り、木造建築の法定耐用年数は22年と他の構造と比べて短いため、短期間で大きな節税効果を得られます。
なお、中古物件の耐用年数は次のように算出されます。
法定耐用年数の一部を経過した資産
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20/100
法定耐用年数の全部を経過した資産
法定耐用年数×20/100
築25年の中古木造アパートを取得した場合、法定耐用年数をすでに上回っているため「22年(法定耐用年数)×20/100」で「4年」ということになります。
新築よりもさらに短い期間で償却が可能になるため、大きな節税効果が期待できるでしょう。
3)初期費用が低い
同じ一棟であっても、木造アパートは鉄筋コンクリート造のマンションに比べて、低コストで取得できます。
2024年の平均価格を見ると、アパートはマンションの2分の1以下の金額で取得できます。
■価格(万円)
2024年 |
区分マンション |
一棟アパート |
一棟マンション |
1月 |
1,936 |
7,723 |
17,508 |
2月 |
1,935 |
7,901 |
17,478 |
3月 |
1,837 |
7,984 |
18,331 |
4月 |
1,940 |
7,633 |
17,948 |
5月 |
2,030 |
7,861 |
17,909 |
6月 |
2,030 |
7,857 |
18,938 |
7月 |
2,118 |
7,866 |
17,801 |
上記のレポートには木造以外のアパートも含まれていますが、木造のみに限定すれば、さらに価格は下がることが予想されます。
複数の部屋から家賃収入を得られる木造アパートは、初期費用を抑えやすく、資金繰りもしやすい投資先であるといえます。
3.木造アパート投資の注意点
多くの利点がある木造アパート投資ですが、次のような点には注意が必要です。
1)ローンの返済期間が短い
木造アパートは、耐用年数の短さから節税効果が高いとお伝えしました。
しかし、融資期間も耐用年数に影響を受けるため、長期のローンが組みにくくなります。
そのため、耐用年数が長いRC造やSRC造の物件に比べて、ローンの返済期間が短くなる傾向も。
毎月の返済額が高額になりやすく、キャッシュフローが厳しくなるおそれがあります。
2)住民トラブルが起きやすい
木造アパートは、RC造・SRC造に比べて住民同士のトラブルが発生しやすい傾向があります。
木造物件は振動が伝わりやすく、遮音性も他の構造と比べて低めです。
RC造・SRC造では気にならないような音や振動がトラブルの原因になってしまう可能性がある点には注意しておきましょう。
3)経営規模を拡大しにくい
木造アパートは一般的に小規模なものが多いため、経営規模を拡大しやすいとはいえません。
木造物件は高くても3階程度であり、居室も10~15部屋程度が最大規模です。
また、数が増えるだけ賃貸管理が煩雑になる点には注意しましょう。
4.木造アパート経営を始めるまでの流れ
木造アパート経営を始めるには、綿密な計画と準備が必要です。
以下の手順を参考に、慎重に進めていきましょう。
1)情報を集める
まずは、不動産投資に必要な基礎知識を身につけましょう。
木造アパート投資に関する書籍やウェブサイト、セミナーなどを活用するとよいでしょう。
また、実際に経営している人や不動産投資物件を手掛ける不動産会社の話を聞くのも効果的です。
情報を集めるうえでの注意点は、情報の正しさを見極めること。
今の時代はどこにいてもスマホ一つであらゆる情報に触れられますが、Webメディアや動画などで正しい情報が発信されているとは限りません。
発信者が信頼できるかわからないうちは、一つのメディアや個人が発信する情報を鵜呑みにせず、客観的かつ中立的に物事を判断することが大切です。
2)物件を探す
不動産会社や物件情報サイトを活用して、希望条件に合う物件を探します。
立地、築年数、建物の状態、近隣の家賃相場などを考慮しながら物件を選びましょう。
不動産投資物件は、不動産会社が提供するポータルサイトや店頭広告、地域の情報紙などから見つけられます。
3)買い付け
気に入った物件が見つかったら、不動産会社を通じて売主に買付証明書を提出します。
買付証明書は、物件を購入したいという意思表示をするための書類です。
提出時点では、まだ売買契約は成立しません。
売主が交渉に臨む姿勢を見せて初めて、売買契約に向けた条件の調整が始まります。
人気の物件は、交渉の場にすら立てない可能性もあります。
4)アパートローンの仮審査を受ける
アパートローンを利用して物件を購入する場合は、売買契約の前に金融機関に仮審査を申し込みます。
買い付けの時点でローンの仮審査に通っていなければ交渉しないという売主もいるため、仮審査は早めに申し込んでおくようにしましょう。
5)売買契約を締結する
物件の購入を決定したら、売主と売買契約を締結します。
宅地建物取引士による重要事項説明をしっかりと聞き、契約内容に問題が無いか確認したうえで契約書に署名捺印しましょう。
ローンの本審査は、売買契約の後です。
アパートローンの審査に通過しなかった場合、融資が実行されずに不動産を購入できない可能性があります。
そのため、万が一融資を受けられない時に備えて、融資が実行されなかった場合は白紙契約となる旨の「融資特約」を盛り込んでもらうのを忘れないようにしましょう。
6)アパートローンの本審査を受ける
不動産売買契約の締結が無事に済んだ後は、アパートローンの本審査を申し込みましょう。
本審査では、仮審査における審査内容に加えて、より詳細な返済能力や健康状態が確認されます。
審査には2週間から1カ月程度の時間が必要ですので、余裕を持ってスケジュールを立てることをおすすめします。
7)管理会社と管理委託契約を締結する
物件の管理を委託する場合は、信頼できる管理会社と契約を結びます。
管理会社によって管理内容や手数料などの条件が異なりますので、委託したい内容を吟味した上で契約を結びましょう。
アパート管理をオーナー自らが行う自主管理も可能ですが、賃貸経営には専門知識やノウハウが求められます。
とくに初心者は管理会社の利用が賢明かもしれません。
8)物件の引渡しを受ける
アパートローンを締結し、管理会社が決定した後に売主から物件の引渡しを受けます。
引渡しは一般的に、売主・買主・不動産会社の担当者などの関係者が、融資を実行する金融機関の店舗に集まって手続きを行います。
融資が無事に実行され、売主の口座に代金が振り込まれたのを確認したら、最後に売主から鍵を受け取ります。
まとめ
木造アパート投資は、高い利回りや節税効果が期待できる魅力的な投資方法です。
初期費用も低く抑えやすいため、初心者でも挑戦しやすい不動産投資の手法だと言えるでしょう。
一方で、アパートを購入するまでには複雑な手続きが必要であり、購入後はすぐに賃貸経営や物件管理が始まります。
経営や管理に不安があるようなら、経験豊富な管理会社に管理業務を任せるのが安心です。
ランドネットは、投資物件のご紹介から仲介、管理までさせていただいております。
他社の仲介で取得した物件の賃貸管理をお任せいただくことも可能です。
他にも、クラウドファンディングなど不動産投資にかかわるあらゆるサービスも展開中。
不動産投資にご興味がある方は、お気軽にご相談ください。