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再建築不可物件の救済措置とは?建て替えできる方法を解説

執筆者:椙原 あやめ 椙原 あやめ

建物を取り壊してしまうと新たに建築等ができない「再建築不可物件」は、建て替えができない代わりに周辺地域と比較して安価で取引されます。

再建築不可物件の多くは“接道義務”を満たしていないため、一度建物を取り壊したら、新しく建築することはできません。

ただし、接道義務を満たさない敷地にも、一定の救済措置があります。この記事では再建築不可物件の建て替えを可能とする方法を解説します。

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1.「再建築不可物件」とは?具体的に解説

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは「敷地が現在の建築基準法の規定を満たさないため、再建築(新築や改築、増築、移転)ができない物件」のこと。

なぜ、このような建物があるのでしょうか?

 

昭和25年の建築基準法施行時や都市計画区域の指定を受ける際にすでに存在していた道、建っていた住宅などは、建築当時は問題ありませんでした。

ただ、幾度の法改正などを経て、中には現行の建築基準法には不適合になってしまった土地・建物が生まれてしまったのです。

 

このような「再建築不可物件」は、リフォームはできても、建て替えや増築などができません。

現在建っている再建築不可物件は古い住宅が多く、建て替えができない敷地ということもあり、不動産評価も低くなりがちです。

 

では「再建築不可物件」とはどのようなものか、具体的に見ていきましょう。

(A)敷地が道路に接する間口が2m未満

敷地が路地状部分を介して道路に接している敷地を「旗竿地」と呼びます。

 

細長い「路地状部分」は道路に接する部分だけでなく、すべてが幅員2m以上なくてはなりません。

路地状部分の幅員が2m未満の場合は再建築不可です。

(B)敷地が建築基準法上の道路に接していない

舗装されていて道路に見えるものでも、建築基準法上の道路ではないものがあります。

このように、建築基準法上の道路ではない道にしか接していない場合、接道義務を果たせません。

(C)そもそも敷地が道路に接していない

見た目は建築基準法上の道路に接しているように見えても、実際は道路に接していない敷地もありますので注意が必要です。

2.再建築不可物件の救済措置とは?3つの対応で建て替えが可能に

再建築不可物件は、法律で定められた交通上、安全上、防火上及び衛生上の基準をクリアできれば再建築できる可能性があります。

 

再建築不可物件の救済措置は「道路の位置指定を申請する」「隣接地を借地・購入して接道義務を果たす」「43条但し書き申請する」の3つです。

1)道路の位置指定を申請する

再建築不可物件は、接道義務を満たさないものがほとんどです。

接道義務を満たすためには、建築基準法上の道路(幅員4m以上)に2m以上接していなくてはなりません。

 

建築基準法上の「道路」の中には、特定行政庁から「道路として認める」と指定を受ける「位置指定道路」があります。

接道が2m以下であっても、所有する土地を位置指定道路として認めてもらえれば再建築が可能です。

 

建築基準法上の道路
42条1項1号道路 いわゆる公道で幅員が4m以上のもの

(公道でも道路幅員4m未満の場合は、建築基準法上の道路ではありません)

42条1項2号道路 都市計画法や土地区画整理法などによって作られた幅員4m以上の道路
42条1項3号道路 建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に幅員4m以上あった道路
42条1項4号道路 道路法や都市計画法等によらないで築造する道で、その位置の指定を受けた幅員4m以上のもの
42条1項5号道路

(位置指定道路)

土地所有者等が築造する道で、特定行政庁からその位置の指定を受けた幅員4m以上の道路。

「位置指定道路」とも呼ばれる。

42条2項道路 建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に、その道に沿って、建築物が建ち並んでいた幅員1.8m以上4m未満の道路。
建築基準法上の道路ではないが接道として認められる道
43条1項但し書き道路

(協定道路)

建築基準法42条に定める道路には該当しないものの、法43条第1項ただし書の適用を受けたことがある建築物の敷地が接する道。

「協定道路」や「但し書き道路」などとも呼ばれる。

 

参考記事:位置指定道路って何?私道なの?確認方法から固定資産税まで解説

2)隣接地を借地・購入して接道義務を満たす

敷地に面する前面道路が「建築基準法上の道路」であることを確認し、接道部分(間口)が2m未満だった場合は、幅員2m以上にすることで再建築できます。

 

接道部分(図上グレーの路地状部分)の幅員が2m以上になるようにするには、「土地を借りる」または「土地を購入する」方法があります。

 

  • 隣接地の土地所有者と交渉し、一部土地を賃貸借する
  • 隣接地の土地所有者と交渉し、隣接地を分筆してもらい土地を購入する

3)43条但し書き申請する

接道義務を満たしておらず、隣接地の賃貸借や購入が難しい場合は、43条但し書き申請をして認められれば再建築可能になります。

 

43条但し書き道路とは、接道義務を満たさないため本来であれば再建築ができませんが、建築審査会の許可を受けることで建築が認められる道のこと。

次の3つの条件を全て満たせば、43条但し書き道路に接道する物件として再建築が可能です。

43条但し書き道路になる条件

①その敷地の周囲に広い空地を有しており、

②特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて、

③建築審査会の同意を得て許可したもの

※参考:建築基準法第43条第2項第2号

43条但し書き申請で許可されれば、不動産を割安で購入できる上に、建て替えを行い資産価値をあげることができます。

ただし、不動産を安く取得できるメリットがある一方で、「売れにくい」「将来的に再度の建て替えが認められないかもしれない」といったリスクもあります。

 

43条但し書き道路については、下記の記事で詳しくご紹介しています。

参考記事:43条但し書き道路とは?リスクを正しく理解し不動産購入は慎重に

再建築不可物件を活用して不動産投資を

再建築不可物件は、3つの救済措置によって再建築できる可能性があることをご説明しました。

再建築不可物件の救済措置には、多くの交渉や手続きが必要なため、誰にでもおすすめできるわけではありません。

 

しかし、救済措置が認められ新たに建築できれば、不動産価値の向上・不動産投資に期待できます。

法令遵守の観点からも、再建築不可物件の購入は専門家に相談することをおすすめします。

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