不動産投資のおすすめ4種類!一番利益が出やすい投資方法は何?
一口に「不動産投資」といっても、物件種別によって必要な自己資金や得られる利益、利益が最大化するタイミング、融資の引きやすさなどは異なります。
もちろん、これらは個々の物件ごとにも異なるため、しっかりシミュレーションしたうえで物件選びする必要があります。
投資の目的や自己資金の状況に合った物件を選ぶことは、不動産投資で成功するためのファーストステップです。本記事では、物件種別ごとの傾向や特徴について詳しく解説します。
1.不動産投資の仕組み・「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」を解説
不動産投資はマンション・アパート等を購入し、第三者に貸すことで収入を得る仕組みです。売却の際に価格によっては収益が出る事があります。
投資において資産の譲渡によって得られる利益(不動産投資では売却益)を「キャピタルゲイン」、資産を運用することによって得られる利益(不動産投資では家賃収入)を「インカムゲイン」と呼びます。
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不動産投資ではインカムゲイン(家賃収入)を修繕費や固定資産税等の経費、ローンの支払いに充てます。ローンを完済した所で物件が自身の財産となります。
不動産はキャピタルゲインで利益を得る事が難しく、物件の選定・評価においてプロ並みの知識が必要となります。よって不動産投資では家賃収入を目的としたインカムゲインを目的に物件を選定し、運営を行うオーナーが多くなっています。家賃収入で稼ぐ投資は、景気に左右されにくくコツコツと稼ぐモデルです。
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不動産投資で節税できる仕組み
不動産投資は、所得税や相続税の節税にも効果的です。
まず、所得税が節税できる仕組みは、給与などその他の所得と不動産所得との損益通算にあります。
損益通算とは、黒字と赤字をぶつけて相殺することを指します。
不動産投資では、減価償却費を経費として計上できるため、実際には赤字になっていなかったとしても帳簿上の赤字を作ることが可能です。
そして相続税が節税できる仕組みは、時価と相続税評価額の乖離(差)にあります。
不動産の評価額は時価の6割前後になることが多く、現金預貯金を相続するより、不動産に換えて相続したほうが相続税の課税額を減らせます。
また、一定の要件を満たした投資物件は「小規模宅地の特例」が適用となり、相続税評価額をさらに圧縮できます。
2.不動産投資の種類~区分マンション・一棟マンション(アパート)・戸建て~
不動産投資にはマンションの1室を購入し、賃貸経営を行う区分マンション投資、マンション・アパートの一棟を購入し貸す一棟投資、戸建てを貸す戸建て投資といった物件への投資があります。
中古区分マンション投資 | 一棟マンション・一棟アパート投資 | 戸建て投資 | |
取得費 | ○ | × | △ |
初心者向け | ○ | × | △ |
初期費用 | ○ | × | △ |
利回り | △ | ○ | ○ |
減価償却による節税効果 | △ | △ | ○ |
空室リスク | △ | ○ | ○ |
1)中古区分マンション投資
区分マンション投資(ワンルームマンション投資等)は一棟投資に比べると購入費用が抑えられるため、不動産投資初心者でも手を出しやすい不動産投資です。
賃貸需要が高く、流動性も高い中古区分マンションは、インカムゲインとともにキャピタルゲインも狙える物件種別です。
(出典:国土交通省)
また、個人の属性や物件の築年数などにもよりますが、中古区分マンションは比較的、融資を引きやすい物件種別です。
レバレッジ効果も得られやいことから、利回りはその他の物件種別と比較して低いものの、自己資金収益率(CCR)が高くなりやすいのも特徴の1つです。
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中古区分マンション投資の収支シミュレーション例
シミュレーション条件
- 物件タイプ:中古ワンルームマンション
- 築年数:築10年
- 物件価格:2,000万円
