公務員が不動産投資をするための3つの条件とは?始めるための手順や副業規定について

副業元年の2018年から、大手企業を中心に副業が解禁され、本業以外に収入を得ている人が増えてきています。
また、副業が解禁されていない企業で副業をしても法律的には問題がない上に、トヨタ自動車の社長による「終身雇用が難しい」発言があったことからも、今後ますます副収入を得る人が増えると見込まれます。
一方で、公務員が副業することは“ 国家公務員法103条”によって法律的に禁止されています。しかし、公務員の方でも不動産投資であれば、条件付きでとりくむことが可能。不動産投資に向いているといわれる会社員よりも、有利な立場で投資活動ができると考えられます。
今回は、副業が禁止されている公務員でも安心して不動産投資を行うための条件と、注意点について解説していきます。
1.不動産投資が副業にならないための3つの条件
法律で副業が禁止されている公務員が不動産投資をするための条件は、次の3つ。このすべてを満たしていなければなりません。
1)不動産投資の規模が5棟10室以下
公務員の方が不動産投資を行う際に知ってほしい知識として、”人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について”があります。
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
※出典:https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/14_fukumu/1403000_S31shokushoku599.html
この基準を超えると、公務員でも認められていた不動産投資が副業扱いになり、国家公務員法に抵触する可能性があるので注意が必要です。
つまり見出しにありますように、”不動産投資の規模を5棟10室以下”に抑えておく必要があります。
2)家賃収入が年500万円未満
公務員の不動産投資では年500万円を超える家賃収入を得ると副業扱いになります。
ここでポイントなのは手元に残るCF(キャッシュフロー)収益が500万円ではありません。家賃収入で計算されます。
一億の借入を起こし、月8.5万円のワンルームマンションを5戸所有すれば、副業とみなされてしまいます。(8.5万×12か月×5戸=510万円)
例えキャッシュフローが赤字だったとしても、500万円を超えれば副業扱いとなりますので注意しましょう。
家賃収入500万円未満なら報告は不要?
家賃収入が500万円未満の公務員であれば、報告を一切しなければよいのかというとそんなことはありません。
人事院規則14-8によると、毎年1月末に“自営兼業承認申請書”で報告する義務があります。
この項の規定による報告は、毎年1月末日までに、前年に与えた承認について、次に掲げる事項を記載して行うものとする。
※出典:人事院 第3項関係
フォーマットの書式は自由ですが、人事院で用意しているこちらの書式を使えば間違いありませんので、ありがたく利用しましょう。
家賃収入を報告する内容として、
- 賃貸する不動産の種類と規模
- 家賃収入の予定年額
- 不動産管理方法
が挙げられますが、管理委託契約書とレントロールの写しを同封すれば問題ないでしょう。
また家賃収入が500万円を超えた場合でも、”親の資産を相続した”等の理由があれば、副業としてみなされないケースもあるようです。
3)管理業務は委託する
公務員が副業を禁止されている理由として、職務専念の義務(国公法第101条)の精神的・肉体的な疲労により、本業に支障を出さないためです。
不動産投資をはじめ、株・太陽光投資で許可が出ているのは、自分の労力を使わないことが前提にあります。
管理費を削減したいからと言ってすべて自分で物件を管理するのは、アルバイトなどの労働と変わりません。
必ず管理会社に委託するようにしましょう。
3.申請せずに不動産投資を始めるのはNG!公務員のリスクとは
公務員が申請せずに不動産投資を開始することは、副業禁止規定に該当します。
もちろん、規定を超える規模での不動産投資も規定違反です。
判例では、規定を超える規模で事業をおこなった公務員に対し、懲戒免職処分がくだった事例もあります。
1)そもそも公務員がなぜ副業をしてはいけないのか?
そもそも公務員が副業をしてはいけない理由として、国家公務員法103条の私企業からの遠離を守るためです。
職員は、商業、工業又は金融業その他営利目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
※出典:国家公務員法
公務員は国に仕えて、国民の為に働くことが義務付けられている為、一部の企業や人に癒着しないように法律で義務付けられているわけです。
一方で本タイトルにあります不動産投資は、あくまでも自分の不動産で利益を得ます。
そのため国家公務員のイメージが下がる心配がないことから、条件付きですが、公務員の不動産投資は認められているのです。
では公務員が国家公務員法103条を破って副業してしまった場合、具体的にどうなるのかを裁判の判例などを交えて解説します。
2)副業禁止規定に該当したら?
