不動産情報が丸裸!登記簿謄本の見方

不動産投資を始めると、登記簿謄本を目にする機会が必ず出てきます。
普段なかなか見る機会のないものなので、いざと言う時に見方を知らないと、何が書いてあるのか全くわからないまま契約してしまった、などという事になりかねません。
もしかしたら、重大な情報を見落としたまま契約してしまう可能性もあるのです。
そこで今回は、登記簿謄本にはどのような情報が載っているのか、見方や登記事項証明書を取得する方法などを解説していきたいと思います。
1.登記簿謄本の見方
登記簿謄本は、土地や建物の状況や権利関係が記載されたものです。
電子データ化して保存するようになってからは、登記事項証明書とも呼ばれるようになりました。
登記簿謄本は、表題部と権利部で構成されています。
1)登記簿謄本の表題部の見方
土地の場合
・不動産番号
不動産を識別するための番号です。
一物件ごとにつけます。
・調整
コンピュータ様式以前からある登記を、コンピュータ様式に移記した年月日です。
はじめからコンピュータ様式で登記されている場合は「余白」と表示されます。
・地図番号
その土地についての地図が整備されている場合、地図番号が記載されます。
・筆界特定
その土地に筆界特定の申し出があり、筆界が特定された場合、その旨が記載されます。
筆界とは、隣地との境界のことです。
・所在
土地のある場所です。都道府県名は書きませんが、市区町村、郡、丁目、字まで記載されています。
・地番
不動産登記で土地に与えられた番号であり、何番地の何、と書かれています。
・地目
土地の用途のことです。
宅地、畑、山林など、全23種類あります。
ただし、土地の現在の状況が地目に記された通りではない場合もあります。
・地積
土地の面積です。何㎡か記載されています。
・原因及びその日付(登記の日付)
登記がなされた理由と、その日付が年月日まで記載されます。
例えば、相続、分筆、新築などが理由となります。
また、日付は登記を申請した日ではなく、登記官が登記を完了した日です。
建物の場合
・不動産番号
不動産を識別するための番号です。
・地図番号
建物所在図の番号が記載されます。
しかし、建物所在図が作成されていないことが多く、その場合は「余白」と表示されます。
・所在
建物のある場所です。市町村、郡、字および地番までを所在とするので、「◯番地◯」まで記載されます。
・家屋番号
家屋を特定するため、建物ごとに付けられている番号です。
普通、建物敷地の地番と同じ番号になりますが、同土地内に複数の建物がある場合、7番1の1、7番1の2など、枝番を付け区別します。
・種類
建物の用途を記載します。
例えば、居宅、共同住宅、店舗等です。
用途が複数ある場合は、床面積が大きい用途から先に記載します。
・構造
木造、鉄筋など、建物が何で建築されているかや、屋根の形状、何階建てかも記載されます。
・面積
各階ごとの床面積が㎡(小数点第2位まで)で記載されます。
・建物の名称(ある場合)
○○マンション、○○アパートのように、建物名が記載されています。
・登記原因とその日付け
登記がなされた理由と、その日付が年月日まで記載されます。
建物の新築年月日や、増築の場合も記載されています。
新築年月日の記載がない際は、該当建物の閉鎖謄本を取得します。
・所有者
建物の表題登記を申請した人の氏名が記載されます。
所有者に記載された人が、表題登記完了後に所有権保存登記申請の権利を有する者になります。
所有権保存登記により、表題部所有者は抹消されます。
2)登記簿謄本の権利部の見方
権利部は、甲区と乙区に分かれていて、甲区には所有権に関する事項、乙区には所有権以外の権利が記載されています。
甲区
・順位番号
登記の順位番号が記載されています。
・登記の目的
登記の目的を記載しています。
例えば、売買による所有権移転などです。
・受付年月日・受付番号
登記申請を法務局が受け付けた日付と、受付番号です。
・権利者その他の事項
所有者の住所氏名が記載されます。
また、売買、贈与、相続など、所有権が移転した理由と日付も一緒に記載されます。
共有の場合、各人の持ち分が表示されることになります。
乙区
地上権、質権、抵当権、根抵当権、賃借権、永小作権、地役権、先取特権、採石権に関する事項
・順位番号
抵当権などの債権回収の際は、順位番号が早い方が優位です。
抵当権は、物件を購入する際に住宅ローンなどを借りる時、銀行が土地や建物に設定する権利のことです。
万一、ローンを払いきれなくなった場合は、銀行が土地や建物を差し押さえ、競売にかけることになります。
・登記の目的
抵当権など、登記の目的が記載されています。
・受付年月日
登記申請を法務局が受け付けた日付と、受付番号です。
・権利者その他の事項
例えば、抵当権が設定されていたとしたら、その内容や、抵当権を設定することになった理由と日付などが記載されています。
2.権利部甲区に仮登記の記載があった場合
重要事項説明書には、「登記簿に記載された事項」という項目があります。
これは、登記事項証明書をそのまま写して記入することになっています。
不動産を購入すると必ず重要事項説明書が発行されます。
その時に登記簿謄本の見方を知っていれば、その物件に関する情報がより詳しく分かるでしょう。
特に抑えておきたいのが、権利部甲区の登記の記載です。
甲区に仮登記の記載があった場合、その物件の購入は避けた方が賢明です。
仮登記とは
登記のための書類が揃わない場合や、将来の請求権を保全するために行う登記のこと。
「購入したい不動産を仮で押さえる」ために登記する、とイメージするのが良いでしょう。
なぜ仮登記の物件は避けた方が良いのでしょうか。
それは、例えその物件を購入して本登記したとしても、仮登記している人の条件がそろってしまえば、その人の物件になってしまうからです。
仮登記は、その後になされた他の本登記よりも優先されるのです。
せっかく購入した物件が、他人のものになる可能性があるので、仮登記の記載があるかどうかは必ず確認しましょう。
3.登記事項証明書の取得方法
登記事項証明書の取得方法は主に3つあります。
1)法務局の窓口で取得する
対象不動産の場所に関わらず、どの法務局の窓口でも取得できます。
一通あたり600円の手数料がかかります。
2)法務局のホームページから取得する
登記事項証明書は、オンラインでも取得できます。
その場合、法務局のホームページで交付の請求をし、窓口で受け取るか郵送で受け取るかを選べます。
郵送の場合、手数料は500円、窓口で受け取る場合480円となります。
オンラインの方が多少お得です。
3)登記情報提供サービスを利用する
インターネットで、登記情報提供サービスにアクセスしてオンラインで申請し、PDFファイルで登記情報を受け取るシステムです。
支払いはクレジットカードのみとなります。
手数料は一通につき334円かかります。
コロナ禍で外に出るのは気が進まない方もいらっしゃるでしょう。
オンラインで取得出来るのは有難いですね。
まとめ
土地も建物も、見ただけでは誰の所有物なのか、そしてどんな権利が設定されているのかはわかりません。
誰に所有権があるのかを確認するために、登記事項証明書はとても役立ちます。
登記事項証明書の見方を覚えておくと、投資用物件の購入時に役立つことでしょう。