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民法改正で連帯保証人が無効!知らないとヤバい改正のポイント

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

これまで120年間ほとんど改正されることがなかった民法がついに2020年、大規模な改正が行われます。

そんな中、賃貸管理の実務においても法改正によってさまざまな影響が出てくることが予想されますが、中でも知らないとヤバいのが「連帯保証人」に関する規定です。

現状の賃貸借契約書をそのまま使っていると、民法改正後はトラブルが無効になる可能性がありますので注意しなければなりません。

本記事では、大家さんや管理会社向けに改正民法が連帯保証人との契約に与える影響と、改正を受けて賃貸借契約書をどのように改定すればよいのかについて解説します。

1.連帯保証人とは何か

今回の民法改正で連帯保証人に関する規定が大きく変わります。

連帯保証人

契約者と連帯して債務を負担する人のこと

不動産投資においては、賃貸借契約の連帯保証人として非常に馴染みが深い部分です。

実務的には家賃滞納が発生して契約者がすぐに支払いに応じない場合に、連帯保証人に立て替えて支払うよう請求するため、通常は契約者の両親や兄弟などを連帯保証人に立てるケースが一般的です。

現在の連帯保証人の責任

今回の民法改正がされる前は「賃貸借契約から生じる一切の債務について」連帯保証するという内容の賃貸借契約が主流となっており、連帯保証人は契約者が家賃を滞納し続ける限り、際限なくいくらでも連帯保証しなければならないという状態でした。

ただ、これではあまりにも連帯保証人にかかる負担が大きすぎるということで、以前からさまざまな議論がされていたのです。

そもそもこのように「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証」のことを根保証といい、連帯保証人にかかる負担が大きすぎるということで2004年に改正が入りました。

金銭の貸渡しなどによって負担する債務(貸金等債務)については、保証人が個人である場合に限り「極度額」の定めが必要になり、極度額の定めがなければ根保証契約は無効になるという改正がされたのです。

この時点では賃貸借契約の連帯保証人は貸金等債務に含まれなかったのですが、2020年に施行される民法の大改正によって貸金等債務に限らず個人の根保証契約については、極度額の定めが必要となりました。

よって賃貸借契約の連帯保証人についても個人根保証契約に含まれることから、民放改正以降は極度額の定めがなければ連帯保証の契約自体が無効になってしまいます。

2.極度額って何?

根保証契約における極度額とは、連帯保証人が保証しなければならない債務の限度額のことです。賃貸借契約の連帯保証人でいうと、「立て替えなければならない家賃等の限度額」という意味になります。

例えば、家賃10万円の物件で極度額100万円の連帯保証だったとします。

この場合、連帯保証人は最大で10ヶ月分の滞納家賃を立て替える責任を負い、100万円を超えて家賃滞納をしても、その後の家賃を立て替えて支払う必要はなくなるのです。

極度額に制限はあるのか

現状のところ連帯保証人の極度額に法的な制限は規定されていません。

よって、100万円でも1,000万円でも有効です。

ただ、極度額は連帯保証人と交わす賃貸借契約書や確約書に金額を明記しなければならないので、あまりに高額だと連帯保証人になることを躊躇される可能性があります。

現実的には賃貸借契約は2年契約が多いので、家賃の24ヶ月分に更新料を加えた金額くらいを目安に考えるとよいでしょう。

極度額の表記でやりがちなミス

連帯保証人の極度額を設定する際に「家賃の24ヶ月分相当額を極度額とする」というように、家賃の○ヶ月分という表記に契約書や確約書を変更しているケースをよく見かけるのですが、実はこれ無効になる危険性があります。

家賃は必ずしも一定とは限らず、貸主借主の合意があれば変更ができてしまうものなので、「家賃の○ヶ月分」と表記すると極度額が確定していないと見なされて、無効になってしまう可能性があるのです。

つまり、極度額は確定的な金額でなければならないので、家賃10万円の物件で24ヶ月分相当額を極度額としたいのであれば、「240万円を極度額とする」というように、金額で明確に記載するよう徹底しましょう。

3.大家・オーナーとして求められる対策

今回の民法改正で、賃貸借契約書の連帯保証人に関する条文に極度額の記載が必要になるほか、実務的にも大家・オーナーとして考え方を変えていくべきことがいくつかあります。

連帯保証人を複数人お願いする

連帯保証人に極度額を設定するということは、万が一極度額を超えてしまうと実質的に連帯保証人がいなくなってしまうことになります。

そのため、今後は連帯保証人を2人立ててもらうなどして、保証される金額の上積みを検討する必要も出てくるでしょう。

極度額は連帯保証人ごとに適用されるので、例えば、XさんYさんの2人の連帯保証人がいるとして、それぞれ240万円の極度額であればトータルで480万円までは保証を受けられることになります。

ちなみに、極度額は連帯保証人個別にカウントされるので、仮にXさんが10万円立て替えて払えばXさんの極度額が230万円になり、翌月にYさんが10万円立て替えて払えばYさんの極度額が230万円になる点に注意が必要です。

よって、連帯保証人を複数人立てた場合は、誰がいくら立て替えてくれたのか家主として記録をとっておくようにしましょう。

保証会社を活用する

今回の民法改正で多くの管理会社が「保証会社」の利用拡大を進めています。

保証会社

賃借人が一定の保証委託料を支払うことで、連帯保証人を事業として引き受けてくれる会社のこと

ひと昔前までは外国人の利用者が大半でしたが、最近では連帯保証人がいるケースでも大家・オーナーの希望で保証会社への加入を入居の条件にするケースが増えています。

保証会社にも保証の限度額は設定されていますが、連帯保証人を事業として行なっているため家賃滞納が発生した際の対処が非常に早いです。

具体的にいうと、概ね3ヶ月分以上家賃が滞納すると建物明け渡し請求の裁判手続きに着手するスピード感なので、極度額をオーバーする前に解決できます。

また、裁判費用や弁護士費用も全て保証会社が負担するため、連帯保証人の場合よりも万が一の際の経済的リスクが大幅に軽減できるのです。

4.まとめ

2020年4月以降に締結する賃貸借契約から、連帯保証人との間の契約には極度額の設定が必須となります。

また、既存の賃貸借契約の更新だとしても2020年4月以降に更新する契約から、極度額の設定をする必要があるため注意が必要です。

現状のところは、極度額の妥当な金額がはっきりと見えてきていない状況なので、一番安心でリスク回避できるのは保証会社を利用することでしょう。

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