1.日本の財政状況に対する私の見解
2009年以降、EUを中心とした世界経済に大打撃を与えた「ギリシャよりも我が国の財政状況は、良くない。」という意見を耳にしました。
しかしながら私は、異なる見解を持っています。
2.CDS、日本がG7で2番目に良好
ギリシャ危機に端を発した債務危機で欧州が揺れる中、信用リスクを回避する手段である「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」が注目されました。
CDSとは、企業や国などの債務不履行リスク・財政の破綻リスクを売買する金融派生商品で、投資対象の破綻に備えた保険の機能を持ちます。
リスクが高いと保険料は上がり、保険料にはある程度その国の財政状況が反映されます。
G7を見ていくと、イタリア53.79、アメリカ47.22、カナダ39.60、フランス36.95、英国20.10、日本20.13、ドイツ12.50(25/5/21時点)。
日本はG7の中で2番目に良好だと分かります。
3.日本は対外純資産が世界一
対外純資産とは、ある国の政府、企業、個人が海外に保有する資産から負債を差し引いたものを指します。
日本は33年連続で世界最大の純資産保有国です。
対外純資産額は、日本円に換算して471.3兆円を超え、過去最高を更新しています。
2位がドイツで454.8兆円、3位が中国で412.7兆円、飛んでイギリスがマイナス149.1兆円、アメリカがマイナス2,805.3兆円となっています。(直近少し変動があります)
4.ギリシャ危機の原因は7割を占める海外向け国債
日本国債の国内保有率は9割以上と非常に高く、日銀が国債を多く保有していることが特徴です。
23年1~3月期には、日銀の国債保有割合が53.3%と過去最大となりました。
しかし、日銀は24年7月の金融政策決定会合で国債の買い入れを減少させることを決定しており、今後の推移は注意が必要です。
ただ、政府がどんなにお金を借りようとも、借りているのは国内なので、返済は国内で完結します。
海外向け国債が7割を占めていたギリシャのように、海外に流出するわけではありません。
加えて、日本の国債は自国通貨建てであり、自国通貨建ての債務不履行など起こり得ないことは、財務省が認めています。
5.日本の資産・負債差額は?
財務省が作成した23年度「国の財務書類」によると、国の「負債合計」は1,473.8兆円(対前年末比+31.1兆円)、国の「資産合計」は778.1兆円(対前年末比+37.4兆円)です。
「資産・負債差額」は▲695.7兆円(対前年末比▲6.3兆円)。
日本銀行は国債を大量に保有しており、24年6月末時点で588.5兆円保有しています。
政府の国債の利払いは日銀に支払われ、最終的には政府に戻されます。
仮に日銀が「政府の子会社」だとすると、日銀の国債という資産も国の資産に含まれるのではないでしょうか。
私も勉強しているところですが、だとすれば「日本を借金大国と大騒ぎしなくても良いのでは?」との見解に至りつつあります。