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経年劣化によるリフォームが必要な部分と対策

執筆者:棚田 健大郎 棚田 健大郎

賃貸経営をしていく上でキャッシュフローを黒字化するためには、できる限り無駄な出費を抑えることがとても重要になります。

出費の中でも不動産投資家によって金額に差が出やすいのが「リフォーム費用」です。

そこで本記事では、少ない予算で資産価値を維持するためのリフォームのポイントについて詳しく解説します。

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1.マンションの老朽化とリフォームの必要性

区分マンション投資で重要なことは、専有部と共用部でできることが異なるということです。

建物の外壁や共用廊下、エントランスなどの共用部については、マンションが老朽化してくると修繕やリフォームの必要性が出てきますが、共用部の工事は区分所有者全員で組織する管理組合の議決によって行うため、自分だけの意思ですぐに施工できません。

また管理組合の予算にも影響を受けるので、賃貸経営においてはあまりあてにできない部分です。

一方で玄関の内側である専有部は、自分の判断だけでリフォームができるので思った時にスピーディーに施工ができます。

注意点

専有部であっても工事内容によっては理事会等の承認が必要な場合があります。

専有部のリフォームの必要性

自己所有用のマイホームとしてマンションを購入しようとすると、建物の外観や共用部なども細かく内見時に確認するかもしれませんが、賃貸となると正直なところそこまで細かく見られません。

むしろ共用部よりも、玄関の内側である専有部を細かく見られる傾向があるので、専有部のリフォームは資産価値の維持向上はもちろんの事、空室対策においても非常に重要な意味があるのです

2.リフォーム費用の考え方

リフォームを計画する際にとても重要になるのが予算です。

基本的によほど的外れなリフォームをしなければ、今よりも価値が低下することはありませんが、かける予算が高額すぎるとリフォーム費用を家賃収入で回収することができない可能性があります

例えば、現在家賃4万円の物件に120万円のリフォームをして家賃5万円にグレードアップしたとします。この場合、リフォームをしたことによって増加した利益は年間で12万円ですので、リフォーム費用を回収するだけでも10年かかってしまう計算になるのです。

このように、たとえ家賃を増額できたとしても、かけるリフォーム費用によっては費用対効果が合わないことがよくあります。初心者投資家の方の中には、リフォームの内容ばかりに目がいってしまい、費用対効果を全く計算していないケースがよくありますので注意が必要です。

3.経年劣化でやるべきリフォーム

経年劣化でリフォームをする場合、重要になるのがグレードアップする意識です。

グレードアップというと、単に最新式の設備に取り替えることと思うかもしれませんが、そんなに単純なことではありません。お金をたくさんかければ、よい部屋になるのは当然です。ただそれでは先ほどお話したように費用対効果が合わなくなります。

私が大家さんからご相談いただいた際には、通常の原状回復工事に近い予算で空室対策になるリフォームを提案することを心がけています。

アクセントクロスで注目度アップ

経年劣化といえばクロスです。

国土交通省のガイドラインではクロスの耐用年数は6年となっていますが、現実的には入居者が入れ替わるごとに張り替えを検討するケースが多いのではないでしょうか。

この時に何も考えずにただ白いクロスで張り替えると、リフォーム費用を無駄にしてしまいます。

壁の1面だけデザイン性のあるアクセントクロスにすることで、ただ壁紙を張り替えただけなのに部屋の印象が大きく変化するのです。また、色物のクロスを貼ることで、テレビや冷蔵庫置き場の汚れが退去後目立たなくなるので、次回の張り替えを回避できる可能性も高くなります。

水回りの部分交換

水回りのリフォームというと、キッチンやユニットバスごと交換するイメージを持つ人もいますが、それだと費用対効果が合わないことが多いです。

例えば、ダブルハンドルの蛇口をシングルレバーのものに交換するだけでも、随分とイメージが良くなります。またバスルームであれば、サーモスタッドとシャワーを最新式のものに交換することで、低予算でグレードアップが可能です。

リフォーム業者に見積もりを丸投げすると、どうしても大掛かりな工事の提案をされがちなので注意しましょう。

エアコンのダクトカバー

築古マンションの室内が古い印象に映る一つの原因が、エアコンのダクトです。

築古ワンルームマンションの場合、内見のために室内に入ると、まず目線の高さの問題でエアコンのダクトが目に入ることがよくあります。

築古マンションのエアコンダクトはホースがむき出しになっていることが多く、どうしても古さを印象付けてしまうのです。

エアコンのダクトにカバーを装着するだけでも、きちんとリフォームされている部屋に見えます。エアコンのダクトカバーは1万円程度で装着できますが、エアコン自体を着脱しないと装着できないので、基本的にはエアコン交換と同時に依頼することをおすすめします。

4.まとめ

リフォームは予算をかけすぎると、たとえ見栄えがよくなったとしても費用対効果が合わなくなってしまいます。

経年劣化に対するリフォームは、できるだけ低予算で最大の空室対策効果を出すことを心掛けるとともに、大掛かりなリフォームを発注する際には、家賃をいくら値上げできるのかを試算して費用対効果を検証することが大切です。