一種単価とは?土地の「収益性」を計算してみよう!
土地購入を検討する際に、建物の収益性をはかる指標として「一種単価」というものがあります。
「坪単価」は聞いたことがあっても、一種単価は知らないという方もいらっしゃるかもしれません。
坪単価は土地の売買価格を土地面積で割った価格であるのに対し、一種単価は坪単価を容積率で割ったもの。
本記事では、土地購入を判断する1つの指標となる「一種単価」の具体的な計算方法や数字の見方とともに、建物の収益化の指標「レンタブル比」について解説します。
1.「一種単価」とは容積率100%当りの土地単価
「一種単価」とは
容積率100%当りの土地単価のこと。
もう少しわかりやすく説明すると、土地に対して容積率いっぱいに建物を建てた際の、床面積あたりの土地単価です。
一種単価は、土地の収益性をはかる一つの指標です。
土地購入の判断をする際に重要ですので、土地から探して不動産投資をする方なら、必ず理解しておきましょう。
容積率は、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合のこと(建築基準法第52条)で、用途地域ごと・その土地ごとに上限が決められています。
>>合わせて読む「不動産の建ぺい率・容積率って何?意味や計算方法、注意点を解説」
一種単価を求めるには、「土地面積」「容積率」「土地価格」の3つを使います。
2.実際に一種単価を計算してみましょう
では、実際に一種単価を計算してみましょう。
一種単価は、先に坪単価を求めて、容積率で割って算出します。
モデルケース
・土地面積:100坪
・容積率:200%
・価格:1億円
※1坪=約3.30578㎡です
1)一種単価を求めるにはまず「坪単価」を計算する
一種単価を求めるためには、まず坪単価を求めなくてはなりません。
坪単価の計算式は、
土地価格÷土地面積(坪)です。
1億円÷100坪=100万円
この土地の坪単価は「100万円」ということになります。
2)一種単価の計算式は「坪単価÷容積率」
一種単価とは、容積率100%当りの土地単価です。
一種単価の計算式は次の通り。
坪単価÷(容積率÷100)
実際に計算してみましょう。
坪単価100万円の土地(容積率200%)だと、
100万円÷(容積率200%÷100%)=50万円
この土地の一種単価は「50万円」ということになります。
例えばこの土地が容積率500%なら、
100万円÷(容積率500%÷100%)=20万円
一種単価は「20万円」となります。
一種単価は、土地に容積率いっぱいに建物を建てた際の床面積あたりの土地単価です。
そのため、容積率以外の条件がまったく同じであれば、容積率が高いほど収益性が高い土地といえます。
3)一種単価を求めるには「容積率」の把握が重要
一種単価は「いかに床面積を多く建てられるか」で決まりますので、基本的には容積率が大きい土地が有利です。
下表は、建築基準法第52条第1項に掲載されている容積率の一覧表です。
号 | 地域・地区 | 容積率 |
1号 | 第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域 田園住居地域 |
50・60・80・100・150・200のうち都市計画で定める割合 |
2号 | 第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域 第1種住居地域 第2種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 準工業地域 |
100・150・200・300・400・500のうち都市計画で定める割合 |
3号 | 工業地域
工業専用地域 |
100・150・200・300・400のうち都市計画で定める割合 |
4号 | 商業地域 | 200・300・400・500・600・700・800・900・1000・1100・1200・1300のうち都市計画で定める割合 |
5号 | 用途地域の指定のない区域 | 50・80・100・200・300・400のうち特定行政庁が定める割合 |
しかし、実際の容積率は表のとおりにはいかないことが多く、容積率が変わることがあります。
原因は、前面道路幅員によって容積率が減少したり、道路斜線や高さ制限などで建てられる建物のボリュームが減少したりすることによるもの。
角地などは、容積緩和による容積率加算もあります。
また、容積率にはマンションの共用廊下などの一部分は含まれません。
そのため、一種単価は土地の収益性を大まかに把握するための数値と考えるのが良いでしょう。
3.不動産投資家は一種単価をこう活用する
不動産投資において「一種単価」とは、マンションや賃貸オフィスビルなど、容積率いっぱいまで上にフロアを積んで建てた時の、床面積あたりの土地価格だとお伝えしました。
容積率いっぱいに建てた時の土地価格を知ることで、その土地の大まかな収益性がわかります。
ただ、土地を購入して収益物件を建てるのであれば、所在地や最寄駅からのアクセスなど、周辺情報なども大きく影響しますので、多角的視点で総合的に判断しましょう。
1)「レンタブル比」も1つの指標に
「一種単価」の他に、不動産投資物件の収益性をはかる指標の1つに「レンタブル比」があります。
一種単価が土地の指標であるのに対して、レンタブル比は建物の指標です。
レンタブル比とは、建物の延床面積に対して、賃貸できる床面積の比率です。
賃貸できる床面積とは、建物の延床面積から共用部を除いた部分です。
レンタブル比を求めるには、建物の「延床面積」「共用部面積」を使います。
実際に計算してみましょう。
2)レンタブル比の計算式
延床面積-共用部面積=賃貸可能床面積
レンタブル比(%)=賃貸可能床面積÷延床面積✕100
賃貸可能床面積は、貸すことで収益が発生する部分のことです。
共用部面積は、エントランスロビーや廊下・エレベーター、機械室など賃貸できない部分で、収益が発生しません。
共用部を極力狭くして、賃貸可能床面積を多くするとレンタブル比が上がり、投資効率が上がります。
3)レンタブル比の一般的な数値は?
レンタブル比が高い建物は、投資効率が高いということがおわかりいただけたと思います。
一般的には、大規模なオフィスビルのレンタブル比は60~70%。
小規模なオフィスビルだと80~85%ほどです。
建物が高層になるほど機械室も大きくなり、ロビーや共用部も増えるのでレンタブル比は低くなる傾向にあります。
土地を購入し建物を建てて収益化を目指すのであれば、中規模から小規模の建物を運用すると投資効率が高まります。
不動産投資で土地購入するなら「一種単価」を判断基準の1つに
一種単価は、土地購入において収益物件を建てて収益が得られるかを判断する数値です。
土地から購入して収益物件を建てて収益化をはかる場合は、一種単価の適正値も知っておくと良いでしょう。
収益化ができる土地かどうかを一種単価の数値だけを見て判断するのは難しいものの、似た条件の土地を比較するようなケースでは非常に役に立ちます。
一種単価によってその土地の投資効率がわかり、割安な土地なのか、期待利回りが取れるかを、ある程度判断することができます。
ただし、一種単価を計算するには、まず正確な容積率を知ることが優先されます。
その土地に実際にどのぐらいのボリュームの建物が建てられるのか、実際の容積率が知りたい場合は、土地購入前に建築士に「ボリュームチェック」を依頼するのもおすすめです。