不動産経営者の平均年収は○○○○万円??儲かる理由を徹底分析
不動産経営とは、マンションやアパートなどの不動産を所有し、他人に住んでもらうことで利益を出す事業です。
不動産経営は軌道に乗ると、安定した不労所得が期待できます。
この記事では、不動産経営の種類と特徴、不動産経営を始めるときに気を付けたいポイントについてご説明します。
1.不動産経営とは?
不動産経営とは、マンションやアパートなどの不動産を所有し、他人に住んでもらうことで利益を出す事業です。
最初に不動産を購入するため、初期費用はかかりますが、不動産経営は安定した収益が期待できる投資方法です。
家賃収入を得ること(インカムゲイン)は、不動産経営のスタンダードな収入方法です。もうひとつ不動産から利益を出す方法として「安く買って高く売る」(キャピタルゲイン)がありますが、ここでは「家賃収入から利益を得ること」を不動産経営とします。
不動産所得は上昇傾向に
2011年 | 2016年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
不動産所得 | 511.7万円 | 512.1万円 | 520.8万円 | 540.0万円 | 542.7万円 |
※出典:国税庁「令和3年分申告所得税標本調査」https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/shinkokuhyohon2021/pdf/R03.pdf
国税庁によれば、2021年の平均不動産所得は「542.7万円」でした。上記のように、不動産所得は、年々、上昇傾向にあります。
不動産経営は儲かる!
(国税庁「令和3年分申告所得税標本調査」より筆者が作成)
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/shinkokuhyohon2021/pdf/R03.pdf
国税庁によると、2021年に不動産所得を得た人は約106万人です。このうち、4割近くの人が、年間所得500万円を超えています。また、11%以上、12万人以上の人の年間所得所得が1,000万円超。このことからも、不動産経営は稼げる事業であることがわかります。
不動産投資で年収が540万増える?マンション経営で稼げるリアルな平均年収を解説
2.不動産経営が儲かる理由は?
先のとおり不動産経営は、実際に儲けている人が多い事業です。儲ける仕組みには、株や為替、投資信託もありますが、不動産経営は次のような理由から、これらの資産運用以上に、安定かつ大きな利益を出しやすいと考えられます。
レバレッジ効果
レバレッジとは「てこの原理」という意味を持つ用語です。
不動産経営は、融資を得ながら少ない原資で大きな収入を得られることから、レバレッジ効果が高い資産運用だといわれています。
500万円の資産で500万円の投資商品を購入して運用する場合と、500万円を頭金に2,000万円の投資商品を購入して運用する場合では、利息負担を考えても、圧倒的に後者のほうが儲けやすくなります。
経費計上できる費用が多い
経費計上できる費用が多いという点も、不動産経営が儲かりやすい理由の1つです。
その代表的なものが、減価償却費。
減価償却とは、建物部分の価値が経年によって減価していく分を経費に計上する税制上の考え方です。
実際に出費はないものの、減価償却費を経費に計上できるため、所得を抑えることができ、節税になります。
その他の所得との損益通算も
実際の出費以外のものも経費計上できることから、実際には儲けが出ていても、帳簿上は赤字になることもあるのが不動産経営です。
赤字が出た場合は、給与などその他の所得と損益通算できることから、給与所得などに課される税金も節税できます。
このように不動産経営は節税効果も大きいため、実質的には、先ほど紹介した不動産所得以上の儲けを出している人も少ないくないものと推測されます。
3.家賃収入はすべてが自由に使えるお金ではない
不動産経営の収支は家賃から、管理費・修繕積立金、ローン返済等のランニングコストが引かれて手取りが残ります。
家賃収入から引かれる支出
建物管理費
マンションの維持・管理のための業務全般を外部管理会社へ委託した時に発生する費用です。分譲マンションでは、マンション全体の管理業務はマンション管理組合が行っているので、毎月マンション管理組合に定額の管理費を支払うことになります。
賃貸管理費
入居者が退去したときに、新たな入居者を募集したり、入居者からの家賃を回収したり、といった入居者管理業務に対して賃貸管理会社へ支払う費用です。
修繕積立金
マンションでは、大規模修繕や不測の災害に備えて修繕金の積み立てを行っています。区分マンソン投資を行う場合は、管理費同様、修繕積立金も毎月支払います。
リフォーム費
入居者の入れ替えの時に、原状回復としてリフォームを行う場合の費用です。原状回復については、入居者とオーナーの負担の範囲でトラブルになることがあるので、入居者との契約時に明確に取り決めておくことが必要となります。
修繕費
エアコンや給湯器の取り換えなどにかかる費用です。交換が必要な都度、実費がかかります。
広告費
入居者を募集するためにかかる広告費には、不動産情報サイトへの情報掲載料、情報誌・折込チラシなどへの広告出稿料などがあります。入居管理を委託している賃貸管理会社が必要に応じて代行してくれます。
税金は何に掛かる?どれくらい掛かる?
