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市街化調整区域でアパート建築できる第34条第11号区域を解説

執筆者:椙原 あやめ 椙原 あやめ

市街化調整区域とは「市街化を抑制すべき区域」です。(都市計画法第7条第3項)
原則、市街化調整区域の土地には建物が建てられず、土地活用が制限されるので注意しなくてはなりません。

ただし、市街化調整区域にも例外があり、アパート等が建てられる場合があります。
本記事では、市街化調整区域と例外的にアパート建築が可能な「11号区域」について解説します。

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1.「市街化調整区域」とは市街化を抑制すべき区域

日本の土地は、都市計画法によって次の3つに分類されています。

✔都市計画区域

✔都市計画区域外

✔準都市計画区域

 

その中で、さらに都市計画区域は、3つの区域に分けられます。

 

 

 

 

都市計画区域

市街化区域 一般的な都市部。市街地が形成されている、あるいは近い将来市街地化を進めるべき区域。市街化区域には13の用途地域があります。

原則、建築可能です。

市街化調整区域 市街化を抑制すべき区域。

原則、建築不可です。

非線引き区域 上記2つのどちらにも分類されない区域。

原則、建築可能です。

 

この記事でご紹介する「市街化調整区域」は、市街化を抑制すべき区域

原則的に、建築物を建てることができません。

では、どうして市街化を抑制する「建築不可」の区域が決められたのでしょうか?

2.市街化区域と市街化調整区域が定められた理由

1968年、都市計画法で「市街化区域」と「市街化調整区域」を定める線引き制度ができました。

その理由は、市街化を進めるエリアと市街化を抑えるエリアを定めないことで、無秩序・無計画に都市化が進み、インフラ整備が遅れる地域ができたからです(スプロール現象といいます)。

 

そこで「市街化区域」は上下水道や学校、病院などインフラを整備することで人が居住しやすい地域に。

それに対して「市街化調整区域」は、農地を守り、市街化が進まないように規制をしたのです。

 

「市街化調整区域」は自然を残す計画がされており、一戸建て住宅やマンションなどの人が住む建物、生活の利便性を高める商業施設の建築が原則認められていません。

住宅や商業施設を建築する場合は、自治体に許可を得る必要があります。

3.市街化調整区域の特徴

市街化調整区域は、農地や森林などの自然豊かな地域です。主な特徴をご紹介します。

1)市街化調整区域はローンが通りにくいことがある

市街化調整区域は住居を建てる前提の地域ではないため、ローンの取り扱いがない金融機関もあります。

また、融資ができる金融機関でも、土地の評価額が低いため、希望額の融資が受けられない可能性も否めません。

2)市街化調整区域はインフラ整備にコストがかかることがある

市街化調整区域は、人が住む住宅地を想定していないため、インフラ整備が整っていません。

 

都市ガスが通っておらずプロパンガスになったり、敷地に下水道が敷設されていなければ自費工事で引かなければならなかったりする可能性も。

工事費用がかかるだけでなく、自費工事を行うのであれば、公共下水道管理者への許可申請手続きをしなくてはなりません。

3)人が住むには暮らしづらい

緑が多く、商業施設や病院など、生活に必要な施設が少ない市街化調整区域。

人によっては、暮らしに不便さを感じるかもしれません。

4)将来、売却したくても売れにくい可能性がある

市街化調整区域の土地は、ここまでお伝えしたように、融資審査が通りづらく、住むには病院や商業施設、街灯やガードレールが少ないため生活するには多少不便です。

そのため、土地を売却したくても需要が少なく、売れづらい可能性があります。

4.市街化調整区域には例外あり!11号区域とは?

市街化調整区域には、基本的に建物が建てられません。

しかし、都市計画法第34条第1号から第14号に「例外として建築を認める要件」が定められています。

 

※画像出典:市街化調整区域に立地が可能な建築物の用途(都市計画法第34条)|長野県庁

 

1)都市計画法第34条第11号の「11号区域」とは?

14の例外の中から、アパート建築に関わる都市計画法第34条第11号「11号区域」をご紹介します。

 

11号区域は原則、誰でも建築可能。

「第二種低層住居専用地域」に準じる用途の建物が建築可能で、アパートやマンションといった共同住宅も建てられます。

以下は、都市計画法第34条第11号の条文です。

市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあっては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの

 

引用元:都市計画法第34条第11号 | e-Gov法令検索

 

 

つまり、11号区域とは、これら全てを満たす市街化調整区域のことです。

 

11号区域

✔市街化区域に隣接・近接している

✔市街化区域が日常生活圏である

✔おおむね50戸以上の建物が建ち並ぶ集落や、昔から家が建ち並んでいる集落

✔都道府県や市町村が例外的に認めたこと

11号区域に建築する場合は、必ず開発許可を受けなくてはなりません。

 

ただし、不動産会社が開発許可を取った状態で販売されている11号区域の土地もあります。

その場合は、土地を購入すれば建築が可能です。

5.都市計画法第34条第11号区域の注意点

国土交通省が推進するコンパクトシティ政策もあり、市街化調整区域に建築できる「11号区域」は縮小や廃止される傾向にあります。

最後に、11号区域の注意点についてご紹介します。

1)廃止や変更になることがある

11号区域は、開発権限を持つ都道府県や市町村によって、区域の指定や立地可能な建物の用途などが定められています。

そして、11号区域は、都道府県や市町村の決定によって縮小・廃止されることがあるのです。

 

11号区域だった土地が11号から外れると、建物が建てられなくなるため不動産価値が下がります。

なにより所有している土地が、条例で二束三文になるリスクがあります。

2)11号区域が後から廃止された場合のデメリット

11号区域の指定から外れると、より強い制限が設けられます。

土地に建物が建てにくくなり、売却もしづらくなることが推測されます。

まとめ

市街化調整区域でもアパートが建てられる11号区域についてご紹介しました。

 

市街化調整区域は広い土地が安く買えるのが魅力ですが、インフラが整備されていないことも多く、生活に不便な場所であることが多いです。

近くに商業施設なども少ないため、アパートを建てても需要が見込めない可能性もあります。

 

11号区域にアパートを建てて土地活用するのは一定のリスクがあるため、不動産のプロに相談すると良いでしょう。

 

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