コロナで住宅ローン減税が受けられない?緩和措置の内容を徹底解説
東京での新型コロナウイルス感染者が連続で100人を超えるなど、依然として予断を許さない状況です。
そんな中建築工事の遅れなどから、予定通り引越しができず住宅ローン減税の要件を満たせない可能性がある人が出てきています。
そこで今回は、コロナの影響で入居が延期になっても住宅ローン減税を適用させる方法について詳しく解説します。
1.住宅ローン減税と適用要件
住宅ローン減税とは一定の要件を満たすことで、住宅ローンの年末時点における残高の1%の税額控除が受けられるという制度です。
例えば、住宅ローンの年末残高が5,000万円だとすると50万円が所得税、それでも控除しきれない場合は住民税から控除されます。所得控除ではなく税額自体が控除されるので、減税効果は非常に高くマイホームを購入する人の多くが利用している制度です。
住宅ローン減税は10年間利用できますが、以下の要件を満たしていると13年に延長できます。
- 消費税率が10%を超える物件を購入した
- 2019年10月から2020年12月31日に入居した
注意点
11年目以降の控除額は「建物の取得価格の2%÷3」と比較していずれか低い金額となります。
このように13年に期間を延長するためには、2020年12月31日までに入居する必要があるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた工期が伸びてしまい、入居できない可能性がある物件が続出しているのです。
住宅購入者の中には住宅ローン減税が13年に延長されることを念頭に入れて購入している人も多いため、利用者の間に困惑が広がっていました。
2.入居要件の緩和措置の内容
政府は住宅ローン減税の緩和措置として、要件を次のように緩和しました。
- 新型コロナウイルス感染症の影響で、入居が遅れたこと
- 注文住宅を新築した場合:2020年9月末までに請負契約を締結
- 分譲、既存住宅、増改築等:2020年11月末までに売買契約等を締結
これらを満たすことで緩和措置の適用対象となり、2020年12月31日までの入居期限が2021年12月31日までに延長されます。
3.既存住宅を取得した場合の緩和措置
既存の中古住宅を購入した場合に住宅ローン減税を適用させるためには、通常であれば取得日から6ヶ月以内に入居する必要があり、既存住宅を購入後リフォームして居住する場合でも同じです。
コロナ禍によってリフォーム工事が遅れていることに鑑みて、当該要件が次のように緩和されました。
- 既存住宅取得の日から5ヶ月後
- 2020年4月30日から2ヶ月後
上記いずれか遅い日までに増改築等の契約が締結されていれば、緩和措置の対象となり増改築等完了の日から6ヶ月以内に入居すれば住宅ローン減税が受けられます。
4.緩和措置を受ける方法
当該緩和措置の適用を受けるためには、住宅ローン減税の申請に必要な書類に加えて、次の書類が必要になります。
- 請負契約書、売買契約書等の写し(契約日の確認のため)
- 入居が遅れたことを証明する書類(国交省のHPから取得可能)
上記書類を確定申告の際に提出することで、当該緩和措置の対象となります。
※参考:国土交通省「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた住宅ローン減税の適用要件弾力化措置の詳細」https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000154.html
5.まとめ:新型コロナウイルスが与えた影響
新型コロナウイルス感染症は健康面の被害だけでなく、社会的にも大きな影響を与えています。不動産業界も例外ではありません。
新築、増改築を計画していた人たちには次のような影響が出ています。
- 国内外の工場の稼働がストップしたことで、必要な建築資材が納入されない
- 工事業者自体が営業を自粛せざるを得ず工事が遅れる
- 感染拡大防止で移動を自粛するために引越しを延期している
このように深刻な状況が発生しています。
東京都を中心に感染拡大の第二波が押し寄せている可能性があり、今後も予定通りに工事が進まない可能性が十分考えられます。
今現在は間に合いそうだという方も、今後の状況次第では間に合わなくなる可能性がありますので、該当する可能性がある方は今のうちから要件をよく確認しておくことをおすすめします。