固定資産税
固定資産税は毎年1月1日時点で固定資産台帳に登録されている人に対して課税される税金となります。税額は固定資産税課税標準額の1.4%で計算することが一般的であるものの、税率は自治体によって1.4~1.6%で変動があります。
都市計画税
都市計画税は毎年1月1日時点で土地、家屋の所有者に対して課税される税金となります。税額は固定資産税課税標準額に0.3%を掛けて算出します。都市計画税と固定資産税の納税通知書は一緒に送付されますので、納期も固定資産税と同じです。
所得税・住民税
毎月得られる家賃収入に対して、所得税などが課税されます。不動産所得は、家賃収入のほか、返還しない礼金や共益費などの名目で受領するお金を含む総収入から必要経費を引いた金額になります。上記の固定資産税・都市計画税は、必要経費として認められます。
4.不動産経営の種類と年収の目安
家賃収入を得るための物件は大きく分けて次の4種類があります。
種類 | 主な建物構造 | 一般的な中古価格帯 | 特徴 |
1棟マンション |
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1億円~3億円 | 高額だが、得られる収益が大きく資産性もある |
1棟アパート |
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2,000万円~1億円 | 物件次第ではコストパフォーマンスのよい収益が期待できる |
区分マンション |
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500万円~2,000万円前後 |
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一戸建て | 木造 | 300万円~500万円前後 |
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1棟マンション
一般的に建物の構造が頑丈な鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリートでできていて、階数や部屋数が多く、購入価格も比較的高額です。
1棟アパート
一般にアパートといわれているタイプのもので、建物構造は鉄骨または木造です。低層の2階または3階建てのものが多くあります。
区分マンション
1棟マンションの1部屋のことを区分マンションといいます。
1棟マンションを購入するには多額の資金が必要となりますが、1部屋だけであれば購入価格を抑えることができるので、比較的始めやすい不動産投資の種類です。
一戸建て
一戸建てを所有し貸し出します。
戸建て投資は集合住宅(マンション)より需要は低いものの、入居者が長く住む傾向があります。融資を使わず安い中古物件を現金で購入し、リフォームするケースが多くあります。
1棟マンション・1棟アパートはその戸数によって家賃収入が変わります。SUUMOのデータによると、東京23区の家賃相場の平均は以下のようになっています。
- マンション(ワンルーム)…約7万円
- マンション(1K・1DK)…約8万円
- アパート(ワンルーム)…約6.1万円
- アパート(1K・1DK)…約7.1万円
- 一戸建て(ワンルーム)…約5.6万円
- 一戸建て(1K・1DK)…約6.6万円
- 一戸建て(1LDK)…約10.6万円
- 一戸建て(2LDK・3K・3DK)…約14.1万円
※参考:SUUMO「東京都の家賃相場情報」https://suumo.jp/chintai/soba/tokyo/
物件別!不動産経営で得られる儲けは?
先に提示した物件種別ごとの中古物件価格帯および平均家賃をもとに、税金や経費を考慮して実質利回りと平均的な収入をシミュレーションで計算してみます。
取得金額5,000万円の1棟アパート(1K・6戸)の場合
【収入】
- 家賃:2万円/年
【経費】
- 9万円/年
- 管理費委託費:9万円/年(家賃収入の10%)
- 固定資産税・都市計画税:40万円
- ローン返済額:約159万円/年(借入額4,000万円・金利0%・35年ローン)
- その他経費:20万円/年
【年間所得】
439.2万円-262.9万円=176.3万円
取得金額1,250万円のワンルームマンションの場合
【収入】
- 家賃:84万円/年
【経費】
- 69万円/年
- 管理費委託費:4万円/年(家賃収入の10%)
- 管理費・修繕積立金:12万円/年
- 固定資産税・都市計画税:5万円
- ローン返済額:約40万円/年(借入額1,000万円・金利0%・35年ローン)
- その他経費:6万円/年
【年間所得】
84万円-72万円=15万円
取得金額500万円の一戸建ての場合(現金で購入)
【収入】
- 家賃:2万円/年
【経費】
- 5万円/年
- 管理費委託費:9万円/年(家賃収入の10%)
- 固定資産税・都市計画税:10万円
- その他経費:6万円/年
【年間所得】
79.2万円-19.5万円=59.7万円
5.不動産経営は物件購入の順番が重要
自分がどんな物件を購入するか決めることが不動産経営の第一歩です。
また、物件を1戸、2戸と買い進めていく上では、物件を購入する順番も大切です。
例えば、預貯金や融資の枠をめいっぱい使って1戸目を購入してしまうと、次の物件を購入することができなくなってしまい、身動きがとれなくなってしまいます。
自分の目標や計画に合わせた物件を選び、増やしていくようにしましょう。
不動産経営のスタートは中古区分マンションがおすすめ
最初から複数の物件や高額の物件を購入することに対してハードルが高いと感じる方は、最初は小規模で不動産経営をスタートしましょう。
比較的始めやすい「中古ワンルームマンション」という手堅い物件で徐々に自信をつけていくことをおすすめします。
ワンルームマンションは部屋単体で購入できるため、多額の資金が必要なく購入できます。
また、賃貸需要も高く、空室が発生しにくいため、初心者でも安定した不動産経営を始めることができます。
不動産投資をしたい理由を明確にする
まずは自身が「なぜ不動産投資をしたいのか」を明確にしておきましょう。
他の投資と比較した上で「不動産投資で目標を達成できるか」を考え、実際に不動産投資を始めるための費用を把握するということが重要となります。
例えば、「定年時に不労所得を月に20万得る」という具体的な目標のように、不動産投資の目的は「将来の年金代わりに定期的な収入を得たい」、あるいは「副収入が欲しい」など年齢やライフステージによって異なると思います。
不動産経営の知識を身に付ける
不動産経営を始めるためには、オーナーとして物件選びなどの知識を身に付ける事も重要となります。情報を得るためには、インターネット上のコラムや本、セミナーなどが挙げられます。
セミナーは不動産会社やオーナーの生の声を聞ける点が最大のメリットで、初心者向けのセミナーやワンルームマンションに特化したセミナーなど様々なものがオンラインも含め各地で開催されています。
また、自分自身のライフプランに合った不動産投資プランをシミュレーションしてくれる不動産会社もあります。
物件探しや不動産会社の選び方、融資審査など不動産投資で身に付けておきたい知識は多いですが、効率的な情報収集としては不動産会社のセミナーがおすすめです。
不動産経営は物件購入の順番が重要です。
自分の目標や計画に合わせた物件を選び、規模を拡大していくようにしましょう。