- 想定家賃収入: 120万円/年(想定利回り6%)
- 家賃下落率:5%/年
- 入居率:95%
- 購入時諸費用:140万円(物件価格の7%と仮定)
- 年間経費:24万円(家賃収入の20%と仮定)
- 借入額:1,500万円
- 金利:2%
- 返済方法:元利均等返済(年12回)
- 返済期間:30年
実質利回り:4.5%(初年度)
自己資金収益率(CCR):3.7%(初年度)
キャッシュフロー
1年目 |
17.6万円 |
5年目 |
15.4万円 |
10年目 |
12.6万円 |
15年目 |
9.7万円 |
20年目 |
6.8万円 |
2)一棟マンション・一棟アパート投資
一棟投資は賃貸経営が順調な場合は一棟丸ごとに対しての家賃収入を得る事が出来ます。
購入価格が高く、初期費用とともにランニングコストも多くかかり、区分マンション投資に比べるとリターンは大きいですがリスクも大きくなります。
ただし、戸数がある分、空室リスクが分散でき、収入がゼロになる可能性は低いものと考えられます。キャピタルゲインが得られる可能性はありますが、インカムゲイン狙いが基本の物件種別です。
一棟アパート投資の収支シミュレーション例
シミュレーション条件
- 物件タイプ:中古一棟アパート
- 築年数:築5年
- 物件価格:8,000万円
- 想定家賃収入: 720万円/年(想定利回り9%)
- 家賃下落率:5%/年
- 入居率:90%
- 購入時諸費用:560万円(物件価格の7%と仮定)
- 年間経費:144万円(家賃収入の20%と仮定)
- 借入額:6,400万円
- 金利:2%
- 返済方法:元利均等返済(年12回)
- 返済期間:17年
実質利回り:6.3%(初年度)
自己資金収益率(CCR):2.7%(初年度)
キャッシュフロー
1年目 |
36.3万円 |
5年目 |
22.5万円 |
10年目 |
4.6万円 |
15年目 |
-15.1万円 |
20年目 |
357.6万円 |
3)戸建て投資
戸建て投資は一戸建てを所有し貸し出す投資方法です。
戸建て投資は集合住宅(マンション)より需要は低いものの、入居者が長く住む傾向があります。物件によりリスクとリターンが異なり、集合住宅より物件の条件や周辺環境に左右されやすい投資となっています。
戸建投資の収支シミュレーション例
シミュレーション条件
- 物件タイプ:中古戸建
- 築年数:築15年
- 物件価格:2,000万円
- 想定家賃収入: 220万円/年(想定利回り11%)
- 家賃下落率:5%/年
- 入居率:90%
- 購入時諸費用:140万円(物件価格の7%と仮定)
- 年間経費:44万円(家賃収入の20%と仮定)
- 借入額:900万円
- 金利:2%
- 返済方法:元利均等返済(年12回)
- 返済期間: 7年
実質利回り:7.7%(初年度)
自己資金収益率(CCR):1.3%(初年度)
キャッシュフロー
1年目 |
4.6万円 |
5年目 |
0.1万円 |
10年目 |
132.2万円 |
15年目 |
120.5万円 |
20年目 |
116.7万円 |
3.J-REIT・クラウドファンディング
上記の3つが主に「不動産投資」と呼ばれる投資方法となっていますが、物件を購入せず不動産に投資する方法もあります。
1)J-REIT(不動産投資信託)
REIT(不動産投資信託)はアメリカで誕生した制度で、日本ではJapanのJを頭につけてJ-REITと呼びます。
J-REITとは、投資法人という組織を作り、投資証券を発行して投資家から資金を集め、マンションやオフィスビル等に投資し、家賃収入や売却益を投資家に還元する仕組みになっています。
J-REITは数千円から購入が可能で不動産投資よりも少ない金額から投資する事が出来ます。
ただし一般的に不動産投資より利回りは低く、3%台の商品が多いです。
2)不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資の運用会社がインターネット上で複数の投資家から資金を集め、その資金である不動産に投資、運用をし、その運用収益を投資家に配当する仕組みです。
クラウドファンディングの特徴は、不動産の運営状況の情報が公開されている点です。運営会社にもよりますが、投資した物件の住所や築年数等を知る事が可能です。
