【ワンルームマンション】自分で住むために住宅ローンで購入できる?
単身者向けワンルームマンションは、投資用と居住用の両方で需要があります。
2021年に公表された2020年の国勢調査では、核家族化が進んだことで単身世帯の割合が38.1%となりました。
また、未婚率の増加で今後も単身世帯の割合は増加すると予測されています。
しかし、ワンルームマンションは専有面積が狭いため、実は住宅ローンを利用できないケースも。
この場合、代わりに不動産投資ローンを利用して購入することは可能なのでしょうか。
本記事ではワンルームマンションについて、住宅ローンで購入しずらい理由と、不動産投資ローンで購入した場合に自分で住めない理由を解説。
他にも、ワンルームマンションを購入する際に抑えておくべきポイントもお伝えします。
1.ワンルームマンションに自分で住めないケースとは
ワンルームマンションを購入する場合、金融機関から融資を受けることがほとんどでしょう。
しかし、不動産投資ローンを利用して購入したら、自分で住むことはできません。
1)投資用ワンルームマンションに自分で住める?
投資目的で取得したワンルームマンションに、自身が居住することは原則できません。
なぜなら、投資用ワンルームマンションを購入する際は、不動産投資ローンを利用しているケースがほとんどだからです。
不動産投資ローンは、賃貸による家賃収入で返済されることを前提に融資され、オーナー自身が居住する目的で購入する物件向けのローンではありません。
したがって、不動産投資ローンを利用している間、融資対象となるワンルームマンションにオーナーが自分で住むと契約違反になる可能性があるのです。
一方、入居者が退去して空室になった場合は、オーナーが住むことができるかもしれません。
しかし、不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高く設定されています。
そのため、不動産投資ローンを組んだワンルームマンションに自分で住むのは現実的ではないでしょう。
2)不動産投資ローンから住宅ローンに切り替えはできる?
不動産投資ローンを利用していることが問題であれば、住宅ローンに切り替えることで投資用ワンルームマンションに「自分で住むことはできるのでは?」と思うでしょう。
しかし、不動産投資ローンから住宅ローンへの借り換えは簡単ではありません。
ただし、次の3つの条件を満たすことができれば、住宅ローンに切り替えられる可能性もあります。
- 住民票を移す
- 築年数が30年未満である
- 借換額が物件の評価額よりも低い
本来は、転居してからでなければ、住民票を移動させることはできません。
しかしながら、多くの金融機関では、本当に自分が住む目的の物件であるかを確かめるために、新住所の住民票の提出を求めているのが現状です。
この背景には、投資目的で取得した物件であるにもかかわらず、金利の低い住宅ローンの申請をしていないかを確認する意図があると考えられます。
また、ワンルーム投資用マンションに入居者が居住している場合は、オーナー自身が居住するからという理由で立ち退きを要求することもできません。
3)不動産投資ローンを繰り上げ返済で完済したら?
繰り上げ返済とは、毎月のローンの支払いとは別に、手持ちの資金で一部のローンを前倒しで返済することです。
繰り上げ返済を行うと、ローンの元金を減らすことができ、利息として支払う金額も減るため、最終的に支払う金額を抑えられます。
投資用ワンルームマンションに借り入れたローンを繰り上げ返済し、完済後に居住者がいない状態であれば、オーナー自身がそこに居住することは問題ありません。
2.ワンルームマンションを住宅ローンで購入できるのか?
