人口減少でも不動産投資は勝てる?少子化が進む2035年でも負けない投資法とは
人口減少で空き家が増える状況でも、不動産投資に商機はあります。
日本は急速に少子高齢化が進み、人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少傾向に。
厚生労働省によると、2023年の出生数は約73万人で、過去最少を記録するなど8年連続で減少中です。
人口が減少すれば、空き家の数は増加します。
2018年の全国の空き家比率は13.6%で、約7戸に1戸が空き家でした。
その後も増え続け、2033年頃には3戸に1戸が空き家になる予測も出ています。
このような状況下でも、なぜ不動産投資は有効なのでしょうか。
本記事では、日本の人口減少と不動産投資の関係についてご説明します。
1.人口減少と不動産投資の関係
まずは、日本の人口動態を見ていきましょう。
1)加速する人口減少と少子高齢化
前述の通り、2008年にピークを迎えた日本の人口は2011年以降、一貫して減少傾向にあります。
2023年の総人口は1億2,435万人。
1年間の減少数は59万5,000人で、13年連続で減少しています。
人口減少はさらに加速すると予測されており、国立社会保障・人口問題研究所は、2065年には総人口が9,000万人以下に落ち込み、高齢化率が約38%になると推計。
高齢化率とは、総人口に占める65歳以上の割合のことで、2065年には社会の10人に4人近くが65歳以上となるのです。
2)これまで通りの不動産投資では限界が来る
人口減少により、必然的に賃貸住宅のニーズも減少すると考えられるでしょう。
空き家は社会問題化し、野村総合研究所によると2033年には日本の空き家率は30%に達すると予測。
住宅は供給過多となり、市場価値も低下していくかもしれません。
人口減少、少子高齢化、空き家率の増加を考えると、これまで通りの不動産投資では、収支が厳しくなる可能性が高くなることが考えられます。
3)2035年の人口は?
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)-令和2(2020)~32(2050)年-」では、2035年の日本の状況を次のように推測しています。
全国的に人口減少も東京は増加
まず、2035年には東京を除く、46の道府県において総人口が減少するとされています。
2035年から2040年の5年間では17の道県において人口の増加率が-5%を下回ると予測。
しかしながら、東京の人口は2035年時点では増加し、2050年時点でも2020年時点を上回ります。
また、東京都に隣接する神奈川県・埼玉県でも2035年時点の人口減少数はわずか数パーセントです。
したがって、3戸に1戸が空き家となると推測されている2035年あたりになっても、都市部の人口にはそれほど大きな変動がないといえるでしょう。
0-14歳の年少人口は低下
少子化を裏付けるように、0歳から14歳までの人口が各都道府県の総人口に占める割合は2035年まで、全ての都道府県で低下すると予測されています。
生産年齢人口も減少
労働力の中核を担うといわれている15歳から64歳の生産年齢人口も減少することが予測。
2035年には東京都を含めた全ての都道府県で生産年齢人口の減少が見込まれています。
65歳以上は大都市圏で大幅増加
減少する0~14歳の年少人口に対し、65歳以上の老年人口は2043年頃まで増加を続ける見通しです。
年少人口と生産年齢人口が減少するなか、65歳以上の老年人口が増加すれば、必然的に総人口に占める老年人口の割合は上昇。
2030年には38の道府県、2040年には東京を除く46道府県で65歳以上の人口割合が30%を超えるようになります。
4)人口減少を見据えた不動産投資は入居者ターゲットの明確化が必要
少子高齢化は加速しますが、全ての地域において人口が減少するわけではありません。
前述のように、東京都では2035年になっても人口は減少しません。
また、神奈川県、埼玉県でも人口の減少割合はわずかです。
したがって、少子高齢化が進む2035年でも勝ち続けられる不動産投資を行うためには、まず、人口減少の少ない都市部のエリアに建つ物件を選ぶことが大切になります。
次に重要となるのは、入居者のターゲット像を明確にする戦略です。
例えば、ワンルームマンションであっても、大学生や専門学校生、就職したばかりの若い会社員などが住む物件には、同じくらいの世代や生活環境の人が入居を希望します。
反対に、入居者に単身の高齢者が多いワンルームマンションであれば、若い世代は敬遠する可能性があるでしょう。
入居のために物件の内見をする際には、どのような世帯が多く住んでいるのかを気にする傾向にあり、自分と同じ環境や年齢の入居者がいる物件を選びやすくなるのです。
これからの不動産投資は、単身者向けのワンルームマンションとして入居者を募集するのではなく、ターゲット層を明確化し、賃貸ニーズに合わせた募集活動やリフォームなどを行っていく必要があります。
また、ターゲットを絞り込むという点では、特定のコンセプトのもとに運営を行うコンセプト賃貸も効果的です。
例えば、ペットを飼う人が暮らしやすい物件にしたり、音楽好きな人が集まりやすい楽器演奏が可能な物件にしたりと、他の物件との差別化ができれば、相場より高い家賃設定をしていても入居者を集めやすくなるでしょう。
2.人口減少の影響を受けにくい、少子化でも勝てる不動産投資とは?
