不動産投資ローンはどの金融機関が良い?金利や融資エリア・審査を徹底比較
投資用物件を購入するために、殆どのオーナーは不動産投資ローンを契約することになりますが、金融機関によって金利に幅があります。
ローンの金利が上がると総返済額も多くなり、経営プランに影響を及ぼすため不動産投資において「金利」は重要な役割を果たしています。
不動産投資ローンの金利の相場はどの位なのでしょうか?
金利はメガバンクや地方銀行など金融機関によって異なり、融資エリア・審査基準などもそれぞれ違いがあります。
今回の記事では不動産投資ローンの概要と金利について、金融機関別の金利の相場、融資基準・エリア、注意点を解説していきます。
1.不動産投資ローンとは?金利は2種類
不動産投資ローンは、アパート・マンションなど賃貸住宅を購入し運用するオーナー向けのローンで、「アパートローン」とも呼ばれています。
近年の不動産業向けの貸出残高推移、個人貸家業向けの貸出残高の推移を見てみましょう。
公表資料によると、
①金融機関における不動産業向け貸出額が近年高い伸び率を示していること
②個人の不動産投資ローンの件数は正確に実態を把握することは困難であるものの、増加傾向が続いてきたと推察されること
③増加の要因の1つとして、土地所有者や富裕層の節税・資産運用ニーズが高まったこと
これら3点が指摘されています。
サラリーマンが節税や資産運用を目的に不動産投資を始めるケースが増え、不動産投資ローンの貸出額が増加している現状が分かります。
1)ローンの金利は固定金利と変動金利の2種類
ローンの金利は固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利と変動金利
固定金利・・・借入期間中に金利・返済額が変わらないタイプ
変動金利・・・一定の期間に金利を見直し返済額が変わる可能性のあるタイプ
※固定金利でも返済の途中で段階的に金利が変わるものもあります。
固定金利は変動金利より金利が高いものの借入時に総返済額が決定するため、返済計画を立てやすいという利点があります。
変動金利のメリットは金利が低いことですが、金利・返済額が変わる可能性があります。
変動金利型のローンの殆どは日本銀行の短期プライムレートと連動していますが、2009年以降、短期プライムレートの値は変わっていません。今後の日本銀行の政策次第で変動のリスクがある点に注意しましょう。
用語解説
プライムレートとは信用度の高い大企業に適用される優遇金利のこと。
返済期間が1年以内を短期プライムレート、1年以上が長期プライムレートであり、中小企業でも長期プライムレートに少しの金利を上乗せして融資するケースがある。
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2.不動産投資ローンの金利を金融機関ごとに比較
金融機関ごとに不動産投資ローンの金利を比較してみましょう。
①メガバンク(都市銀行)
②地方銀行
③信用金庫・信用組合
④ノンバンク
⑤日本政策金融公庫
1)メガバンク(都市銀行)
「メガバンク」と呼ばれる都市銀行では、金利が1%台からと低めに設定されています。
融資範囲は全国と広いですが、他の金融機関よりも融資審査が厳しいといった特徴があります。
2)地方銀行
地方銀行の金利は1.4~5%と幅があり、個人の年収や預金額によって異なるでしょう。
メガバンクに比べると融資審査は緩めになっており、融資エリアは本社が位置する県と隣接した地域となります。
銀行の規模によっても融資エリアが異なります。
3)信用金庫・信用組合
信用金庫・組合は地方銀行よりさらに融資エリアが狭く、市内・区内など限定された範囲となります。
口座開設ができる人も限られています。融資エリアに居住もしくは勤務している人が対象です。
金利は2~3%程度です。地域に根差し縁故を大事にする傾向があります。
4)ノンバンク
銀行ではない金融機関を「ノンバンク」と呼び、預金はできませんが融資を受ける事が出来ます。
金利は3~5%(※)と高めです。比較的融資審査が緩いため、収入が不安定な職種、年収が低めといったローン審査に通りにくい方でも融資を受けられる可能性があります。
融資エリアは全国の主要都市と広めに設定されています。
※金利1%台の金融機関もあります
5)日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、中小企業・個人事業主に低金利で融資を行う政府系金融機関です。金利は1~2%ほどです。
国民生活の向上を目的に政府出資の金融機関です。そのため投資目的の融資は原則NGとなっていますが、「事業」に対しては融資対象です。
不動産投資のために融資希望する場合は、事業規模(5棟10室以上)であれば融資が受けられる可能性があります。
厳密に言うと、不動産投資目的ではなく不動産賃貸事業を営むことを目的に融資申請する必要があります。
3.不動産投資ローンで注意すべきことは?
不動産投資ローンの融資可否や金利は、融資の申込者が金融機関に預け入れた貯蓄額(自己資金)が、年収や職種に加え重要な判断材料の1つとなります。
再び金融庁の不動産投資ローンの融資に関するアンケート結果を見てみましょう。
銀行では、必要な自己資金を45%の割合で全て又は2/3以上の案件で自行の口座に預け入れさせています。
信用金庫・組合ではさらに割合が多くなっています。
住宅ローンも同様ですが、「普段から資金を多く預け入れている金融機関からは信頼度が高い」と言えるでしょう。金利を優遇して貰える可能性も高くなります。
新規で取引を行う場合には、融資を受ける金融機関に預金を移動させることもあります。
金利を含めた返済額の簡易シミュレーションは「知るぽると」のサイトで行ってみましょう。
本格的にシミュレーションを行いたい方は、金融機関又は不動産会社に相談してみることをおすすめします。
まとめ
不動産投資ローンの金利相場はメガバンクで1%台、地方銀行では1.4~5%、信用金庫・組合は2~3%、融資審査が緩いノンバンクは3~5%と高めとなっています。全体として融資審査が厳しい金融機関は金利が低く、逆に審査が緩い金融機関は高金利の傾向にあります。
預貯金を預け入れている、長年取引のある金融機関からは信頼度が高い可能性がありますので、融資を受ける際には候補先として検討してみましょう。