住宅ローン申し込む際に、専有面積が問題になるケースがあります。
ワンルームマンションだけでなく、専有面積が狭い物件の場合、融資の担保として価値が低いため、住宅ローンを利用しにくい現状があるのです。
しかしながら、次の点に注意すれば、自分で住むワンルームマンションを住宅ローンを使って購入することができます。
1)フラット35を利用する
フラット35では、専有面積が30㎡以上あるマンションを対象としています。
そのため、ワンルームマンションでも30㎡以上の専有面積がある物件であれば、フラット35を利用することが可能です。
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2)20㎡以上の築浅ワンルームマンションを狙う
昨今、銀行によっては、専有面積が20㎡以上の築浅ワンルームマンションに対し、住宅ローンの利用を認めているケースが出始めています。
しかし、ワンルームマンションの住宅ローン利用を認めているケースが多いわけではありません。
築年数が古いマンションや、地方に建つワンルームマンションの場合、住宅ローンの利用は難しくなります。
その場合は、1000万円前後を目安に、自己資金で購入できるワンルームマンションを狙った方が良いでしょう。
3.ワンルームマンションを住宅ローンで購入するデメリット
ワンルームマンションを住宅ローンで購入できれば、自己資金が少なくても物件を購入できるメリットがあります。
しかしながら、住宅ローンを利用してワンルームマンションを購入する場合、次のようなデメリットもあります。
1)投資用に貸し出しはできない
住宅ローンは、本人とその家族が住むための住宅を購入する場合に利用できるローンです。
誰でも自分が住む家は守りたいという意識が働くため、住宅ローンは貸し倒れのリスクが低く、その分、金利も低く抑えられています。
住宅ローンと不動産投資ローンでは、審査基準と資金使途が異なります。
そのため、何らかの事情によって自分が住まなくなった場合でも、住宅ローン利用中に賃貸に出すことはできません。
2)減価償却などの節税ができない
不動産投資の目的でワンルームマンションを購入し、賃貸に出した場合、法定耐用年数に応じて物件購入費用を減価償却することができます。
実際には支払いが発生していない支出である減価償却費を経費計上することで、収益がプラスでも会計上は赤字できる可能性も。
その場合、給与所得と損益計算して課税所得を圧縮することで、所得税や住民税などの節税につながります。
しかし、自分で住む目的でワンルームマンションを購入した場合、減価償却をすることはできません。
3)家族が増えたら住み替えが必要
結婚せずにシングルで過ごすと決めてワンルームマンションを購入した場合でも、将来、家族が増える可能性があるかもしれません。
結婚をした場合、ワンルームマンションに2人で住むとなると狭すぎるはずです。
新たに2人で住む家を購入しようと思っても、ワンルームマンションの購入で既に住宅ローンを組んでいれば、新たに住宅ローンを組むのは難しくなります。
住み替えの必要が出てきたときに、住宅ローンが足かせになってしまうというリスクがあるのです。
4.ワンルームマンションに住む前に購入目的を考える
ワンルームマンションは、自分が住む目的で購入できますが、賃貸住宅としてのニーズも高いものです。
そのため、購入を検討する際は住宅ローン完済後や、将来自分が住まなくなった場合のことを考え、資産形成の面も意識しながら物件を選びましょう。
投資用物件を購入する場合、利回り、物件価格と周辺家賃、駅からの距離、利便性を重視することが多くなります。
一方で、自分で住むことを想定すると、生活に便利な設備が充実しているか、日当たりは良いか、外装や内装が自分好みのデザインとなっているかなど、快適な生活を送れるかどうかという視点を重視するでしょう。
自分で住むことを想定したうえで物件選びを行うと、投資を成功させるという観点からはずれてしまう可能性があります。
まずは、ワンルームマンションを購入する目的を定めることが大切なのです。
5.ローリスク・ミドルリターンのヤドカリ投資とは
ヤドカリ投資とは、ヤドカリのように生活スタイルの変化に合わせながら、住まいを変えて収益を得る投資法です。
例えば、自分が住む目的でワンルームマンションを購入した場合でも、状況が変われば広い物件への住み替えを検討することもあるでしょう。
そのような場合、住宅ローンを完済していれば、住んでいたワンルームマンションを賃貸に出して家賃収入を得たり、売却益を得ながら住み替えるのがヤドカリ投資なのです。
不動産投資ではなく、自分でマンションに住むことから、金利の低い住宅ローンを利用できる点も魅力でしょう。
自分で住むためにワンルームマンションを購入する場合、状況の変化に応じられるように、ヤドカリ投資で活用できる物件を選ぶことをおすすめします。
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まとめ
フラット35などを利用すれば、自分で住むためのワンルームマンションを住宅ローンで購入することは可能です。
しかしながら、ワンルームマンション購入後に家族が増えれば、より広い物件への引っ越しが必要になります。
そのような場合、住宅ローンの利用が足かせになってしまうこともあるでしょう。
そのため、自分で住むためのワンルームマンションを購入するのであれば、住み替えが必要になった際に売却しやすい物件やローン完済後に賃貸に出しやすい物件を選ぶことをおすすめします。