自宅マンションを貸し出す手順!まずは賃貸管理会社に相談すべき点を解説

転居や一時的な転勤などを理由に自宅マンションから離れ、賃貸物件として貸し出す人は少なくありません。
いわゆる賃貸経営は、家賃収入をそのままローンの返済に充てられるメリットがありますが、一方で管理対応が必要になるといった負荷も発生する一面もあります。
そのため、自宅マンションを貸し出す際は賃貸管理の専門家である管理会社へ委託するのがおすすめです。
本記事では、自宅マンションを貸し出す手順と、賃貸住宅にした場合のメリットと注意点についてご紹介します。
1.自宅マンションを貸し出すのはアリ?
転勤や住み替えを機に、自宅マンションの貸出を検討する人も少なくありません。
近年、シェアリングエコノミーの概念が浸透し、個人の所有物を他者と共有する考え方が広く認知されるようになりました。
とくに都市部では不動産価格の高騰により、所有する不動産を最大限に活用したいという需要もあり、シェアリングエコノミーの考えと相まって賃貸化に乗り出すオーナーが増加しています。
この流れで自宅マンションの賃貸化がひとつの選択肢として広がっているのです。
自宅を賃貸住宅として運用すれば、家賃収入を得ることができます。
しかし、自宅マンションの賃貸化は単純に「貸せばいい」というわけではありません。
マンションの管理規約で賃貸を禁止している場合や、ローン契約で制限がかけられている場合もあります。
また、税務上の問題や、入居者に対する管理業務の遂行方法など、考慮すべき点は多岐にわたります。
自宅マンションを貸し出すには、必要な手続きやメリット・デメリットなどを踏まえて十分な検討を行い、本当に貸し出してもよいか慎重な判断が求められるでしょう。
2.自宅マンションを貸し出す手順
自宅マンションを賃貸化するには、いくつかの手順を踏む必要があります。
ここでは、マンションを貸し出す際の一般的な手順を紹介します。
1)マンションの管理会社へ相談
最初に行うべきは、マンションの管理会社への相談です。
多くのマンションでは、分譲物件の賃貸化に関する規約や制限が設けられています。
その内容は契約書に記載されていますが、読み違えや勘違いを防ぐためにも、マンションの管理会社に連絡し、賃貸化の可否や可能な場合の条件を確認するのをおすすめします。
具体的には、マンションの管理会社に以下のような点を確認しましょう。
- 賃貸に出すことを許可されているか
- 賃貸に出すにあたり管理組合への届出が必要か
- 賃貸可能な期間に制限はあるか
- 賃貸用に改装する際の制限はあるか
- 入居条件(ペット飼育不可、楽器演奏不可など)はあるか
これらの情報を事前に把握することで、賃貸化のプロセスをスムーズに進行できます。
また、事前に管理会社に連絡をしておくことで、トラブルを防止し良好な関係を維持することが期待できるでしょう。
2)貸し出す方法を決める
次に、具体的な貸し出し方法を決定します。
ここで選択肢になるのは「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」のいずれを選ぶかという点です。
普通賃貸借契約は、一般的な賃貸物件で採用されている契約形態です。
借主側の権利が強く保障される契約形態であり、契約期間が満了しても、正当な事由がない限り家主から契約を終了させることはできません。
家主都合で退去を求める場合は、数ヶ月前の告知と引っ越し費用の負担などを引き合いに入居者に交渉するのが一般的です。
このため、自宅マンションに戻る予定がなく、長期的に安定した賃料収入を期待する場合に適しています。
定期賃貸借契約は、契約期間が明確に定められ、期間満了時に確実に契約を終了できる契約形態です。
原則として契約期間の延長はできないため、将来的に自己使用の予定がある場合や、短期間の賃貸を想定している場合に適しています。
また、契約のたびに条件変更が可能であるため、市場の変化に応じて柔軟に対応できるメリットも。
これらの契約形態はどちらが優れているというわけではなく、どちらにも長所と短所があるため、自身の状況や将来的な利用計画に合わせて選択することが重要です。
3)家賃を設定する
適切な家賃設定は、スムーズな賃貸化の鍵となります。
周辺の家賃相場を調査し、物件の特徴や設備などを考慮して決定しましょう。
高すぎる家賃は入居者の確保がしにくくなります。
反対に安すぎると適切な収益が得られない可能性があります。
家賃設定の際に考慮すべき要素は以下の通りです。
- 立地条件(最寄り駅からの距離、周辺の利便施設など)
- 物件の築年数と内装の状態
- 間取りと広さ
- 設備の充実度(エアコン、インターネット環境、セキュリティなど)
- 周辺の賃貸物件の相場
また、敷金・礼金といった初期費用や、管理費を設定する必要があります。
賃料設定は収入を左右する重要な決断となりますが、十分な知識と経験がなければ適切な金額を決めにくいため、賃貸管理会社に相談するのもよいでしょう。
4)入居者を募集する
家賃が決まったら、いよいよ入居者の募集を開始します。
オーナーが自ら広告を出して集客することも可能ですが、入居希望者とのやりとりや手続きの負担を軽減するためにも、仲介業者や賃貸管理会社を介して募集するのがおすすめです。
専門の業者に集客を委託すれば、以下のような業務を代行してもらえます。
- 入居者募集(複数の不動産ポータルサイトへの掲載など)
- 物件の適切な評価と価格設定のアドバイス