公務員が国家公務員法に抵触した場合、免職・停職・減給・戒告と上から順に厳しい罰則があります。
(1)免職
(2)停職(1日以上1年以下の期間、職務に従事させず、給与は支給されない)
(3)減給(1年以下の期間、俸給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から減ずる)
(4)戒告(その責任を確認し、将来を戒める)
実際に一番厳しい“懲戒免職処分”になった事例として、1999年に大阪府高槻市の消防職員がテレフォンクラブを経営した為にクビになった例です。
この方は、裁判で争いましたが結局、公務員のイメージが下がったとして大阪地方裁判所でも却下されてしまいました。
本件は、高槻市消防職員として勤務してきた原告が、被告から懲戒免職処分を受けたが、右処分には、事実誤認、法令解釈の誤り、比例原則違反等の違法があるとしてその取消しを求めた事案である。
一当事者間に争いのない事実
1.原告は、消防組織法一二条一項の消防職員として、昭和四七年四月一日、同法一四条の三により、高槻市に採用された地方公務員であり、平成六年四月一日から高槻市中消防署大冠分署に消防副士長として勤務していた者である。
2.原告は、被告から、平成六年一二月二日付けで、地方公務員法(以下「地公法」という。)二九条一項の規定により懲戒処分としての免職に処する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けた。
右処分の理由は、右同日付別紙懲戒処分事由書〈略〉(以下「別紙事由書」という。)記載のとおりである。
3.原告は、本件処分を不服として、平成七年一月二〇日、高槻市公平委員会に対し、本件処分の取消しを求めて審査請求したが、同公平委員会は、平成一〇年三月三〇日付で本件処分を承認する旨の判定をした。
引用元:大阪地方裁判所
ここまでの例は珍しいですが、アルバイトが見つかったことで減給処分になった例もあります。
公務員の方が労働収入による副業を行うことがいかにリスキーかをご理解いただけたかと思います。
では公務員は労働収入ではない不動産投資ならすべていいのか?というとそんなことはありません。
不動産投資でも条件を守らないと減給や、最悪の場合懲戒免職処分になる恐れもあるのです。
4.公務員が不動産投資に有利な理由
公務員が不動産投資で有利な理由は、ずばり”与信が高い故の融資条件の良さ”です。
確かに給料削減はあるかもしれません。
しかし職を失う可能性はかなり低く、長期で融資する銀行からしても、安定した公務員に優遇金利をつけてでも融資したがる傾向にあります。
公務員の方は融資条件の良い、金利が安い銀行を選んで有利に不動産投資を進めやすい事が多いです。
一方で会社員はいくら大企業でもあっても、経済状況が傾いてリストラなどにより職を失う可能性は0ではありません。
公務員が受けられる優遇金利が、会社員では銀行によっては使えない事もあるのです。
また、会社員の方は職種によっては融資が不利になる事もあります。
具体的には”免許で仕事している職種”で、免許が剝奪されると無職になりますので、案件によっては借入額の減額があるのです。
そういう点では、不祥事さえ起こさなければ安定的な収入が得られる公務員は、収支計画が立てやすく銀行から良い条件で融資を受けられます。
結果的に一般会社員の方よりも高利回りで不動産投資ができるのは有利なのではないのでしょうか?
最後に公務員の方が不動産投資を始める際の注意点を解説していきます。
5.与信が高い公務員だからこそ知識武装が必須
公務員の”与信が高い故の融資条件の良さ”が不動産投資で武器になるのは間違いありませんが、同時に弱点にもなるケースがあります。
それは、多くの不動産投資会社に狙い撃ちにされることによる、不動産投資初心者には全く合わない高額な物件を勧められる事。
高額物件の融資が通りやすい公務員の方は、売買価格のパーセンテージで収入が決まる不動産会社にとって、高額な手数料を取るチャンスです。
(不動産会社にとっては、7,000万円ほどのローンが通る方に、2000万台の物件を紹介するのは手数料が1/3以下にする行為と同じ。結構もったいない話でもあります。)
一見利回りがよさそうな1棟物を、リスク度外視で紹介される事も珍しくはありません。
もし「私ならこれで高額な不労所得が手に入るんじゃないか!?」夢を持たされて、あなたと不動産会社の知識の差で説得されて購入してしまったら最後。
失敗したと思い売却活動をするも、購入した価格の半分程度の査定しかでなかったことも珍しくなく、失敗する人が後を絶ちません。
更に空室が発生し、キャッシュフローが赤字になったら…。
5,000万円以上の融資に対する赤字ですから、月何十万も持ち出しもありますし、下手すると自己破産もあり得ます。
正直、不動産の知識や実践の経験値がない人がいきなり、5,000万以上の1棟物を買う事ほど怖いものはないと考えております。
この話を聞いて、「私は安い物件(区分)から始めるから私は大丈夫!」って思っていませんか?
安い物件なら何でもいいわけではなく、不動産はリスクがあるからこそ、複数の視点から知識武装をする事こそが公務員の方が不動産投資で成果を上げる近道だったりもします。
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まとめ
公務員は副業ができない事をハンディキャップに感じるかもしれませんが、融資条件が有利な公務員と不動産投資との相性は抜群です。
公務員の方の不動産投資が問題にならない範囲をもう一度おさらいすると
- 不動産投資の規模が5棟10室以下
- 年間家賃収入は500万円以下
- 管理委託をすること
この3つの条件を守りながら、不動産投資ライフを楽しんでいきましょう。