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タワーマンションの未来。今後のタワーマンションとの向き合い方

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

マイホームとして人気が定着しつつあるタワーマンション。

2007年頃から供給が加速し、都内では港区、江東区など臨海エリアを中心にどんどん増えています。

最近では一戸建てより眺めも立地もいいタワーマンションの方を好む傾向すらありますが、一方でタワーマンションの未来を楽観視できないとみる動きも出てきているようです。

そこで本記事では、タワーマンションの問題点と今後の将来性について詳しく解説します。

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1.タワーマンション建設に歯止めか―神戸の例

都市部を中心にタワーマンションの建設ラッシュが続いていますが、そんな中、神戸市では7月から三ノ宮駅周辺を「都市機能高度集積地区」に指定し、その周辺の市中心部の容積率を引き下げることで、事実上タワーマンション建設に歯止めをかけました

眺望、設備、立地、間取りすべてにおいてユーザーから多くの支持を得ているタワーマンションですが、もう少し視野を広げて考えていくと、ある問題点が浮き彫りになってきます。

※参考:神戸市「特別用途地区(都市機能誘導地区)の概要」http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/PDF/%EF%BC%91%EF%BC%96/toshinkino_yudo_gaiyo.pdf

タワーマンション乱立の副作用

総戸数の多いタワーマンションが増えることで、地域の人口が増加し短期的に見れば税収アップで地域にとってプラスになるかもしれません。ところが、長期的な目線で見ると必ずしもプラスになるとは限らないのです。

これには大きく2つの理由があります。

ベッドタウン化による魅力の低下

神奈川の武蔵小杉の例からもわかるように、タワーマンションの分譲業者は駅前周辺を狙って分譲するのが一般的です。本来駅前というのは商業施設を充実させて、近隣地域から人を呼び込んで消費行動を促すことで、地域の本質的な活性化につながります。

駅周辺にタワーマンションが乱立することで、人口は増えても地域としての魅力は落ちてしまう可能性があるのです

人口減とインフラ整備のジレンマ

タワーマンションの乱立によって人口が増加すれば、必然的に保育所や学校といった社会インフラの整備が求められます。

一方で日本の人口は右肩下がりで減少することがほぼ確定的なので、今から新設したところで長期的な需要が維持できるかといえば疑問符がつくでしょう。タワーマンションを複数建設するとなると、将来不要になる可能性があったとしても保育所や学校を整備せざるを得ないのです

神戸の例もこれらの懸念から、今以上のタワーマンションの建設にストップをかけたと考えられます。

2.タワーマンションが抱える2つの弱点

ここまで解説してきたのは、タワーマンションが社会に与える影響ですが、実はタワーマンション自体に内在する弱点も近年浮き彫りになりつつあります。

ここでは、タワーマンションの未来を考えるうえで重要となる2つの弱点について解説します。

災害に対する弱さ

近年の異常気象による大雨や今後予想される南海トラフ地震など、現代の日本は災害に対する耐性を考えることが急務となっています。タワーマンションについては、東日本大震災や集中豪雨などの影響で、一部で次のような弱点が露呈しています。

  • 地震でエレベータが使用不能に陥る
  • 浸水被害により、電気系統が使用不能に陥る

タワーマンションの高層階の住居は、エレベータで移動することが前提となっているので、地震で使用不能になると事実上生活できなくなります

また、昨今の武蔵小杉の例では、浸水被害によりマンションの排水設備が使用不能となる例も報道されました。

莫大な長期修繕費用

タワーマンションはその構造上の特性から、通常のマンションのように足場を組んで外壁を補修するなどの大規模修繕が実施できません。そのため、専用リフトを組むなど通常のマンションの何倍もの費用が将来かかることになります

ところが、大規模修繕のために積み立てている修繕積立金の額は、分譲時に販売しやすいよう本来必要になると考えられる額よりも低く設定されているのです。

その影響からか大規模修繕を実施したくても予算の関係で実施できず先送りになったり、金融機関からマンション管理組合が借金をしたり、といった事態も日常的に発生しています

3.タワーマンションの未来とは

日本の多くの地方都市では、急速な人口減少が進み高齢化に直面しています。

また、住宅地の郊外化が進んだことで密度の低い市街地が多く存在しています。

このような状況を受けて国交省では、多極集中型のコンパクトシティ化を推進していて、公共交通沿線に居住を誘導しようとしているのです。

そういった意味ではタワーマンションが一概によくないとはいえないかもしれませんが、価格が高額で一部の所得者でないと購入が難しいことや、乱立すると極端な人口増加を引き起こすことなどを鑑みると、今回の神戸の事例のように今後は一定の規制がかかる可能性が考えられるでしょう。

4.まとめ

タワーマンションは内外装の華やかさや、魅力的な設備とは裏腹に、今後の日本の都市計画にとって必ずしもマッチするとはいえないのではないでしょうか。少なくとも、武蔵小杉の例のように駅前に大量に分譲するというケースは、神戸で行われている規制からもわかる通り今後はなくなっていくでしょう。

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