- 内見対応や入居者の信用調査の代行
- 契約手続きのサポート
- 入居後のトラブル対応
これらの対応はノウハウがない個人が行うには、一部困難なものがあります。
スムーズに入居者を決めるためにも、よほどの理由がなければ仲介業者や賃貸管理会社への委託を検討しましょう。
5)契約する
入居者が決まったら、最後に賃貸借契約を締結します。
契約書の作成や重要事項説明など、法的な手続きが必要となります。
これらの手続きも専門知識が求められますので、仲介業者や賃貸管理会社への委託が安全です。
契約書には、主に以下の事項を盛り込む必要があります。
- 契約期間
- 契約形態(普通賃貸借契約または定期賃貸借契約)
- 賃料と共益費の金額と支払い方法
- 敷金・礼金の有無と金額
- 契約更新の条件
- 解約に関する取り決め
- 原状回復の範囲と費用負担
- 保険への加入義務
- 禁止事項(ペット飼育、楽器演奏、転貸など)
- 修繕費の負担区分
とくに原状回復については、国土交通省のガイドラインに基づいて適切に取り決めを行うことが重要です。
入居者との将来的なトラブルを防ぐためにも、これらの事項を明確に契約書に記載しておくことをおすすめします。
3.自宅マンションを貸し出すメリットと注意点
自宅マンションの賃貸化には多くのメリットがある一方、トラブルを回避するための注意点も少なからず存在します。
果たして自宅を貸し出すことが自身にとって本当にいいことなのか、メリットと注意点を踏まえて検討しましょう。
1)自宅マンションを貸し出すメリット
自宅マンションの貸し出しには、いくつか大きなメリットがあります。
安定した賃料収入が得られる
最もわかりやすいメリットは、毎月安定した賃料収入が得られることです。
とくに住宅ローンを返済中のオーナーにとって大きな助けになることは間違いありません。
設定した家賃によっては、ローンの返済額を補ったうえで家賃収入を得ることも可能です。
また、マンションは空室のまま放置するよりも、誰かが住むことで資産価値を維持しやすくなります。
長期間空室の状態が続くと水回りや電気設備の劣化を招きますが、住民が入ることで過剰な劣化を抑えられるでしょう。
節税も可能
家賃収入を活用した節税も期待できます。
賃貸化した自宅マンションのために支払う修繕積立金や管理費、ローン金利などを経費に計上すれば、税計算上の収入を抑えて税負担を減らすことが期待できます。
ただし、税金の算出は収入と経費を正しく計算する必要がありますので、税金に詳しい専門家からアドバイスや指導を受けることをおすすめします。
2)自宅マンションを貸し出す際の注意点
自宅マンションの賃貸化にはメリットがある一方、注意すべき点もいくつか存在します。
これらのリスクは、賃貸管理会社に管理を委託することである程度軽減できる可能性も。
管理委託には一定の委託料がかかりますので、賃貸経営にかかるストレスの軽減と金銭的な負担を比較して委託の有無を決めましょう。
賃貸経営には責任と手間が伴う
賃貸経営には様々な責任が伴います。
設備の修繕や更新、入居者とのトラブル対応など、オーナーとして果たさなければならない義務が多く存在します。
管理業務を委託しない自主管理だと、深夜の対応が難しいでしょう。
また、退去者が出た後に次の人に貸し出すための準備である原状回復は、想像以上に費用がかかる場合があります。
とくに長期入居者やペット飼育者の後は、壁紙やフローリングの張り替え、設備の交換など、大規模な対応が必要になることもあるでしょう。
住宅ローン残債がある場合は金融機関に相談を
住宅ローンは自己居住物件に対する融資であり、原則的に住宅ローンのままでは第三者に家を貸し出すことはできません。
したがって、住宅ローン残債がある場合、基本的にはローンの借り換えが必要になります。
しかし、一時的な転勤などで家を貸し出す場合は、住宅ローンを返済しながら賃貸に出すことが認められる可能性も。
ただし、自身が居住していない間は住宅ローン減税を受けることができません。
いずれにしても、住宅ローン残債がある自宅マンションを貸し出す前には、事前に金融機関に相談するようにしましょう。
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丁寧に住んでもらえるとは限らない
入居者は自宅のように丁寧に住んでくれるとは限りません。
目に余る傷や汚れがあれば退去時に原状回復費を負担してもらうことも可能ですが、どうしても入居者が住んでいる間に劣化は進みます。
とくに賃貸に出したあとに再び住む予定がある場合は、心理的な抵抗が出てくるかもしれません。
まとめ
自宅マンションの賃貸化は、所有する資産を活用する有効な手段の一つです。
家賃収入をローン返済に充てながら資産価値を維持できるため、金銭面と精神面の両方にメリットがあります。
一方で他者を住まわせることにより、さまざまな責任や負担が発生する面も無視できません。
契約条件によっては金銭面のメリット以上の負荷がかかるおそれがありますので、賃貸管理会社の利用などの手段を講じて自身の負担にならない賃貸化を目指しましょう。
弊社ランドネットは、区分マンション・一棟アパートの賃貸管理を行う不動産会社です。
首都圏を中心に全国17エリアで管理受託し、空室対策や家賃滞納に対する督促にもノウハウがあります。
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