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サブリース規制で何が変わった?賃貸住宅管理業法の改正について解説【事例付き】

執筆者:Redia編集部 Redia編集部

トラブルが頻発していたサブリース契約を規制する「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下、賃貸住宅管理業法)が2021年6月15日に施行されました。

賃貸住宅管理業法が施行されたことによって、サブリース業者はメリットばかりを強調した「不当な勧誘」や「誇大広告」が禁じられ、契約締結前の重要事項説明の実施が義務付けられました。
また、200戸以上の物件を管理する賃貸住宅管理業者やサブリース業者には、国土交通省への登録が義務付けられることとなりました。

今回は、サブリース規制に伴い、変更になったポイントについて解説します。
また、不動産投資を検討するオーナーがどのような点に注意してサブリース契約を締結すべきなのかについてもご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

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1.賃貸住宅管理業法によって規制される内容

賃貸住宅管理業法は、「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置」と「賃貸住宅管理業に係る登録制度の義務化」、「賃貸住宅管理業者の業務における義務付け」の3つから構成されています。

それぞれの内容を見ていきましょう。

1)「サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置」

トラブルを未然に防止するため、すべてのサブリース業者の勧誘時や契約締結時に一定の規制を導入しました。

規制は4つあります。

①不当な勧誘の禁止

サブリース業者は勧誘をする際に、不都合な事実を隠したり、事実ではないことを伝えたりする行為が禁じられました。具体的には

  • 将来的に賃料が減額になる可能性があること
  • サブリース業者から契約を解除する可能性がある点

などについても事前の説明が必要になったのです。

また、相手が拒否をしているにもかかわらず、何度も繰り返し勧誘することや、威圧的な勧誘、長時間拘束するような強引な勧誘も違反行為に該当すると定められています。

②誇大広告の禁止

誇大広告とは、実際よりも著しく良いものや良いサービスであるかのように、見た人に誤解を与えるような広告表現のことです。

賃貸住宅管理業法では、誇大広告を禁止しています。

また、空室や家賃を保証する等の文言を用いる場合は、隣接した箇所にリスクについても記載しなければならないことが義務付けられています。

 

国土交通省では誇大広告の具体例として、次のようなものを紹介しています。

・契約期間内に定期的な家賃の見直しやサブリース業者からの減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示せず、「○年家賃保証!」「支払い家賃は契約期間内確実に保証!一切収入が下がりません!」といった表示をして、当該期間家賃収入が保証されているかのように誤解されるような表示をしている

・「○年家賃保証」という記載に隣接する箇所に、定期的な見直しがあること等のリスク情報について表示せず、離れた箇所に表示している

・広告に記載された利回りが実際の利回りを大きく上回っている
・根拠のない算出基準で算出した家賃をもとに、「周辺相場よりも当社は高く借り上げます」と表示している
※出典:国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のための ガイドライン」

上のような広告を見かけた場合、その広告は法律違反となります。

③特定賃貸借契約締結前の重要事項説明の義務付け

賃貸住宅管理業法では、サブリース業者はマスターリース契約を締結する前に重要事項説明を実施することも義務付けられました。

具体的には、サブリースのメリットばかりを伝えるのではなく、契約中や契約更新時に家賃が減額となる可能性があることや契約期間中の解約が難しいことなど、リスク面も含めた事前の説明が必要になったのです。

また、重要事項については、口頭で説明するだけでなく、必ず重要事項説明の内容を記した書面を交付することも義務付けられています。

注意点

重要事項説明で一番変わった箇所は?

賃貸住宅管理業法の施行前は、オーナーとサブリース業者間でのマスターリース契約を締結する際、事前の重要事項説明の実施は義務付けられていませんでした。

しかし、賃貸住宅管理業法の施行により、マスターリース契約の前には必ず重要事項説明を行い、契約内容について詳しく説明をする義務が課せられ、さらに書面の発行も求められるようになったのです。

サブリース契約時の重要事項説明の義務化は、賃貸住宅管理業法のサブリース規制の大きなポイントとなります。

 

また、これまでは任意に重要事項説明を行っていた場合も、重要事項説明をした直後にマスターリース契約を締結することが一般的でした。

しかし、サブリース規制では、重要事項説明をした後にオーナーが内容を検討するために、一定期間の時間をおかなければ契約を締結してはいけないことも定められています。

2)賃貸住宅管理業に係る登録制度の義務化

賃貸住宅管理業法では、賃貸借管理業者の登録制度を創設しました。

賃貸住宅管理業の登録制度は、賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、業界の健全な発展・育成を図るために開始された制度です。

 

この制度は、サブリース業者を含む賃貸住宅管理業者に対して、国土交通大臣への登録を義務付けるものです。

登録義務の対象となる業者は200戸以上の管理をする事業者ですが、登録義務の対象とはならない200戸未満の事業者に対しても、登録が推奨されています。

また、登録の義務があるにもかかわらず、登録をせずに管理業務を行った業者は罰則の対象となり、登録事業者は5年ごとに登録を更新しなければなりません。

3)賃貸住宅管理業者の業務における義務付け

  • 事務所ごとに賃貸住宅管理の知識・経験等を有する者を配置
  • 管理受託契約締結前に、具体的な管理業務の内容・実施方法等(重要事項)について書面を交付し説明
  • 管理する家賃等について、自己の財産等と分別して管理
  • 業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して年1回以上の頻度で定期的に報告(20条定期報告義務)