賃貸経営を成功させるためには、時代や環境に合わせた戦略が必要です。
不動産投資もビジネスと同様に、世の中の動きに敏感に適応しなければなりません。
少子高齢化が進むなか、従来のままの投資戦略では失敗する可能性が高くなります。
では、これからも順調に利益を出し続けられる不動産投資を実現するためには、どのような戦略を立てればよいのでしょうか。
ここでは、迫り来る少子高齢化社会にも負けない不動産投資のスタイルを築くヒントをご紹介します。
1)増加傾向にある単身世帯を狙う
少子高齢化といったパワーワードをそのまま捉えると、「賃貸ニーズが減少する未来で不動産投資の成功は不可能に近いのでは?」といったマイナスな思考が芽生えてしまうでしょう。
しかし、少子化が進んでも賃貸ニーズがなくなることはありません。
まずは、少子化や人口減少についての事実をしっかり把握することが大切です。
前述のように日本では、人口は確かに減少しています。
しかし、世帯数は年々増加していることをご存じでしょうか。
厚生労働省のデータによると、2022年の全国の総世帯数は5,431万世帯です。
1986年の全国の世帯数は3,754万世帯であり、2022年まで約35年の間、世帯数は毎年増加しています。
このデータは、人口と世帯数が比例していないということを示しているのです。
人口減少が続く中でも世帯数が増えている理由の一つは、親と子が同居するケースが減っていることでしょう。
嫁入りという言葉があるように、かつては、結婚をすると妻が夫の実家に入り、二世帯や三世帯で暮らすライフスタイルが一般的でした。
しかし、現在は結婚を機に妻が夫の親と生活を共にするケースは少なくなっています。
結婚して新たな世帯を築き、それぞれの住まいでそれぞれのペースで生活をするようになると、親が高齢になっても同居をすることはほとんどありません。
したがって、親世代は高齢になっても別世帯で生活を続けるのです。
また、配偶者が亡くなった場合もそのまま自宅で一人暮らしを選択するケースが多いため、世帯数は増加していると考えられます。
もう一つの世帯数増加の原因は、都市部への若い世代の集中が関係していると考えられます。
大学や専門学校、企業は都市部に集中しています。
地方で生まれ育った若い世代も、学ぶ機会や働く機会を求め、進学や就職を機に都市部に集まるのです。
家を離れ、都市部に出てきた若い世代は、新たな住まいの世帯主となります。
さらに、近年では、生涯を未婚で過ごす未婚率も高まっています。
結婚によって、単身世帯の2人が1つの世帯を築けば、世帯数は減少します。
しかし、未婚率が高くなれば結婚によって2つの世帯が1つになることも少なくなるため、単身世帯の数は増加します。
このような事情が重なり、日本では、人口は減少しているものの世帯数は増加しているという現象が起きているのです。
2)今後も賃貸需要の高い都心部のワンルーム投資に絞る
東京都は2035年にも人口が増加し、神奈川県や埼玉県も人口減少割合がわずかであるとご紹介しました。
それは、都市部に大学や企業が集中し、人口が地方から都市部に流入するため、少子高齢化でも都市部の人口は増加または維持を続けられるのです。
若い世代が進学や就職で地方から都心部に出てくれば、当然、住む家を探さなければなりません。
また、未婚率が高まれば、30代、40代になっても一人で暮らす人が増加するでしょう。
とくに、東京都、神奈川県、埼玉県などの都心部は未婚率が高い傾向にあります。
単身世帯が戸建やマンションを購入するケースは多くありません。
したがって、人口減少が進んでも都心部におけるマンション経営、とくに単身者を対象としたワンルーム投資の需要は、今後も増加するでしょう。
3)キャピタルゲイン狙いの1LDKマンション投資もおすすめ
少子化が進む背景には、未婚率の高まりだけでなく、「DINKs」と呼ばれる子どもを持たない夫婦が増加していることも関係しています。
女性の社会進出が進み、さまざまな価値観が受け入れられるようになったことなどにより、結婚をしても子どもを持たずに仕事を続ける夫婦が増えているのです。
DINKsは夫婦がそれぞれ仕事を持つために、ファミリータイプのマンションのような広い間取りは必要とせず、コンパクトな造りのマンションを好みます。
また、共働きのため、互いの通勤に便利な立地を選ぶ傾向にあります。
賃貸住宅市場はファミリータイプやワンルームがあふれています。
DINKsが好む1LDKのマンションは競合が少ないことから、入居者が決まりやすく、また入居が決まれば居住期間も長くなる可能性が高くなります。
