不動産投資は何年で元取れる?マンション経営がプラス収支になるまでの計算法
不動産投資で「元を取る」には何年かかるのでしょうか。
大金が必要なだけに、投資回収できる目安は把握しておきたいところです。
そこで本記事では、不動産投資で元を取るまでにかかる期間の計算方法について、ワンルームマンション投資を例に解説します。
不動産投資を始めようか検討中の人は、ぜひ参考にしてください。
1.不動産投資で「元を取る」とは?
「元を取る」という意味は、それまでに費やした金額を回収することを指します。
不動産投資の場合、収益用物件の購入金額を回収できるまでの年数を考える時に、月々の家賃収入による収益だけで計算しがちです。
しかし、元を取るということは、キャッシュフローだけでなく、売却益も含めて考えることが大切。
ローン残債、物件取得に費やした自己資金、不動産投資に係る経費を合計した額よりも、売却価格が上回れば元を取れたと考えることができます。
つまり、「売却価格≧ローンの残債+自己資金+諸経費」になれば、元を取ったことになるのです。
2.【算出方法】不動産投資で元を取るために何年かかる?
不動産投資で元を取るために、何年必要になるのかを算出する方法には、次のようなものがあります。
1)72の法則
元を取るための期間を用いる方法ではありませんが、72の法則は投資でよく用いられる法則の1つです。
資産運用において、資産が2倍になるまでにかかる年数と年利が簡単に求められます。
計算式は次のとおりです。
72÷金利(%)≒資産が2倍になる期間
例えば、利回り4%で運用した場合、資産が2倍になる期間は18年です。
ただし、72の法則で扱う金利は、複利である点に注意しましょう。
関連記事:資産家は知っている!投資で資産を倍にする72の法則とは
2)利回りで算出する方法
元を取るための大まかな期間を利回りから算出する方法もあります。
次の計算式です。
1÷実質利回り≒元を取るまでの年数
実質利回り5%だと仮定した場合、この計算式に当てはめていくと、元を取るまでの年数は1÷0.05≒20。
つまり、元を取るまでに約20年が必要になります。
しかし、利回りから算出する方法では、売却額を含めていない点に注意が必要です。
3)CCRで算出する方法
CCRとは「自己資金配当率」と呼ばれる数値で、不動産投資の効率を判断する指標の1つとして用いられるものです。
CCRを求める計算式と、CCRを使って元を取るまで何年かかるかを算出する方法は次のとおりです。
CCR(%)=年間キャッシュフロー÷自己資金額×100
元を取るまでの年数=1÷CCR
CCRが高いほど、自己資金の回収効率が良くなります。
1900万円のワンルームマンション+諸経費の物件を自己資金150万円で購入し、毎年10万円のキャッシュフローがある場合で計算すると、軍資金の元を取るまでの年数は約15年。
CCRに換算すると、年間6.6%(10万÷150万)で回収できる投資と考えることができるでしょう。
しかし、CCRを使って算出する方法も、売却額を含めていない点に注意しなければなりません。
関連記事:投資効率を示すROIとCCRとは?計算方法と投資・不動産投資への活かし方
4)IRRで算出する方法
IRRとは「内部収益率」と呼ばれ、時間の価値も考慮に入れたうえで、将来的にどれだけ効率的にリターンが得られるかを指す数値です。
つまり、売却額まで含めた全期間の利回りを示す指標となります。
IRRがプラスになれば、売却を含めて元を取れているということです。
IRRの計算式は複雑な計算式で表されますが、エクセルの機能を使うと簡単に算出できます。
3.収支計算で知っておくべき【インカムゲイン】と【キャピタルゲイン】とは?
不動産投資で元を取れるかを考える際、月々のキャッシュフローだけでなく、売却益も考慮する必要があると解説しました。
次は、収支計算の際に必要な「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」について確認していきましょう。
1)【インカムゲイン】いわゆる家賃収入は利回りがポイント
インカムゲインとは、資産を保有していることで得られる利益のことです。
不動産投資の場合、投資対象となる不動産から得られる家賃収入がインカムゲインに該当します。
しかし、ここで注意しなければならないのは、インカムゲインは家賃収入で得られる売上ではなく、利益だという点です。
管理委託料や修繕費などのコストがかかるため、家賃収入がそのままインカムゲインになるわけではありません。
つまり、インカムゲインとは、家賃収入から必要経費を差し引いた利益を指します。
投資家の中には、インカムゲインだけで元を取れるようにしたいと考える人もいるでしょう。
インカムゲインだけで元を取ろうとする場合、利回りを計算して、投資回収までの運用年数を把握することが大切です。
インカムゲインのメリットは、長期に渡って月々の家賃収入を得られる点。
保有しているだけで定期的に安定した収入を得ることができ、インカムゲインだけで元が取れれば、売却のタイミングに悩む必要もありません。
2)【キャピタルゲイン】いわゆる売却益は、所有期間5年目以降が狙い目
キャピタルゲインとは、資産を売却したことで得られる利益です。
不動産投資の場合、物件売却によって得られる売却益がキャピタルゲインに該当します。
キャピタルゲインを重視した投資を行うのであれば、所有してから5年目以降が売却のタイミング。
なぜなら、所有期間5年を超えて売却することで、売却益に課せられる譲渡所得税の税率が下がるからです。
納税額によって売却益が変わるため、キャピタルゲインを最大化するためには最低5年間は運用することが重要になります。
3)譲渡所得とは?
譲渡所得とは、土地や建物、株式などの資産を譲渡することで生じる所得です。
譲渡所得を得た場合、譲渡所得税を支払う必要があります。
譲渡所得税の税率は、物件の所有期間によって大きく変わるのです。
物件を5年未満で売却した場合、納税すべき譲渡所得税の税率は約30%。
しかし、5年経過後に売却した場合の税率は約15%と下がります。
したがって、物件を売却する際は、最低5年以上保有することで納税額が縮小され、キャピタルゲインを最大化することが可能なのです。
不動産投資では、譲渡所得税を考慮したうえで、売却のタイミングを検討しましょう。
4.ワンルームマンション投資は約10年で元が取れる
IRRを使い、ワンルームマンション投資が何年で元が取れるのかの計算をしてみましょう。
取得価格1900万円のマンションを購入し、1700万円で売却する場合
計算を簡略化するために、ローン返済額や諸経費を差し引いた毎年のキャッシュフローを10万円と想定します。
IRRを使った計算では、IRRがプラスになれば元を取れていると判別することができ、マイナスであれば元が取れていない状態です。
以上の条件でエクセルを使い、シミュレーションをした結果が以下になります。
9年目に売却した場合、IRRが-1%となり、わずかですがマイナスになっています。
一方、10年目に売却した場合はIRRが0%となり、元を取ることができたと考えることができます。
この結果から、ワンルーム投資で元を取るまでにかかる年数は約10年であることが分かりました。
まとめ
不動産投資で元を取る年数を計算する際は、キャッシュフローだけで考えるのではなく、売却額まで含めた計算をすることが大切です。
売却まで含めて考えた場合、不動産投資で元を取るまでの年数は、10年程度が目安になると言われています。
IRRを使用した計算では、売却額を含めることができ、出口を見据えたシミュレーションが可能です。
不動産投資を始める際に、ぜひご参考ください。