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ワンルームマンションの大家が入るべき火災保険とは

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

投資用のワンルームマンションを購入する際、火災保険に入ると思いますが、ワンルームマンションをはじめ、一戸建て、一棟マンション、木造アパートなど、物件の種類によって入るべき火災保険は異なります。
しかし、自分が入るべき火災保険を理解している大家は多くはなく、不動産会社に言われるがまま契約してしまい、支払い超過になっている方が大半であるといいます。
そこで今回は、「ワンルームマンションのオーナーが入るべき火災保険」に限定して解説していきたいと思います。

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1.火災保険とは

火災保険というと、文字通り火に関する災害があった時に補償を受けられるもの、と考える方が多いと思いますが、実は火災保険の補償範囲は火災に限らず、多岐にわたっています。

例えば、火災のほか、落雷、破裂、爆発や、風災、雹災、雪災なども補償しており、これらを基本補償として、こちらに必要なオプション補償、つまり特約を加えるかたちで加入する保険会社が多いです。

基本補償の内容やオプション補償の内容は、保険会社ごとに異なります。

また、オプション補償はあくまでも基本補償に付け加えるものであり、オプション補償だけ選んで加入することは出来ません。

2.ワンルームマンションの大家が入っておくべき火災保険の特約

ワンルームマンションの大家が是非入っておきたい火災保険の特約は、以下のものです。

1)家主費用特約

物件内で、孤独死や自死、事件や事故による死が発生したことが原因で空室期間家賃値引き期間が生じた場合、その間の家賃を補償する特約です。

また、孤独死や自死の場合に発見が遅れると、死体が腐敗し、強い臭いを発したり、体液で床にシミが出来てしまったりしますが、それを元通りにするための原状回復費用なども補償されます。

ワンルームマンションということは、一人で住む入居者がほとんどでしょう。

一人で住むのが高齢者の場合は勿論ですが、若い方でも、一人暮らしだとどうしても孤独死の心配が出てきます。

そのため、家主費用特約は、ワンルームマンションの大家であれば是非入っておきたいオプションになります。

関連記事:管理物件で孤独死があったらどうする?知っておくべき特殊清掃業者の相場とは

2)電気的・機械的事故補償特約

保険の対象建物に付属しているエアコン、給湯器、IHコンロ、浴室乾燥機などが故障した場合の修理費用や交換費用を補償します。

ただし、経年劣化による故障は補償されないケースが多いです。

 

エアコンや給湯器などは、経年劣化がそれほどなくとも、ある日突然故障してしまうことは少なくありません。

例えば給湯器の交換であれば、給湯器本体が10万円以上~、工費が5万円~と、安く見積もっても15~20万円程度はかかってしまいます。

ワンルームマンション投資においては、これだけの額の出費は大きな負担になってしまうでしょう。

ですから、電気的・機械的事故補償特約に加入しておくことをお勧めします。

3.ワンルームマンションの大家が入っておくとより安心な火災保険の特約

必須とは言えないまでも、ワンルームマンションの大家が入っておくと安心な火災保険の特約は、以下のものです。

1)施設賠償責任特約

施設賠償責任特約とは、所有している施設の管理不足や不備により、人に怪我を負わせたり、物に損害を与えてしまったりした場合に、支払うべき損害賠償額を補償してくれる特約です。

この特約でよく挙げられるのが、劣化した建物の外壁タイルが落下したことにより、通行人に怪我を負わせてしまった場合に適用される、という例です。

こちらの例だと、ワンルームマンションの大家は、あくまでも専有部分である部屋の内部に関してだけ責任が生じるので、共用部分の外壁の落下による事故の補償は必要ないと感じるかもしれません。

実際、共用部分の損害賠償責任(特約)に関しては、分譲マンションの場合は管理組合がとります(一棟所有している場合はオーナーが加入しているものになります)。

 

しかし、施設賠償責任特約は、所有している施設、つまりワンルームマンションの場合は部屋の管理不足による損害に適用されるのであり、例えば専有部分の水漏れが原因で下の階の部屋に被害を与えてしまった場合にも適用されるケースもあるのです。

勿論、入居者の不注意などによる水漏れの場合は大家に責任はありませんが、水漏れの原因によっては大家に責任があるとされる事例もあり、その際、下の階の部屋に与えた損害に対する費用をすべて負担する可能性も出てきます。

マンションには水漏れの事故は付き物ですから、ワンルームマンションのオーナーも、施設賠償責任特約のオプションを付けておくことをお勧めします。

2)家賃保証特約

火災や風災など、火災保険の基本補償に含まれている災害により物件が損害を受け、入居者が住める状態ではなくなり、家賃収入を得られなくなった場合に、賃貸を再開できるまでの間の家賃を補償します。

ワンルームマンションの場合、数か月も家賃収入を得られない状態に陥ると、年間の利益がほとんど出ず、赤字になってしまうことも十分にあり得ます。

よって、家賃保証特約を付けておくのが安心でしょう。

4.ワンルームマンションの火災保険の費用相場はどのくらい?

ワンルームマンションの火災保険料の相場は、年間約5万円前後のケースが多いです。

もし、不動産会社に紹介された火災保険が、5万円を大きく超えているようなら、余計な特約が付いている可能性があります。

前述した、入っておくべき特約や、入っておくと安心な特約を参考に、それ以外の必要性の低いオプションが付いている場合は、外して5万円前後に収めるとよいでしょう。

まとめ

保険会社でも、不動産投資用の物件に適した火災保険の内容に精通している社員の方は少なく、ワンルームマンションの大家向けの保険となると尚更です。

不動産会社に言われるがまま、または保険会社に言われるがままプランに加入すると、相場を大きく上回り、知らず知らずのうちに無駄な出費をしてしまうことにもなりかねません。

また、入るべき特約に加入していないと、物件が災害により損害を受けた場合、非常に大きな出費を強いられるでしょう。

ワンルームマンションの賃貸経営に必要な火災保険の特約を知り、出費を抑えながら物件と入居者を守っていく必要があります。

関連記事:火災保険の質権設定についてわかりやすく解説

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