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ホームインスペクションとは?中古住宅を購入するときに知っておきたいポイント

執筆者:椙原 あやめ 椙原 あやめ

ホームインスペクション(住宅診断)とは、建築や住宅の専門知識を持ったホームインスペクター(住宅診断士)が、買主側にも売主側にも寄らない中立の立場で、主に中古住宅の劣化状況や設備機器等の不具合を調査する住宅診断サービスです。

インスペクションという言葉は「検査」「調査」などの意味を持ちますが、中古住宅の売買契約における住宅診断をわかりやすく表現するために「ホームインスペクション」と呼ばれるようになりました。

この記事では、ホームインスペクション(住宅診断)の具体的なサービス内容、ホームインスペクションを依頼して得られる効果や費用の相場について解説します。

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1.ホームインスペクション(住宅診断)とは?

ホームインスペクションとは

主に中古一戸建住宅や中古マンションの買主が利用する住宅診断サービスのこと。

米国では、不動産取引前のホームインスペクションが一般的になっており、日本でも徐々に普及しつつあります。

1)ホームインスペクションの目的と調査項目

ホームインスペクションは、住宅の外部と内部を点検し、建物の劣化状況設備機器等の不具合の調査を目的に行われます。

 

ホームインスペクションを依頼する主な理由は、中古住宅のコンディションを把握して、安心して契約するため。

購入予定の中古住宅に重大な欠陥がないか、また建物の現状を把握しリフォームがどの程度必要か把握する目的で依頼する人もいます。

 

ホームインスペクションの主な調査項目は、下図の通り。

戸建住宅においては、目視だけでなく打診や触診、計測も行われています。

戸建住宅の主な検査対象部位と検査方法

画像出典:既存住宅インスペクション・ガイドライン平成25年6月|国土交通省

 

共同住宅の主な検査対象部位と検査方法

 

画像出典:既存住宅インスペクション・ガイドライン平成25年6月|国土交通省

 

2)「契約不適合責任」で守られているからホームインスペクションは不要?

不動産の売買契約においては、引き渡された物件に欠陥や不具合があった際、売主が買主に対して責任を負う「契約不適合責任」があります。

2020年4月に法改正されるまでは「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」といわれていました。

 

「買主は契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)で守られているからホームインスペクションはしなくても大丈夫」と言う人もいます。

しかしながら、契約不適合責任というのはあくまで契約書に書かれている内容と相違がある場合に限り、買主が売主に対して5つの権利(追完請求、代金減額請求、催告解除、無催告解除、損害賠償請求)を請求できるというものです。

 

契約不適合責任の期間は、売主が不動産業者以外の中古住宅は引き渡しから3ヶ月以内、売主が不動産業者の場合は2年であることが多く、期間を過ぎてから欠陥や不具合が見つかることもあります。

 

よって、長期的な安心のため、そして自分たちでは見つけられない欠陥や不備の有無を把握するために、ホームインスペクションの利用を検討してみるのも良いでしょう。

3)ホームインスペクションの最大のメリットは欠陥住宅購入のリスク低減

ホームインスペクションの一番のメリットは、不動産売買契約前に住宅診断をすることで、欠陥住宅を買わずに済むという点です。

 

また、中古住宅購入前に、中古住宅の建物や設備の状態が把握できるため、メンテナンスすべき箇所もわかり、リフォーム計画が立てやすくなることもメリットといえるでしょう。

2.ホームインスペクション義務化の内容とは

2018年に宅地建物取引業法が一部改正され、既存住宅のインスペクションに関する事項が追加されました。

義務化の対象は「中古住宅」のみで新築住宅には当てはまりません。

 

不動産業者が中古住宅の売主・買主に対して義務化された内容は、以下の通りです。

ホームインスペクション義務化の内容

・ホームインスペクションの説明を行う

・ホームインスペクション業者の斡旋を希望するか意思確認する

・売主・買主が業者の斡旋を希望するなら、事業者の情報提供を行う

ホームインスペクションの「説明」の義務化や、業者の斡旋を希望するかどうか、希望するなら情報提供をすることが義務付けされました。

 

不動産会社の義務はインスペクションの「説明」や「情報提供」であり、実施を促すことではありません。

ホームインスペクションを実施するかどうかは任意であることを覚えておきましょう。

3.ホームインスペクションを依頼するタイミング

ホームインスペクションを依頼するなら、不動産売買契約前がベストです。

それは、調査結果で中古住宅に重大な欠陥や不良が見つかれば、売買契約をしないという判断もできるからです。

 

不動産売買契約後もホームインスペクション自体は可能です。

しかし、契約後に見つかった欠陥や不良を理由に売買契約解除をすることは難しいといえるでしょう。

契約不適合責任の範囲内であれば、売主と交渉して欠陥箇所を修繕してもらった後に居住することは可能ですが、引き渡し日が遅れ、入居スケジュールにも影響する場合があります。

 

よって、ホームインスペクションを依頼するなら、売買契約前をおすすめします。

4.ホームインスペクションの費用相場を中古戸建と中古マンション別に紹介

ホームインスペクションの費用相場は、サービス提供事業者によって異なります。

 

目安としては、目視確認のみだと5~8万円程度、床下や屋根裏に調査員が入って検査する場合はコストが上がり10~12万円程度と考えておくとよいでしょう。

中古マンション

(基本的に目視調査のみ)

5~8万円程度
中古戸建住宅

(床下や屋根裏調査も含めた場合)

10~12万円程度

 

5.ホームインスペクションは新築住宅でも必要?

ホームインスペクションは、中古住宅の売買で利用されることが多いサービスです。

 

「新築でもホームインスペクションは必要では?」とお悩みの方を見かけますが、新築住宅は、もともと10年保証があります。

柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分など基礎構造部分について、引き渡し後10年以内に瑕疵が見つかった場合は、売主の無償補修が義務づけられています。

※参考:住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)|国土交通省

新築では、ホームインスペクションの費用対効果を十分に発揮できない可能性もあるといえるでしょう。

 

とはいえ、ホームインスペクションを利用するかどうかはご本人の意思次第です。

・10年保証の対象外である基礎構造部分以外もしっかりチェックしたい

・施工ミスや欠陥住宅になってしまうことが不安

・「安心」を買いたい

このような不安や希望がある方は、サービス内容やコストを確認し、利用を検討されることをおすすめします。

ホームインスペクションで不動産購入に「安心」を

不動産を選ぶ際には「将来的に資産価値が維持できるかどうか」という視点を持つことも大切です。

資産価値は「立地がすべて」とお考えの方も多いことと思います。

しかし、中古住宅の流通がさらに活性化すると考えられるこれからの時代は、住宅の「性能」や「状態」が資産価値に大きな影響を与えるようになると推測されます。

 

住まいにおいても多様性が求められるこれからの時代を見越し、5年後の10年後……の「安心」と「リセールバリュー」をホームインスペクションで見極めることも、賢い不動産購入のひとつなのかもしれません。

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