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コラム

不動産に関する社会動向について

執筆者:Redia編集部 Redia編集部

※当社配信の広報誌(マンションオーナーのための羅針盤「ランドネットコンパス」から一部抜粋)

1.所有者不明の土地(不動産)は九州全土よりも大きい

1)所有者不明の土地(不動産)の広さ

所有者不明の土地(不動産)は、2016年時点で国内に約410万ヘクタールあると推計されています。既に、その広さは、九州本土よりも広く、2040年には北海道本島に迫る約720万ヘクタールに膨らむとされています。

気がつけば、日本は誰のものかわからない土地ばかりの国になっている可能性があります。

原因は、以下のことが考えられます。

  1. 地方からの人の流出
  2. バブル崩壊による地価下落
  3. 人口減少

2)所有者不明の土地(不動産)が生まれる理由

所有者が亡くなると法律上、その土地は原則として妻や子供等の相続人の共同所有となります。遺言か遺産分割協議に基づいて、それぞれの取り分が決まり、新たな所有者となります。

売買とは異なり、相続の場合は、専門家が関わらない場合が多く、登記名義を変更せずに放っておくケースが多くあります。悲しみのなか、ただでさえ相続の手続きは面倒で、後回しにされるうちに登記も忘れられてしまいます。何代か続けて相続の登記をしないでいると、相続人の数が膨れて行方もわからなくなり、しまいには「所有者がわからない」状態になるのです。

国土交通省の発表によると「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」を平成30年3月9日、閣議決定しました。国もこのままでは固定資産税を徴収できず、税収も減ってしまうことから対策が急務だと捉えているようです。

2.人口の減少と高齢化は相変わらず進行

2018年の日本の人口は約1億2,659万人、30年後に1億人を割り、50年後には8,674万人まで減少するといわれています。2040年ころには現在人口の割合の多くを占める団塊ジュニア世代が65歳以上になる一方、中核になる20歳代前半はその半数なるともいわれています。

  1. 東京圏は地方から若者を吸収しつつ高齢化が深刻になり、地方圏は若者(支え手)を失う
  2. 団塊ジュニア世代は非正規雇用が多く、標準的な人生設計が消えて雇用・教育が機能不全に陥る
  3. 都市のスポンジ化とインフラの老朽化による負担が増大する

このまま国として有効な対策が行えないのであれば、この流れを変える事は難しいかもしれません。

都市のスポンジ化

都市の内部で空き地や空き家がランダムに数多く発生し、多数の小さな穴を持つスポンジのように都市の密度が低下すること。

3.政府は、人口減少時代の自治体の行政対策を検討中

政府は、半分の職員で行政サービスを維持する方法を模索しています。一方住民側は、高齢者福祉への対応や証明書発行をはじめ窓口サービスなどの行政サービス低下を懸念しています。

1)圏域行政の標準化

中核都市を中心にして、生活圏や経済圏が一体の地域で、市町村が連携する枠組みです。

コンパクトシティー化を進め、その圏域に都市機能や居住地を誘導します。産業振興や税制優遇で圏域の投資を促します。この欠点は、圏域内で居住地や税優遇の対象から外れる市町村との利害調整が壁になります。合併ではないかという批判もあります。

2)都道府県による市町村の補完

中核都市がない地域では都道府県が市町村の機能を補う役割を強めます。
例えば橋梁の点検を市町村に代わって県が実施し、消防の広域化や公立病院の再編に県が積極的に関与しています。

3)今の半分の職員でこなせるよう、効率化につながる業務改革

自治の名の下に、バラバラな書類様式や情報システムを、標準化・共通化を徹底します。不統一が生む無駄を排し、共通化に向けた法整備を検討します。共通システムの実現で導入しやすくなる人工知能(AI)の積極活用も考えます。

4)共助

職員の減少で自治体の役割は縮小していきます。既に人口減少の著しい地域では、自治会など地縁組織が、自治体の一部機能を肩代わりしています。こうした「共助」の拡大が全国で不可欠になります。

特に都市部は地縁組織が脆弱なため、自治体が住民や企業などを巻き込んで共助の体制づくりを主導する役割が求められます。

5)最大の問題、「国と地方自治の対立」

全国市長会の会長は「国が制度を押しつけるのは自治に反した茶番だ」と批判しており、今は地方創生の取り組みを進めている最中で「地方創生の方向性が出るのに5年はかかると述べています。それがうまくいかないとき、地域の側から合併機運が出てくる」という主張です。

人口減少は日本のあらゆる分野で構造転換を迫っており、それは自治体も例外ではありません。従来の地方分権や自治のあり方そのものを問い直す可能性があります。しかし、そこに対立があるようです。

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