不動産投資で年収が540万増える？マンション経営で稼げるリアルな平均年収を解説

1.不動産投資で得ている年収は平均540万円？

国税庁が公表している「申告所得税標本調査結果」によると、令和2年分における申告納税者1人当たりの平均所得金額は、不動産所得者の場合、540万円となっています。

不動産所得を得ている人の中には、アパートやマンションを1棟経営している人も含まれており、区分マンションの投資家だけに限った話ではありません。

不動産所得には、土地を貸すことで得られた所得や駐車場の運営などで入る賃料、所有する土地や建物の上などに設置した看板の使用料なども含まれます。

似ている言葉ですが、収入と所得は異なるものです。

マンション経営の場合、収入は家賃や礼金、更新料などであり、収入から必要経費を差し引いた額が所得となります。

ローンの返済額や固定資産税などの税金、マンションの管理費用、修繕積立金、賃貸管理会社へ支払う管理料などを経費として収入から差し引いたものが所得であり、所得とは儲けの額であるとも言うことができます。

不動産の年間所得が540万円の場合、家賃などの収入から経費を差し引いた額であるため、実際の年収はもっと高くなるでしょう。

2.東京都心のワンルーム投資8戸で増える年収額は？

課税対象となる不動産所得を得ている人の平均的な不動産所得額は540万円でした。

しかし、これには区分マンション経営をしている人の所得だけではなく、アパート経営など規模の大きな不動産経営や駐車場の経営による所得も含まれていることをご説明しました。

では、区分マンション経営で年収を540万円アップさせることはできるのでしょうか。

東京都心で中古のワンルームマンション投資を行う場合を例に検証していきます。

1)利回り4％の区分マンション1戸を経営する場合の年収

東京都心部における中古のワンルームマンションの平均販売価格は1,700万円だと言われています。

平均利回りを4％と仮定した場合、1部屋当たりの年間収入は1,700万円×0.04で計算でき、年間収入額は68万円となります。

先ほどご紹介したように、不動産所得の平均所得金額は540万円であり、ワンルームマンション1戸では遠く及ばないことが分かります。

2)区分マンション経営なら何戸経営すると年収540万円アップにつながる？

1部屋当たり年収68万円の収入を得られると仮定した場合、540万円の年収を得るためには何戸の区分マンション経営が必要になるのでしょうか。

この答えは、540万円を68万円で割ることで求めることができます。

540万÷68万＝7.94となり、540万円の年収を得るためには、およそ8戸の区分ワンルームマンションを経営する必要があります。

しかし、ここで問題が生じます。

都心の平均価格である1,700万円のワンルームマンションを8戸購入するためには、1,700万円×8＝1億3,600万円の資金が必要になるのです。

自己資金だけで1億3,600万円を準備できれば不動産投資ローンを利用する必要はありませんが、自己資金が用意できなければこの額を金融機関から借入れなければなりません。

3)金融機関から1億3,600万円の融資を受けるためには

不動産投資を始めるにあたり、金融機関から必要な額の融資を受けるためには、物件自体の収益性はもちろんですが、投資家本人の本業による年収も審査の対象となります。

金融機関としても、投資家の返済能力を見極め、返済が可能だと判断できる場合でなければ融資を行いません。

不動産投資ローンを利用できるかどうかの基準となる年収は700万円程度だと言われています。

金融機関によって基準は異なりますが、不動産投資で受けられる融資は年収の10倍程度が限度だとされています。

1億3600万円もの融資を受けるためには、本業において1300万円以上の年収を得ていることが条件の1つになるのです。（ただし、不動産投資で十分な実績を上げている場合は、その経験が評価され、融資も通りやすくなります。）

4)区分マンション経営で得られる平均年収とは

区分マンション経営で得られる平均年収は、東京都心の場合で68万円程度だと言えるでしょう。

1戸の区分ワンルームマンションの経営では、年収540万円を目指すことはできません。

不動産投資による年収540万円は、アパート経営を行っている人の所得も含まれます。

アパート経営では戸数が多いためにまとまった額の家賃が入ります。

所有する土地を活用しているケースや相続によってアパート経営を行っているケースなどもあり、銀行からの借入額が少ないケースもあります。

したがって、アパート経営の収入も含めた不動産所得の平均額は、区分マンション経営の平均額と捉える必要はありません。

3.マンション経営で年収をアップさせるために

区分マンションの経営で540万円の所得を得るには、ワンルームマンションを8戸運用する必要があります。

しかし、8戸分のワンルームマンションを取得するには1億3000万円を超える融資が必要となり、区分マンション経営で年収540万円を目指すのはあまり現実的ではないでしょう。

区分マンション経営で年収をアップするには次のような方法が考えられます。

まずはマンション経営で月15万円以上の不労所得を目指してみては？

区分マンション投資をしている人が、マンション経営で得ている平均年収として発表されている公のデータはありません。

しかし、東京都心の中古ワンルームマンション経営で得られる年収は68万円程度だと推計できます。

区分マンション経営で年収の目標を立てる場合には、まずは月々15万円、年収にして180万円程度を稼ぐことを1つの目標としてみることをおすすめします。

マンション経営で年収180万円を稼ぐためには、1,700万円のワンルームマンションなら3戸、賃料8万円の築浅物件なら2戸、格安ワンルームマンションなら複数戸を運営する方法があります。

いずれも年収180万円を目指せる投資法であり、どの方法が自分に向いた投資法であるかを検討してみてはいかがでしょうか。