また、売却時に投資家だけでなくDINKsも買い手の対象となり、投資用物件として売却するよりも、住宅ローンが利用できる居住用物件として売却したほうが高い価格で売れる可能性があるのです。
都心のマンション価格は今後も高騰すると考えられていることから、立地条件の良い1LDKマンションであれば、購入時よりも高額な価格で売却できるでしょう。
今後、ますます増加すると考えられるDINKsをターゲットとしたキャピタルゲイン狙いの1LDKマンション投資もおすすめです。
4)希少性が高い戸建て投資も狙い目
戸建ての賃貸物件は、決して多くありません。
以前は、戸建て住宅といえば、持ち家をイメージするケースがほとんどでした。
しかし、昨今では価値観が多様化し、持ち家を持つのではなく、ライフイベントや環境の変化に合わせて気軽に住み替えができる賃貸物件を希望するケースが増えています。
かつて、マイホームを持つことは1つのステータスとして考えられていました。
今では、子どもが小さい間だけ、広い戸建て住宅や、庭のある戸建て住宅に「賃貸で住みたい」というニーズが増加しているのです。
戸建てのターゲットは、子どものいるファミリー層です。
したがって、入居後は子どもの転校などを避けるため、長期にわたって居住する傾向にあり、空室リスクが低くなります。
また、子育て中は安心して子どもを育てられる落ち着いた環境が好まれるため、多少駅から離れている場所であっても客付けがしやすくなります。
さらに、戸建て賃貸はまだまだ数が少ないため、ライバルとなる物件が少ない点もメリットでしょう。
また、土地の価格も資産価値に反映されます。
建物の資産価値は時間の経過ともに低下するものの、土地の価格は経年劣化によって低下することはありません。
資産価値が落ちにくいという点も戸建て投資の魅力です。
3.人口減少が不動産投資の追い風になるパターンも
人口減少は、必ずしも不動産投資にマイナスの影響を与えるわけではありません。
逆に、少子化や人口減少が不動産投資の追い風になる可能性もあります。
1)単身高齢者の賃貸ニーズが増加
前述のように、核家族化が進む現在では、高齢になり配偶者が亡くなった後でも一人で生活する単身の高齢者が増加していきます。
一人になったことで、広い家からコンパクトな住宅に転居を希望する高齢者もいるのです。
そのため、若者世代だけでなく、高齢者世代が単身者向けの賃貸住宅への入居を希望するケースも増えるでしょう。
これまで、ワンルームマンションといえば若い世代が中心でしたが、今後はより幅広い層のニーズをつかめるようになると考えられます。
高齢者が快適に暮らせるような設備や環境を整えた物件であれば、今後ますます増加する高齢者の賃貸ニーズを捉えられるでしょう。
2)人口減少も賃貸市場への影響は少ない
人口減少が続いていますが、亡くなる方の多くは高齢者です。
高齢者の多くは持ち家に住んでおり、賃貸物件への居住率は低いです。
したがって今、人口減少が直接的に賃貸物件の需要の減少につながるとは考えにくいでしょう。
また、高齢者が亡くなり、空き家になった物件も、その多くは戸建てです。
戸建て物件への入居を希望する単身世代は少なく、さらに築年数の経過した戸建てを相続した人が物件を活用して賃貸経営を始める例も少ないと考えられます。
この点からも、今すぐに人口減少が賃貸市場に大きな影響を与えるとは考えにくいのです。
3)都心回帰で都心部の人口増加
社会インフラが整備された集約型の都市構造「コンパクトシティ」は、今後も賃貸需要が見込まれます。
そのため、今後はコンパクトシティの整備が進み、より都心部に人口が集中するようになるでしょう。
実際、東京都、大阪府、福岡県では、すでに人口増加の傾向が続いており、人々が都心に回帰していることが分かります。
インフラが整った都心部へは、今後も人口が集中すると考えられ、不動産投資はますますニーズが高まると期待できるのです。
まとめ
「人口減少が進む日本では不動産投資の未来はない」という懸念を持つ投資家も少なくないでしょう。
しかし、少子高齢化でも都心部のワンルームマンションは需要が高まっていくはずです。
時代の流れと賃貸需要をしっかりと見極める投資ができれば、人口減少が進んでも怖がる必要はありません。
不動産投資を始めるライバルが増えれば、投資対象物件の価格はさらに値上がりします。
ライバルとなる投資家が減少している今が、不動産投資を始めるチャンスだともいえるのです。
このチャンスを生かし、都心回帰が本格的になって物件価格がさらに高騰する前に、資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。