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空室対策でペット可に変更する場合の注意点

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

コロナ禍の影響により都心で一人暮らしをしていた人が、テレワークで出社の必要性が薄れたことで、郊外の実家に戻ってしまうケースが増えています。
不動産投資家としては、いつも以上に空室対策が必要になる状況です。

そこで今回は、空室対策で有効なペット可変更に関する注意点について解説します。

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1.ペット可は有効な空室対策

空室対策の基本は他との差別化です。

特にワンルーム物件については、間取りで独自性を打ち出すことが難しいことから、入居条件を工夫してほかと差別化するのが効果的といわれています。

中でもペット可にする対策は、ペットを飼う人の人口が増えている中で非常に有効な空室対策の一つです。

実際、私も空室対策としてペット可を家さんにすすめるケースはよくあります。

ただ、大家さんにペット可の話をすると最初はあまりいい表情をされません。

なぜなら、次のような不安があるからです。

・室内を汚されたらどうしよう

・近隣から苦情が来たらどうしよう

・ルールを決めなければならない

こういった懸念を持つ大家さんは多いのではないでしょうか。

そこでここでは、これらの不安要素を打ち消す対策について解説します。

ペット可の条件1)敷金の上乗せと償却

ペット可で募集する際には、退去後の原状回復費用が高額になる可能性が高いです。私の経験では、ペットの糞尿によるにおいや、猫のひっかき傷などの影響で室内の壁紙については、ほぼ間違いなく張替えになると考えた方がよいでしょう。

ただ、その費用を大家側で負担することはあまりに負担が大きすぎるので、通常は契約書上で次のような条文を盛り込みます。

「飼育ペットによる壁紙や柱等のキズ、汚れは借主負担とする」

さらに確実なのは、敷金償却です。

最近では敷金1ヶ月が主流ですが、ペットの場合はそれでは原状回復費用が不足することがあるので、通常は2ヶ月や3ヶ月に増額します。

そのうえで、敷金をはじめから償却扱いにしておけば、退去時に争うこともなくなります。

ペット可の条件2)ペットのサイズと避妊

ペット可にする場合、予め可能とするサイズや種類を指定しておくことが大切です。通常は小型犬や猫に限定するのが一般的です。

また、猫の場合は避妊手術をしていることを条件にすることをおすすめします。

避妊手術をしていないと、猫の鳴き声がうるさくて近隣から苦情が来る可能性があるからです。

2.ペット可にする際の注意点

ペット可にするかどうかは大家の一存で決められると思っている方も多いと思いますが、実はそうではありません。

ペット可で募集する際には、次の点について必ず確認が必要です。

1)既存入居者の同意

現時点でペット不可の物件の場合、居住者はペットがいないことを前提に部屋を借りています。仮にペット可にして、既存入居者の中にペットアレルギーの人がいたら取り返しがつきません。

そこでペット可に変更する場合は、必ず既存入居者全員に説明して同意を得ておく必要があります。具体的には書面によって同意書を配布して回収するという流れです。

2)管理規約を確認する

区分所有物件の場合は、マンション自体の管理規約というものが存在するので、管理規約上でペット不可になっていたらペット可にはできません。

また、ペット可だったとしてもペットの種類や飼育のルールが細かく決められていることが多いので、必ず事前に確認したうえで募集をする必要があります。

3.ペット可で決めておくべきルール

すべての条件をクリアしてペット可に変更する場合、ペットを飼育するうえでのルールを取り決めておくことが大切です。

1)共用部分での取り扱い

エントランスや階段、エレベータなどでペットを歩かせていると他の入居者からクレームになることがよくあります。基本的に共用施設の中では、ペットは抱きかかえるなどのルールを徹底しておくことが重要です。

2)夜の散歩の注意

犬を飼う人の中には、夜中に散歩に行くケースがよくあります。

散歩に行くこと自体はよいのですが、ほかの部屋から苦情が出ないようできるだけ静かにするよう、入居時にお願いすることも大切です。

3)風呂場での排泄の禁止

風呂場の排水溝で糞尿をされると、においがついてしまう可能性があります。

必ずペット用のトイレやおしっこシートなどを使い、排水溝で直に排泄しないよう伝えましょう。

まとめ

ペット可物件の割合は全体の比率からすると非常に少ないので、実現できればかなりの差別化になります。ただ、ペット可にする際には今回お話した点について、事前にすべてクリアにしておかないと、あとでトラブルになるため注意が必要です。

契約する前に飼育する上でのルールについて、丁寧に伝えておきましょう。

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