投資家の出資金だけでは賄えない資産を企業が出資する「優先劣後方式」という出資方法となっており、不動産価格が値下がりし損失が発生しても、企業が劣後出資を行う事で投資家は損をしづらい仕組みになっています。
3)J-REITとクラウドファンディングの違い
REITとクラウドファンディングの大きな違いは「証券化されているか」という点です。
REITは証券化されており証券市場で売買されているため、流動性が高く現金化が容易です。ただし毎日値動きがありますので市場価格のチェックが必要で、含み損が発生する可能性があります。
一方クラウドファンディングは値動きが無いものの、現金化が難しくなっています。
4.不動産投資で使えるローンの種類
不動産投資の融資に関わってくるのは主に都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、ネット銀行、ノンバンク、日本政策金融公庫の6種類です。
ローンの借り入れには各金融機関ごとに年収制限や年齢制限、融資額割合、金利、連帯保証の有無などの違いがあります。
金利は低いに越したことはありませんが、キャッシュフローを保つために融資の期間も考慮する必要があります。
住宅ローンであれば都市銀行や地方銀行、信用金庫で組めますが、不動産投資ローンは積極的に扱う金融機関はあまり多くありません。
投資用ワンルームに融資する金融機関は何十社とあるわけではないのです。比較的、金利の低い日本政策金融公庫も選択肢の1つになってきますが、基本的にキャピタルゲイン目的の投資への融資は不可とされています。
返済期間は民間の金融機関より短く、担保評価も厳しい傾向にあるため、どんな方にも適している選択とはいえません。
日本政策金融公庫で不動産投資の融資は難しいってホント?金利や条件を確認
自分で一から金融機関を探して不動産投資ローンを組むことも不可能ではありませんが、多くの場合、不動産を販売する不動産会社が提携する金融機関から選ぶことになります。
「ヤドカリ投資」や「自宅投資」であれば、住宅ローンを利用することができます。
不動産投資ローンと比べて金利が低く、住宅ローン減税も使えるなどメリットが多い住宅ローンですが、自宅を使った投資は不動産投資とはまた違った難しさがあるため、融資条件の良さだけで選ぶのは危険だといえるでしょう。
ヤドカリ投資で失敗しない不動産選び!成功事例つきで解説
区分マンション投資に適したローン
- 地方銀行
- 信用金庫
- 日本政策金融公庫
- ネット銀行
- ノンバンク
区分マンション投資への融資の選択肢は、主に上記5つの種類の金融機関です。
都市銀行は審査基準が厳しく、法人や法人規模で投資をしているオーナーでなければなかなか融資は引けません。
一棟アパート・一棟マンションに適したローン
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
投資金額が高い一棟アパートや一棟マンションは、日本政策金融公庫やネット銀行の融資は上限額などの観点から難しいと考えられます。
一棟ものの融資が引きやすいのは、地方銀行です。ただし、地域によって地方銀行の一棟ものの融資に対する積極性は異なります。
戸建投資に適したローン
- 地方銀行
- 信用金庫
- 日本政策金融公庫
- ネット銀行
- ノンバンク
立地や築年数などの条件が良い戸建であれば地方銀行やネット銀行も選択肢に入っていますが、いわゆる「空き家投資」などになると融資を引くことは難しくなります。
ノンバンクは独自の審査基準を設けているため、他の金融機関では融資が引けない物件も審査に出してみる価値はあるといえるでしょう。
5.現物への投資である不動産投資は、効率的な資産形成として優秀
不動産投資は形のあるもの(現物)への投資でありながらインカムゲインとキャピタルゲインを得られる事が大きな特徴です。
純金やプラチナ等も現物投資となりますが家賃収入のように定期的な収入は得られません。
第三者に貸し出すことで得られる収入でローンを返済し、完済後は自身の財産となる不動産投資は投資として効率的な資産形成ができる仕組みとなっています。
仕組みや種類、メリット・デメリット・リスクを把握し、資産形成の選択肢として視野に入れておきましょう。