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「囲い込み」の意味を知らずに不動産売買は危険!?カモにされない対策法とは

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

不動産業界では、顧客の「囲い込み」が横行しています。
囲い込みをされてしまうと、不動産を売却しようと思っている売主の方は、大きな損失を被ることがあります。

今回は、囲い込みとその対策方法について詳しく解説していきたいと思います。

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1.囲い込みとは

囲い込みについて理解しやすいよう、まずは媒介契約について説明します。

1)媒介契約

マンションなどの不動産を売却したい場合、多くの方は不動産会社に売却を依頼するでしょう。

その際、不動産会社と結ぶ契約が媒介契約です。

媒介契約を結べば、不動産会社は売主に代わって買い手を探し、売買のための交渉も行ってくれます。

媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の三種類ありますが、それぞれの特徴を簡単にみていきましょう。

2)専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、一社にのみ売却の仲介を依頼する契約で、依頼者は自分自身で買主を見つけることができません。

よって、一社に全てを任せる契約とも言えるでしょう。

3)専任媒介契約

専任媒介契約も、一社にのみ売却の仲介を依頼する契約ですが、依頼者は自分自身で買主を見つけることも可能です。

この点が、専属専任媒介契約と専任媒介契約の違いです。

4)一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の業者に売却の仲介を依頼することが出来ます。

また、依頼者は自分自身で買主を見つけることも可能です。

5)囲い込みとは

囲い込みとは、売却の仲介を依頼された物件を意図して他社に紹介せず、自社でその物件を買う人を見つけ、売却も購入も自社でのみ成約させようとすることです。

通常であれば、専属専任媒介契約、もしくは専任媒介契約を結んだ不動産会社は、「レインズ」(Real Estate Information Network Systemの略)という、不動産業者向けの物件情報の共有を目的とした、ネット上のデータベースに物件を登録する義務があります。

 

しかし、レインズに登録をしなかったり、登録してもすぐに削除をしたり、問い合わせの連絡が来ても「その物件は申し込みがあった」などと嘘をついたりして、他社に物件を売却しないようにするのです。

いうならば売主は、依頼をした会社に囲い込まれたことになります。

 

媒介契約の詳細は、【不動産会社と結ぶ「媒介契約」の種類を徹底解説。どの媒介契約を選ぶべき?】をご確認ください。

2.囲い込みをする理由

他社からも買主を見つけたほうが早く売却できて利益にもなるのに、なぜ囲い込みをするのでしょうか。

その理由は、仲介手数料にあります。

 

もし、自社で買主を見つけた場合、売主と買主、両方から仲介手数料を貰うことができます。

しかし、レインズを見た他社から買主を紹介されて売買が成立した場合、売主からしか仲介手数料を貰うことができないのです。

前者を「両手仲介(両手取引)」、後者を「片手仲介(片手取引)」といいますが、どちらがより自社の利益になるのかを考えると、あきらかに両手仲介であり、そのために囲い込みを行います。

 

両手仲介・片手仲介の詳細は【両手仲介は違法!?片手仲介との違いも解説】をご確認ください。

3.囲い込みされたらどうなる?

囲い込みをされると、ほとんどといっていいほど他社に物件の情報が流れないため、買い手が見つかりにくくなり、売却まで時間がかかります。

それだけならまだしも、囲い込みをしている不動産会社は、「なかなか売れないので値下げをしましょう」などと提案してきます。

値下げをして買主を見つけたとしても、会社側は両手仲介となり、売主、買主の両方から仲介手数料を貰えるため、囲い込みをせずに片手仲介になってしまった場合と比べても十分な利益を得られます。

つまり、売却まで時間がかかろうが、値下げをしようが、損をするのは売主だけ、ということなのです。

4.囲い込みされているかどうか知る方法はある?

不動産会社がレインズに物件を登録すると、「登録証明書」が発行されるので必ずもらいましょう。

証明書があれば、登録されている証拠となります。

さらに、登録証明書に記載されている登録内容確認のURLにアクセスしてIDとパスワードを入力すれば、不動産会社ではなくとも自分の物件の取引状態を確認することが出来ます。

登録証明書を渡したあと、すぐにレインズから物件を削除する悪質な業者もあるので、レインズに掲載されているかを定期的にチェックするようにしましょう。

 

もし見られなくなっていたり、一件も紹介がないのにも関わらず、取引状況の項目が「申し込みあり」や、「紹介停止中」になっていたりする場合、囲い込みをされている可能性はきわめて高いです。

5.囲い込みされた場合の対策とは?

囲い込みに気が付いた場合、その証拠があれば契約を解除することが可能です。

しかし、「絶対に囲い込みをされている」ことを断言できる証拠を得るのは困難であり、囲い込みを指摘しても、不動産会社側は上手い言い訳をして認めないでしょう。

 

方法があるとすれば、専属専任媒介契約も専任媒介契約も、契約期間は最長3カ月なので、それを待って契約を解除し、別の不動産会社と媒介契約を結ぶことです。

その際は、一般媒介契約も検討するとよいでしょう。

6.囲い込みを事前に防ぐには

上記のように、囲い込みに気が付いてから対策をしようとしても、非常に難しいです。

ですから、媒介契約を結ぶ前にできることをするべきでしょう。

まずは、信頼できる不動産会社を見つけることです。

インターネットで口コミや評判を調べたり、実際に数社に足を運び、相談をした時の対応を見たりして、売却を依頼する不動産会社を慎重に選びましょう。

 

相談する際、「両手仲介にこだわらずに探してくれますか?」と聞いてみるのもいいかもしれません。

普通の会社であれば、本心はどうかわかりませんが、「こだらない」という返事をくれるでしょう。

本心でないなら意味がないと思うかもしれませんが、「囲い込み」について知っているというアピールになります。

7.囲い込みに罰則はあるか

ここまでの説明で、囲い込みという行為の悪質さについて十分におわかりいただけたと思いますが、囲い込みを行った不動産会社に罰則はないのでしょうか。

囲い込みは違法ではあるものの、前述したように、決定的な証拠を掴むのが困難であり、なかなか立証できません。

 

ただ、専属専任媒介契約と専任媒介契約には、レインズへの登録義務があるので、登録していないことがわかった場合は宅建業法違反となりますので、レインズや国土交通省へ通報してみる意味はあると思います。

レインズは、近年、囲い込み対策に力を入れていますし、もし宅建業法違反が認められれば、罰則が与えられるからです。

しかし、立証が難しいため囲い込み行為に罰則が与えられた事例は多いとは言えず、未だに不動産売買においてその行為が横行していると言わざるを得ないのが現状です。

まとめ

囲い込みとは、自社で買主を見つけて両手仲介をするために、売主の物件を他社に公開しない行為であり、そのために買主が見つかりにくかったり、値下げを余儀なくされたり、売主に大きな損害を与えます。

しかし、囲い込みをされていることに気が付くのは難しく、気が付くことが出来たとしても三か月の契約期間が終了するのを待つより方法がないため、事前に信頼できる不動産会社を探して依頼するのが一番です。

もし囲い込みが気になるようであれば、一般媒介契約での売却も視野に入れてみてはどうでしょうか。

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