この登録制度において特に重要なのが、20条定期報告義務です。

管理業者は家主に対して、入居者の居住に大きな影響を与えるリスクや修繕の状況などについて定期的に報告する義務を負います。

もしもサブリース業者がこれらの規定に違反した場合、罰則や行政処分が適用されます。

国土交通省により全国一斉立ち入り検査

国土交通省は、賃貸住宅管理業者とサブリース業者を対象とした「全国一斉パトロール」の実施を2022年に発表し、2023年1月~2月に実施しました。

この調査は、各地方整備局が対象業者を選定し、対象業者の営業所等に立ち入って実際の業務の状況や帳簿などの確認を行い、賃貸住宅管理業法の遵守状況をチェックするというものです。

 

この一斉立ち入りは全国97社に対して行われ、結果、その半数を超える59社に対して是正指導が行われたという発表がなされています。

このことからも、政府が賃貸住宅管理業法の徹底に力を入れることがお分かりになるでしょう。

2.法制化の背景

賃貸住宅管理業法は、サブリース業者に対して誇大広告や不当な勧誘を禁止し、契約締結前の重要事項説明と書面の交付を義務付けるものです。

賃貸住宅管理業法が施行された背景には、サブリースに関連するトラブルが多発していたという事実があります。

 

賃貸住宅管理業法は、サブリースを巡るトラブルを未然に防ぐ目的で制定された法律なのです。

国土交通省が一斉立ち入り検査を行ったことからも、法令内容の遵守を徹底して求める姿勢が感じられます。

賃貸住宅管理業法によってサブリースを巡るトラブルが抑制されることが期待されています。

3.サブリース規制で業者が受けた影響

サブリース規制によって、実際に業務停止処分を受けた業者もいます。サブリース業者が処分を受けた事例をいくつかご紹介します。

A社の事例

まず、東京都のサブリース業者であるA社は、重要事項説明書を交付しなかったとして15日間の業務停止処分が下されました。

また、契約書に記載すべき内容を記載していなかった点についても指示処分が下されています。この会社は賃料未払い問題が発生している会社です。

B社の事例

東京都の別の賃貸管理業者・サブリース業者であるB社にも業務停止処分と指示処分が下されました。

B社では、かなりの件数の違反契約が発覚し、杜撰な管理体制が浮き彫りとなりました。

まず、賃貸住宅管理業者としては8件の契約について重要事項説明書を交付しておらず、業務停止命令の対象となりました。

また、7件の契約については管理受託契約書に必要事項を記載しておらず、17件の契約において管理業務の実施状況に関する必要な報告を実施していなかったという事由で業務改善命令が出されています。

さらに、サブリース業者としては59件の契約において、マスターリース契約前の重要事項説明書を交付しなかったという違反内容で業務停止命令が出されています。

 

サブリース規制では、サブリース業者がマスターリース契約の前に重要事項説明書を交付したうえで、重要事項説明をしなければならないとされています。

また、これまでは重要事項説明を受けた直後にマスターリース契約を結ぶことが多く、オーナーが契約内容やサブリースのリスクについて熟考する時間が与えられていませんでした。

これを受け、サブリース規制では重要事項説明をしてから契約を締結するまでは、一定期間(1週間程度)の期間を空けなければならないことも定められている点を覚えておきましょう。

4.サブリース契約を結ぶうえでの注意点

賃貸住宅管理業法の施行によって、契約前の重要事項説明が義務付けられ、重要事項説明から契約まで、オーナーが考える時間が設けられるようになるなど、サブリースを巡るトラブルを防ぐ対策は進められています。

しかし、国土交通省の一斉立ち入り検査で半数以上の業者が是正指導を受けるなど、まだすべてのサブリース業者が法律を遵守しているとはいえない状況です。

サブリース契約を結ぶ際には、重要事項説明の内容や契約書の内容を十分に確認し、リスクがあることも理解したうえで契約を結ぶことが大切です。

 

  • 契約期間中や契約更新時の賃料減額の可能性があるか
  • サブリース業者から契約が解除される可能性があるか
  • 原状回復費用や大規模修繕等の維持費用の負担割合について

サブリース契約を結ぶ際には、以上の内容をしっかり確認してから契約を結ぶようにしましょう。

サブリース契約のメリットやトラブル事例については、こちらの記事も併せて参考にしてください。

サブリース契約の不動産投資は危ない?メリットとトラブル事例をわかりやすく解説

まとめ

サブリース業者は、不動産オーナーが自ら手間を惜しまなくても家賃が入ってくる家賃保証制度です。

しかし、借主の立場を利用して不動産オーナーに不利益を与えるサブリース業者が相次ぎました。

これに歯止めをかけたのが今回施行された「賃貸住宅管理業法」で、内容は以下のようなものでした。

  • 不当勧誘の禁止
  • 契約締結前に具体的な業務などについて説明
  • 契約後も業務内容について定期的に報告する

これらの規定が明文化され、違反すれば罰則規定に従い懲役や罰金の対象になります。

サブリース業者とうまく付き合っていくためにも、オーナー自らが知識を習得し続けることが肝心です。

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