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不動産投資コラム

【ケース別で解説!】入居者から家賃値下げ交渉されたらどう対処する?

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

※2021/8/19 更新
入居者から家賃の値下げを要求された場合、オーナーはどう対応すれば良いのでしょうか。

特に昨今は、新型コロナウィルスの関係から失職した人も多く、交渉されるケースが増えているようです。

オーナーの立場としては、入居率を何とか維持したい一方で、家賃交渉という現実にも向き合っていかなくてはなりません。

そこで、今回は入居者から家賃の値下げ交渉をされた時、どのように対応すべきか解説していきます。

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1.家賃交渉に対する心構え

物件オーナーである以上、何らかの機会に家賃の値下げを求められることがあるかも知れません。

例えば、長らく空室だった部屋を見に来た人から「あと少し安ければ入りたい」等と言われてしまえば、値下げを検討せざるを得ないこともあるでしょう。

空室にしておくより、値下げしてでも家賃収入があった方が良いからです。

 

また入居中の場合でも、更新のタイミングで値下げを打診されることもよくあります。

オーナーはこういった現状と、上手に付き合っていかなければならないのです。

関連:マンションの家賃相場を知る方法と家賃設定で知っておきたいポイントとは?

2.ケース別に家賃値下げ交渉に応じる前に確認すべきこと

家賃交渉を受けたら、実際に下げるかどうかは別にして、話し合いには応じることが大切です。

最初から取り付く島もない状態では、かえって相手に対する印象が悪くなってしまいます。

 

ただ言われるがまま家賃を下げるわけにもいきませんから、せめて交渉がオーナー側に有利となるよう、2つの事柄に注意して話を進めてみましょう。

ケース1)賃貸募集時の家賃値下げ交渉

物件を自分で管理している方も、管理会社に委託している方も、入居希望者から「値下げ可能ですか?」と聞かれることがあると思います。

その時は、まずは、相場と比較して家賃が妥当であることを説明し、納得してもらうのが良いでしょう。

 

募集時の家賃は、近隣の同じような物件を調査した上で決めたはずですから、他の物件と比べた時のアピールポイントなどを交えながら説明するのが良いかもしれません。

管理会社に委託している場合は、あらかじめ管理会社にいくらまでなら値下げしてもいいかを確認しておきましょう。

その際、「値下げして欲しい」と言われたからといって、安易に値下げしないことや、値下げしたら確実に契約してもらえる場合のみ交渉に応じる旨を伝えることが重要です。

 

また、値下げの代わりにフリーレントを検討するのも一つの手です。

フリーレントは、一定期間の家賃を無料にする契約のことです。

最初の1~2ヶ月の家賃を無料にすることが多いですが、当然ながらその期間、家賃は全く入って来ません。

 

しかし、家賃を値下げせずとも契約してくれる可能性が高くなるので、長い目で見れば、フリーレントにして入居してもらう方が利益に繋がるかもしれませんよね。

いずれにせよ、交渉なので、相手の要求をそのまま呑むのではなく、こちらも損をしないよう慎重に話し合いを進めましょう。

ケース2)更新時の家賃値下げ交渉

家賃交渉で最も大切なことは、既存入居者との更新時の家賃交渉です。

新規募集の時とは違い、更新時の家賃交渉は判断を間違えると大きな損失を被る可能性があります。

 

例えば、新築から10年間住んでいる賃借人がいるとします。

家賃は入居時から変わらず80,000円です。

この状況で賃借人から家賃交渉をされた場合は、次の点について確認する必要があります。

長期入居者からの家賃値下げ交渉を受けた場合

建物は年月と共に劣化していくもので、一般的にはそれに伴い家賃も下がっていきます。

長期間住んでいる方にとっては、契約当時は綺麗に思えた建物でも、どうしても老朽化や劣化の気になる部分が出てくるのも自然なことでしょう。

 

特に、今回のケースでは、新築だったからこそ、80,000円の家賃で入居したという背景もあったかと思いますし、そうなると、入居当初の家賃が高すぎると感じ、更新時に家賃の見直しをお願いされる場合があります。

このように、長期間住んでいる入居者から更新時に家賃の値下げを頼まれたケースであれば、交渉には可能な限り応じた方が良いでしょう。

 

なぜなら、長期間入居しているということは、家賃以外の不満がなく、気に入っているという証拠なので、家賃を値下げすれば、継続して住んでもらえる可能性が高いからです。

空室にするよりは、家賃を下げてでもこの先も住み続けてもらう方が得ですよね。

 

問題は、家賃をいくらまで値下げするかです。

今回のケースでは新築から10年間住んでいるので、エリア的に現在の家賃相場が75,000円であれば、5,000円の値下げまででなんとか抑えるのが妥当だと考えられます。

ただ、最初から言われるがまま下げるのではなく、相手と交渉し、2,000円~3,000円の値下げで応じてもらえるのであれば、それに越したことはありません。

何よりリスクがあるのは、家賃の値下げを拒否し入居者が退去してしまい、次の入居者が決まらないまま何ヶ月も空室が続いてしまうことです。

 

それを踏まえて、いくら値下げするかは、オーナーとして周辺の家賃相場を把握し、それを参考に決めるのが良いでしょう。

ケース3)「入居中に家賃値下げ交渉」

入居中の貸借人から値下げ交渉を受けることもあります。

 

例えば、「コロナの影響で生活が苦しいので、家賃を値下げしてくれませんか?」といった具合です。

そこでまず確認したいのが次の3点です。

賃貸借契約書の特約の有無

借地借家法では、定期借家契約であれば、特約で家賃の減額請求は出来ない、と定めることが出来るとなっていますが、そうではない普通の賃貸借契約においては、家賃の値下げ請求は借主に認められている当然の権利であり、入居中でも可能です。

まずは、契約内容がどうなっているのか、契約書を確認しましょう。

コロナなど経済変動による家賃改定

コロナにより、家賃が下落しているケースと、横ばい、もしくは多少高騰しているケースとがあります。

単身者用の物件は、学生はオンライン授業になったので学校の近くに住む必要性がなくなり、社会人もテレワーク導入の会社も多く、それならば「多少距離があっても実家で十分だろう」という傾向から家賃が下落気味のようです。

 

コロナという非常事態を鑑みて、単身者用の物件で家賃相場が下がっており、入居者も経済的に厳しいという場合は、値下げ交渉も検討すべきかと思います。

周辺物件の家賃価格と比較

家賃を見直す際は、周辺物件の家賃価格と比較するのが何より重要です。

周辺の家賃よりもあきらかに高すぎる場合は、やはり値下げを視野に入れるべきですが、「借地借家法では、いつでも行使できる借賃増減請求権があるってネットに書いてあったし、言うだけ言ってみよう」、と気軽な気持ちで値下げを言ってくる入居者もいます。

周辺物件の家賃と比較し、入居者の要求が正しいのかどうかを見極めましょう。

 

これら3点を確認し、家賃値下げ交渉に応じるべき理由があるのなら、値下げを検討するべきです。

ケース2【長期入居者からの家賃値下げ交渉を受けた場合】でも解説したように、空室にするよりかは継続して住んでもらった方が得なので、家賃値下げ交渉には出来るだけ応じるのが良いでしょう。

 

それでも話が付かない場合は、管理会社をはさむようにしましょう。

まとめ

オーナーである以上、いつかは家賃交渉という出来事を経験するでしょう。

いざ交渉されたときに、慌てず冷静かつフェアに話し合いを行うためにも、予め所有物件の状態や近隣物件の相場等について把握しておくようにしましょう。

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